第一試験の結果は?
大変だった休日が明けてコウ達と三人で学校へ登校した俺を待っていたのは、多くの敵意の籠もった視線だった。
「おいシン!お前何したんだよ!」
戸惑った様子で聞いてくるコウ。
だが俺も理由が分からない。俺はまだ、何もしていないはずだ。
「俺にも分からないよ!」
小声で会話をするが、一向に敵意の視線は消えない。
「え!?シン!これだよ!これのせいだ!」
俺達の傍で携帯を見ていたナナが驚きの声を上げて、携帯の学校掲示板を見せてくる。
俺は驚きながらも携帯を覗き込むと、そこにある情報が出ていることを知った。
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一年第一試験 結果 筆記
一位 風間 俊也
二位 黒宮 怜斗
三位 如月 紗良
四位 四葉 渚
五位 河野 慎哉
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十位 宮崎 浩太
十一位 宮崎 七海
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一年第一試験 結果 魔法実技
一位 黒宮 怜斗
二位 風間 俊也
三位 四葉 渚
四位 如月 紗良
五位 河野 慎哉
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九位 宮崎 七海
十位 宮崎 浩太
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三学年合同特別試験 結果
一位 河野 慎哉
二位 赤井 暁久
三位 氷河 葵
四位 葛西 大河
五位 白宮 誠司
黒宮 尚志
睦月 彰
六位 風間 俊也
黒宮 怜斗
七位 文月 海里
水無月 周防
八位 師走 翠
二葉 鈴音
九位 四葉 渚
如月 紗良
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三十七位 宮崎 浩太
宮崎 七海
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一年第一試験 結果 総合
一位 風間 俊也
二位 黒宮 怜斗
三位 河野 慎哉
四位 四葉 渚
五位 如月 紗良
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七位 宮崎 浩太
八位 宮崎 七海
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何だよこれ…。目の錯覚か!?
「何だ、これ……。試験結果!?三位!?嘘だろ!?」
驚きすぎて声も出せない俺の代わりにコウが大声で驚いてくれた。
それでこれが俺の目の錯覚ではないことが証明されてしまった。
「おい!どうなってんだよシン!これ!」
「俺も知らねぇよ!」
俺は揺さぶられて怒鳴られた言葉に怒鳴り返す。
だが、これでハッキリした。
この敵意のこもった視線はこの試験結果のせいだ。
特にこの、三学年合同特別試験ってやつ。
聞いたこともないが、これで栄光七家を差し置いて一位をとってるからだ。
やばい。これじゃ、どうぞ正体を見破ってくださいって言ってるようなもんじゃねぇか!
「シン!これからどうすんだよ!やばいぞお前。」
コウの言葉に現実に引き戻された俺はとっさに言葉を返す。
「どうしようもないよこれは!それより、二人も高順位とってるよね!?この敵意の視線の何割かは二人にも向いてるみたいだけど!?」
それはコウに向けた言葉だったが、反応したのはナナだった。
「うぇ!?本当!?嫌だなそれ。まあとりあえず、二人共教室に行くよ!ここで止まっててもどうにもならない!」
ナナは一瞬嫌そうに顔をしかめたが、直ぐに気をとり直したように叫ぶと、俺達二人を引きづるようにして教室へ向かって歩き始めたのだった。
Cクラスの教室にはまだ誰もいなかった。
寮を早く出た事が功を奏したらしい。
「で、これからどうするの?とりあえず教室来たけど、試験結果が出たって事は私達もクラス替えされてるはずだよ。ついでに言うと、さっき確認したら私はAクラスだった。二人も早く確認したら?」
ナナに言われて慌ててメールを確認する俺とコウ。
「あ、俺もAクラスだな。まあナナと点差そんな変わんないから当たり前だな。」
どうやらコウはAだったらしい。まあ、本人が言ってる通り当たり前だよな。
「そうね。じゃあシンはどう?点数的にはSSクラスでもおかしくないんだけど…。」
「ははは。SSはないと思うよ。あそこは三学年合同クラスでしょ?しかも定員は20人だよ?無理だよ。」
恐ろしい事を言うナナについ反論してしまった。
あんな知り合いの巣窟に入ったら絶対にバレてしまう!だからそんなこと言うな!本当になりそうで怖いたろ!
「確認しなきゃわかんないでしょ!ほら、早く見る!」
怒りながら急かすナナに苦笑しながら、改めてメールを開く。
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河野 慎哉殿
試験の結果より、貴方は今日からAクラスとなりました
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俺はほっと胸を撫で下ろす。
ナナの言うとおりにならなくて良かった。しかも二人と同じクラスだ。
「Aクラスだったよ。二人と一緒だね。」
二人に携帯を見せながらそう言う。
嬉しすぎてにやけてしまうのを抑えられない。俺は今、満面の笑みを浮かべているだろう。
だが、納得していた俺とは違い、二人は不満げに表情をしかめた。
「あの点数でAクラス!?そりんなことありえないだろ!」
「コウの言うとおりだわ!先生に抗議しましょう!」
二人はいきり立っているようで、直ぐにでも職員室へ乗り込みそうな勢いだ。
「二人とも落ち着いて。俺は気にしてないから。それに初めての高校生活でいきなりエリート集団に放り込まれなくて良かったよ。今でも十分授業についていけるか心配だからね。」
俺は苦笑を浮かべながらも二人をなだめにかかる。
ただでさえ目立ってるんだ。これ以上騒ぎを大きくして我が身を危険には晒したくないんだよ!頼むから落ち着いてくれ!
心の中ではそう思いながらも、焦りは表に一切出さずにゆっくりと二人に言い聞かせる。
「それに同じクラスになれた事を喜んではくれないの?それは少し悲しいんだけど。」
少し落ち込んでいるような雰囲気を作ってそう言ってやれば、二人は直ぐに陥落した。
「そんなことないよシン!私もコウも嬉しいに決まってるじゃん!」
ナナの言葉にコウもしっかりと頷いている。
俺は安心したような表情をつくって二人にお礼を言う。
「ありがとう二人とも。よし、とりあえず今はAの教室に行こうか。いつまでもここにいるわけにはいかないし。」
俺の提案に二人が頷いたのを確認すると、俺はかばんを手にとって教室を出たのだった。




