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未来の王は姿を隠す   作者: 水無月 霊華
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教室での自己紹介

 俺が席についてから15分ぐらい経った頃に先生が二人教室に入ってきた。


「「「「キャー、城野(じょうの)先生だわ!」」」」

「「「「うぉー、結月(ゆづき)先生!」」」」


 その瞬間、今まで静かだった教室がいきなり騒がしくなった。

 勘違いしないように言っておくが先生はどちらも男だ。言ってなかったがこの世界の結婚は自由で男同士でも女同士でもできる。だから、恋愛において男が男を好きになることもあるし女が女を好きになることもあるのだ。あと、俺の周りにはいなかったが一人が多くの妻や夫を持つ一夫多妻制や一妻多夫制もあるらしい。


 城野先生は色の濃い金の髪に青い瞳のチャラそうなイケメンの先生で、結月先生は銀の髪に銀の瞳のきつめの美人の先生だ。

 二人ともとても綺麗(きれい)な顔をしている。



 その後、生徒たちはまだ騒いでいたが、「おーい、お前ら静かにしろー。」という城野先生の言葉で静かになった。


「よし、やっと静かになったな。まず、俺は今日からこのクラスの担任になる城野 (じん)だ。生徒会の顧問をしている。今日からよろしくな。」


 城野先生は生徒会の顧問らしい。よし、なるべく近づかないようにしよう。


 城野先生が話終わるとそれに続くように今まで黙っていた結月先生も話し出した。


「皆さん、こんにちは。今日から副担任を勤める結月 (れん)です。何か困ったことがあったら何でも相談してね。城野先生にはしにくいと思うから!今日からよろしくね。」

「「「「はーい!」」」」

「おい!結月てめえ失礼なこといってんじゃねえ!お前らも返事すんな!」

「「「「は~い。ごめんなさ~い。」」」」


 漫才を見ているように思うのは俺だけではないだろう。


「こほんっ、あー今日はクラスの自己紹介をしたら解散とする!ほとんど同じメンバーだろうが外部から来た生徒もいるからしっかり自己紹介しておけよ。じゃあ、窓側の前の席から後ろにしていけ。」


 ごまかすように咳払いをした城野先生は、自己紹介をするように言ってきた。

 俺は廊下側の一番端の列の最後から二番目だからまだまだ先だ。


 そして自己紹介が始まった。


「僕は藍染 信貴(あいぞめ  しき)だ。藍染財閥の次男で中等部の評価はA-(マイナス)だ。得意教科は社会で得意魔法は水魔法だ。よろしく。」


(わたくし)赤宮 珠理(あかみや じゅり)ですわ。赤宮財閥の次女で中等部の評価はB+(プラス)でしたわ。得意教科は数学で得意魔法は火魔法です。以後お見知りおきを。」


 なんかザ・お金持ちっていう感じの優雅な挨拶だ。俺もできるがそんなことしたら怪しまれるから絶対にしないがな。


 そんなふうに俺が聞き流しているといよいよ次が俺の番になった。

 今は俺の前の席のやつが自己紹介をしている。


「俺は陣内 隼(じんない しゅん)。陣内財閥の三男で中等部の評価はA+だ。得意教科は数学と外国語全般で得意魔法は風魔法と水魔法だ。これからよろしくな。」


 前のやつは陣内というらしい。こいつが挨拶した瞬間、また教室が騒がしくなった。

 こいつも金髪に青眼のイケメンだ。何故か最後は俺を見て挨拶してきたが俺は今も昔もこいつに会った記憶はないので気のせいだろう。「おーい、次のやつどうした?早くしろ―。」にしても2属性持ちって凄いな。このクラスじゃ俺以外はこいつだけじゃないか?「おーい、次のやーつ。早くしろって。」こいつともあんまり関わらない方がいいだろうな。イケメンだし。人気高そうだし。イケメンだし。

 大事なことなので二回言った。


「おい!早く自己紹介しろって言ってんだろうが!」ガッ

「いってぇ!」

「いてぇ、じゃねぇ!早くしろっていってんだろうが!!」


 オレは考え込んでいたらしく担任が近づいてきてるのに気づかず、いきなりファイルのようなもので頭を叩かれ、俺は涙目になった。まったく、暴力反対だ。


「先生何でいきなり叩くんですか?まずは声を掛けてください。」

「声ならさっきからずっとかけてたが?お前が気づかなかったんだ。」


 どうやら城野先生はずっと声を掛けていたらしい。マジか、ヤバい気付かなかった。


「そうなんですか。すみませんでした。すぐに自己紹介します。」


 俺はこれ以上目立ちたくないと思い、直ぐに謝って自己紹介を始めた。


「えっと、俺は河野 慎哉です。外部生です。得意教科は数学と理科で得意魔法は土魔法です。よろしくお願いします。」


 俺がそう言ったとたんに教室が陣内の時とは別の意味で騒がしくなった。


「外部生ですって。きっと平民よ。よくこの学校に入れたわね。」

「嫌だわ。平民と同じ教室で勉強するなんて。お父様に言って教室を変えてもらおうかしら。」

「今年の外部生の入学率は例年より多いらしいぞ。今年は一クラスに一人は平民がいるって話だ。」

「うわー最悪だな。それ」


 さんざんな言われようだが俺はあえて反論しなかった。ここで反論しては悪目立ちするだけだし、それは嬉しくないからだ。


 だが、その時「おい、うるせぇな。静かにしろよ。うぜぇんだよ。死ね。」という声が後ろから聞こえた。俺の後ろの席の生徒が言ったようなのだがヤンキーだ、と思ったのは俺だけではないだろう。

 俺は一応注意?してくれたお礼を言おうと思い振り返った。


「あの、ありがとうございました。注意していただい…。」


 俺は驚きで固まった。俺の予想を裏切って後ろの席にいたのは制服をピシッと着こなしたイケメンだった。俺は別に見た目がヤンキーじゃなかったのに驚いたのではない。いや、確かにそれにも驚いたが、それよりも俺はこいつを知っていた。この黒髪黒眼のイケメンを知っていたんだ。だが、俺の思い過ごしであってほしいとも思う。


 しかし、俺の願いはクラスの生徒たちにより簡単に裏切られた。


「まさか黒宮 怜斗(くろみや れいと)様がいらしてらっしゃるなんて。」

「今日は兄ぎみの黒宮 尚志(ひさし)様も生徒会にいらしてらしたから一緒に来られたんじゃないかしら?」

「ええ、そうね。きっとそうだわ。」


 やはりこの黒髪黒眼のイケメンは黒宮 怜斗らしい。

 こいつは優秀な闇魔法の使い手を多く輩出している栄光七家の黒宮家の人間で生徒会の役員をしている黒宮 尚志の弟だ。

 昔、俺は栄光七家の子供たちとはよく遊んでいたからよく覚えている。四年前は泣き虫で今と雰囲気がぜんぜん違うから気付かなかった。

 にしても栄光七家の人間には気づかれる可能性が高いのであまり接触しないようにと思っていたのに今日で二人の人間と会ってしまっている(生徒会を抜かして)。はぁー。


 その後、礼を言った俺を黒宮弟は睨み付けて教室から出ていった。何故だ。


 俺は少し悲しい気持ちになった。



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