3 とりあえず飯
「で?
あんたたちか・・・。」
俺は2人を一瞥すると、
俺の声が聞こえたのか、女の子が幼女を守るように抱きしめるのが見えた。
・・・まあそうだよな・・・
普通理由もなくあんな大金渡すはずねえもんな・・・。
ぐ~っ!
「・・・・・・。」
・・・まあいいか・・・。
買い物に向かう。
さて、飯、飯。
すると、
「す、すいません。」
後ろから声を掛けられる。
「何?
これから買い物があるんだけど・・・。」
彼女は言い辛そうに口を開く。
「・・・あの~・・・私たちになんかしたりとかって・・・。」
「?」
「・・・ないみたいですね・・・。」
「?」
すると彼女は幼女を抱きしめる力を緩め、
俺に向かって笑顔を浮かべる。
「ありがとうございましたっ!
お金はいずれ返します。」
・・・真面目だな・・・。
俺がそんな感想を抱いていると、
ちょんちょん。
ズボンの裾が引っ張られる。
「優理っ!」
その声に反応し、
下を見ると、幼女がいた。
「?
どうした?」
「・・・ありがとう・・・。」
「おうっ!
じゃあな、これから帰って飯食うからっ!」
すると
きゅう~っ!
「「・・・・・・。」」
2人のお腹からそんな音が聞こえた。
「・・・なんなら、飯食ってくか?
まあ、買い物は今からだけど・・・。」
2人は頷きそうになるが、
姉の方は留まる。
「そ、そんなわけにもっ!」
きゅう~。
「・・・まあ、エコバックなくなっちまったから、
荷物持ちの代金ってことでどうだ?」
「そういうわけにも・・・。」
姉は存外固いな・・・ここは・・・。
俺は妹の方に目線を合わせる。
「まあ、困ったときはお互いさまってことで・・・
今の俺からすると、それが妥当な駄賃なんだが・・・どうだ・・・お嬢ちゃん?」
「・・・うん、わかった。」
それにしても、この嬢ちゃん随分と静かだな・・・
などと考えながら、
「じゃあ、行くか。」
こう提案する。
「うん。」
手をつないで歩きだす。
「お姉さんも来てくれねえか?
流石にこのままじゃ、誘拐犯と間違われそうだからな。
ははは、
俺を誘拐犯にしたくなかったら、頼む。」
不承不承と言った風に頷き、
「・・・わかりました・・・。
では、料理は私が・・・。」
こう返事を返したんだが・・・。
途端に、
幼女が震えだす。
クイクイッ。
手を引っ張って来たので、
高さを合わせると、
俺の耳に向かって、
「・・・危ない・・・。」
・・・まずいじゃなく、
その言葉を子の無口な子がまず最初に言ったことに危機感を覚えた俺は、
「さ、流石に勝手に台所を使われるんは困るから・・・。」
という言葉を紡ぐ。
姉はかなりがっかりしたような表情をしたが、
妹の方は俺の方に親指を立て、
「ナイス。」
という言葉をくれる。
・・・なんか知らんが、
停学中に買い物に出かけたら、借金姉妹と飯食うことになった。