耳かきのしすぎダメ絶対①
なんじゃこりゃぁー!!
私は激怒した。そして悲しんだ。
真っ赤に炎症し、かさぶたが点在する外耳道。
おそらく耳かきのせいで破れたあろう鼓膜。
無数に散らばる黒い点と綿のような胞子、カビだ。
きのこ生えてきそう。
自分の耳を大切にできない人間は耳かきをすべきではない。彼の習慣をたださなければならい!!
事態は10分ほどさかのぼる。
お鼻畑を摘み取ってから前途洋々でお昼に2人ほどお客さんが来店し、有意義な時間を過ごし現在は午後の3時頃だと考えていた。その時
勢いよく店の扉が開き。
「耳が……耳が、かゆいくてかゆくて仕方がないんだ!!」
20歳くらいの細身の男性が叫びながら私に近づいてきた。
「ここに耳かき名人がいると聞いてやってきたんだ。早く見てくれ!!」
私の名声が町中に響き渡っている!?
それは嬉しいな。と思いながらただ事ではない様子に対応する。
「耳がかゆいんですか。では、見てみますね。」
私が言うと男性は素早く椅子に座り込んだ。
よほどかゆいのか少し図太いのか。
しかし、それは置いといて座椅子を倒して道具の準備をする。
「僕は三度の飯より耳かきが好きで毎日何度も耳かきをしていたら変な綿みたいなのが取れて、それを取りまくっていたら耳がかゆくて痛くなったんだ!」
??!!
いやーな予感。これはリラクゼーションの施術では医療の領域である可能性が高い。
手に負えなければベルダさんを呼ぼう。
そう思いながら、恐る恐る外耳道を覗き込んだ。




