3 調理
飯を食うことになったんだが、
どうやらここ2,3日・・・見たところもっとかも知れんが・・・碌なものを食ってこなかったらしい。
さて、どうしたものか・・・?
「なあ、粥と雑炊、リゾット辺りがいいと思うんだが、
どれがいい?」
・・・まあ、ここら辺が妥当になる。
「ええ、お願いします。」
姉の方はこう言うんだが、
「・・・いい・・・。」
妹の方は目を反らしながらそんなことを言う。
・・・絶対嫌なやつだよな・・・これ・・・。
えっ、見たところ小学生でこんなに気を遣うような子になっちゃったんか・・・?
若干の戦慄を覚えつつ、
「・・・お嬢ちゃん、本当は何が食いたい?」
俺はこんなことを聞く。
・・・だってな・・・いじらしいじゃねえか・・・。
「・・・・・・。」
「ほれ。」
「・・・甘いもの・・・。」
「和、洋どっちがいい?」
「っ!?」
まさかできるの?
と言った風にこっちを見てくる。
「ほれ。」
「・・・洋・・・。」
「う~ん・・・じゃあ・・・ゼリーなんかどうだ?
これなら胃にもいいし、食べやすい。」
こくん、こくんこくん!
「おっ、いい反応。
じゃあ、それはデザートな。
その代わり、ちゃんと昼も食べるんだぞ。」
ちゃんと美味く作るから、
と頭を撫でる。
姉の方も私は?
と言った風に見ているから、
「ちゃんと、全員分作るから、
姉ちゃんの分もあんぞ。」
すると、
パーッと明るい表情を浮かべた後、
「こ、子供扱いしないでくださいっ!」
と目線を反らす。
「わるかったな、
ほれ、そこでテレビでも見ててくれ。」
「や、やっぱり私も・・・。」
という声が聞こえたので、
それくらいなら、
と俺が了解しようとしたら・・・。
「・・・手伝いたい・・・。」
妹の方が俺の裾を引いてくる。
そして何か言いたそうにしていたから目線を下げてやると、、
「危ない。」
「・・・・・・。」
・・・また、この言葉だった。
・・・軽い手伝いだけでも危ないって・・・どういうことだよ・・・。
と思いつつ、
「妹さんが手伝ってくれるみたいだから、
そこでテレビでも見ていてくれ。」
というと、
台所をここから覗き、
残念そうに、
「・・・わかりました・・・。」
と頷くのだった。
さて、
粥やリゾットが悪いわけじゃないんだが、
俺も食うことになるわけだ。
出来れば、
ボリュームがあるものが食いたかった。
ということで、
雑炊を作ることにした。
まあ、その前にゼリーを先に作ることにしたが・・・。
調理中、
俺は妹の方とこんな会話をした。
「なあ。」
「ん?」
「お前たち荷物は?」
「・・・売った・・・。」
彼女は何ともなさそうにそんなことを言う。
「・・・・・・。」
おいおい・・・悲しいじゃねえかよ・・・。
というか、
そんなに金がねえんだったら・・・
・・・住む場所は・・・。
それもねえんじゃねえんか・・・?
そんな考えが浮かぶ。
それについて聞こうとすると、
「・・・疲れた・・・。」
と言い、
テレビの方に行ってしまう。
・・・鋭い・・・ってことはやっぱり・・・。
俺はそんなことを悩みながら、
飯を作る。