冒険者の足の裏は傷つきやすい③
ベルダさんが靴と靴下を捨てに行ったあと、服を脱いでもらって体も診察してみると一部胴体にも白癬と疣があり、完治には数ヶ月要すると正式に診断がなされた。
翌朝になり、ベルダさんから治療の説明がなされた。
「1日の予定を説明致します。
7:30に朝食。8:15から20分まで足の薬浴、9:00に足塗り薬湿布。9:30から12:00まで自由時間です。12:00から昼食。13:00から午前と同じ治療を行います。夕食後は全身薬浴と体の塗り薬湿布を行います。」
「自由時間はどう過ごせばいいのですか?」
「自由に出歩いても構いませ。ただし、その際はこの靴を使ってください。あと、銭湯は禁止です。」
差し出された靴?は茶色の穴あきサンダル。
見た目は昔なつかしの便所サンダルだ。
「通常の靴は通気性が悪く菌を増殖させるのでこれを使って下さい。帰ったらこの消毒液でしっかりサンダルを拭いて、病室のサンダルも適宜除菌して下さいね。」
1リットルほどある大きなボトルをベッドの机に置いた。
「はい。わかりました。」
ベルダさんの言葉に落ち込んだのか
ドンさんは大きな体躯が縮こまってシュンとした様子で呟いた。
「無礼なことを言って申し訳ございません。
ですが、万が一他の方に移ってしまっては大変なので、ご協力お願い致します。」
ベルダさんは深く頭を下げた。
こうしてドンさんの入院生活が始まった。
治療は痛みがほとんどなく辛くはないようだが、
お金がないため外出は散歩くらい、よく院内の雑誌や書籍を読んでいたが、非常に退屈だったようで
"暇だ~”が口癖となっていた。
そんな日々が続いた夜の治療終わりのこと
「薬を塗り、保護ガーゼも取り替えました。もう少しで消灯なのでゆっくりなさって下さい。」
「お疲れ様です。水筒置いときますね。今日はハーブティを淹れました。リラックスできますよ!」
「ありがとうございます。お二人が良くしてくれるのでいつもゆっくり、リラックス出来ています。
でも、昼寝をたくさんして全く眠くないんですよ。」
とドンさんはため息をつく。
「では、これから3人でゲームでもしませんか?」




