紛瘤取り出し作戦①
私は斜めの黒い穴を耳かきでつついてみる。
すると、耳垢とは少し違う何かがグニュっ穴から頭を出した。
うーん。もしかして、紛瘤かな。
耳の中にあるのを見たことはあるが、こんな大穴は始めてだ。
「この、変な穴が気になるんです。」
お客様は心配そうに言った。
「詳しく先生を呼んで診断してもらいますね。」
素人判断はいけないのでベルダさんを呼んで診てもらうことにした。
「これは老廃物が袋状に溜たる嚢胞です。良性なので心配はありません。ですが袋を取らないと炎症を起こしてしまう可能性があるので処置しましょう。」
とベルダさんは診断を下した。
「では、アイザワさん処置をお願いします。」
爆弾発言が飛び出した。
「え!?」
「耳の中にある物体を取り出す技術は素晴らしく私以上なので何も心配はありませんよ。」
私とお客様を見て微笑んだ。
「わ、分かりました。」
と了承してくれた。
「では、よろしくお願い致しますね。私はそろそろ診察があるので戻ります。袋を取り終えたら連絡ください。」
そう言い残してベルダさんは去っていった。
ベルダさんが任せてくれたんだ。頑張ろう!
私は耳掃除を愛しているが毛穴の角栓を取るのも同じくらい大好きだ。
前の世界?でもお客さんの鼻角栓をピンセットでちまちまと採集していたな。
角栓と違うが破れた袋の中にある脂肪や老廃物を細心の注意を払って全部取りきってみせる。




