冒険者の足の裏は傷つきやすい②
フ、フジツボが大群が足の裏に寄生している!?
私は一瞬、目を疑った。
だって大量の穴ぼこに黒い点々の中身がいるじゃない。
でも……それだけじゃない!
フジツボの他に足の裏全体が鎧のように分厚くガサガサ、なのに指の隙間あたりはグジュグジュと湿っている。
これは……
ベルダさんは患者さん足の裏をまじまじと診ながら、
ここまでひどいのは初めて見た。とつぶやいた。
「重度の水虫と疣、胼胝に魚の目ですね。これは、痛くて痒いはずです。今までよく我慢していましたね。辛かったでしょう。」
ベルダさん患者さんに労いの言葉をかけた。
「そうなんですよぉー!!」
患者さんはオイオイと泣き始めた。
凄まじい、足の裏が皮膚病オールスターズ状態だ。
これは常時、痒くて、歩く度に激痛が走っていただろう。
関係ないがこの人すごい扁平足だと私は思った。
「誠心誠意、治療致します。ただ、これだけの症状だと数週間の入院が必要です。よろしいですか。」
「えぇー!!入院いるほどのお金ありません!
全財産5000ルピリアなんですよぉー!!」
と嘆いている患者さん。
「診察料はお気持ちだけで大丈夫です。安心して治療に専念してください。」
「あ り が と う ご ざ ま ずー!!」
大声で泣きまがらベルダさんに感謝する。
なんだかリアクションと声が大きい人だな。
そんな中ベルダさんが静かに声を出した。
「あの、弁償はしますので着用していた靴と靴下を処分致します。よろしいですね。」
処分してもよいでしょうか?ではなく処分しますの
断言する。強い口調にいつもベルダさんの雰囲気とは違い少し驚いた。
「え? あ、はい。」
ベルダさんの迫力に驚いて返事をする患者さん。
「ありがとうございます。すみませんが
真菌やウイルスが付着していて素手で触れると感染する可能性があるので慎重に扱いますね。」
ベルダさんは使い捨て手袋を3枚重ねで装着して、靴下を目にも留まらぬ早技で袋の中に入れ結んだ。
「私はこれから靴を回収に行きますので
アイザワさん、患者さんにお茶を用意して下さい」
と足早に診察室から出て行った。
私と患者さんはただ呆気に取られながらベルダさんを見送った。




