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猫ちゃんの耳がSOS!!⑤

「それはできません。貴方が関わって良い世界ではない。」


「ジャスティファイ……ですか。」


 その単語を聞いた男性は驚いたような表情をした。

こんな顔をするなんて“ジャスティファイ”とはなんなのか。

とんでもない存在なのかな。


「知っているなら、尚更だ。関わらないで下さい。」


 語尾を強めて言って、扉に手をかける男性に私は声をかける。


「じゃあ、せめて、あなたの名前だけでも教えてください!」


「俺の名はルーノの言う。」


 そう言って去っていってしまった。


「では、マオシュの治療をしていきましょう。」


 数秒の沈黙のあと、いつもの柔和な笑顔に戻っていた。

私はさっきのことを聞きたかったがマオシュちゃんのことが優先なので

はい。と返事をした。


 マオシュちゃんの傷口を消毒して綺麗に縫合する。

私は道具の用意や手渡し、洗浄など補助をしてたがベルダさんは

本当に手際が良い。丁寧なのに素早い。

きっと患者さんの負担軽減を考えているんだろうな。


 耳をめくり上げると入口が全体が煤でも付いているように黒い。

表皮がまるで見えない。

ベルダさんが綿棒で拭いていく。

入口だけコレだったら中はすごいことになっているんだろうなぁ。

ああ、小さくなる能力があったら耳の中に入りたい。

不謹慎なことを考えてしまった。

病気になりそうだけど。


「やはり真菌がいますね。」


 ベルダさんが汚れた綿棒を顕微鏡見ている。


「外耳道に真菌と中程度の炎症ありますが大きな怪我は無いようなので、アイザワさんの方が優しく処置できるのでこの子の耳掃除をしてください。」


「はい。頑張ります。」


 傷つけないように優しく綿棒を耳に入れる。

そしたら、出るは出るは黒いヘビ花火ようなスズメガの幼虫みたいなニョロニョロした耳垢が雪崩れてくる。

質は違うが人間の大人でもこんなに多くはない。

綿棒がすぐに使えなくなり片耳だけでも3本目に突入した。

やっと見えるようになった皮膚は真っ赤だった。


 本当に痒かっただろうな。

これでも、医学的?に見たら中程度なのかぁ。

ベルダが耳に薬を塗って、一旦治療は終わった。


「そろそろ、目覚めると思います。マオシュ用のフードがないので私が夜店で買ってきますね。」


「ご飯なら私が買ってきます。」


「いえ、アイザワさんには先程お使いをして頂いたので私が行きますよ。」


「わかりました。あと、一つ聞きたいことがあるのですが。」


「何でしょうか?」


「さっき、ルーノさんに言っていたジャスティファイとはなんですか?」


 その言葉にベルダさんの視線が下を向く。


「私、ベルダさんの役に立ちたいです。与えて貰うだけじゃ嫌なんです。」


「ありがとうございます。アイザワさんのお気持ちとても嬉しいです。ですが、私のことを思うのなら、さっきのことは忘れて下さい。」


 ベルダは頭を下げて言った。

そしてすぐに買い出しに出かけた。


 まぁ、そうだよね。私はただの居候でベルダさんの心の奥に踏み込んで良いような存在ではないよね。

と呆然と考えていると、か細い声でミャと鳴いたマオシュちゃんのお世話に専念しようと考えるのを辞めた。


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