平和な休日
鳳凰学園の広い敷地の中には、映画館やレストラン・巨大訓練場等の施設がたくさんあるが、俺は今、コウとナナに誘われてショッピングモールに来ていた。
鳳凰学園のショッピングモールは、流石金持ち学校というだけあってOBとして世界的に有名な財閥が多く出店しており、高いが品揃えや品質は良い。
「コウ。これは、何だ?」
俺はたまたま目についたある物についてつい聞いてしまった。それは小さいたぬk……コホンッ、猫型のロボットで、俺が水門家にいた頃に前世の記憶から作ったしゃべる人形に似ていたからだ。
あれは確か某青い狸…じゃなくて、猫を真似たものだから、この世界には一つしか存在しないはずだ。それが何故こんな所に大量に並んでいるのか……。
「うん?ああ、それはお掃除ロボだよ。昔水門家のある方が作った物を改良した物らしいぞ。不思議な見た目だよな〜。狸にしか見えないのに猫らしいんだからな〜。」
「………お掃除ロボ。…」
うわー。昔趣味で作ったおもちゃが、いつの間にか生活に役立つ物に進化してお店に並んでるんだけど。これはいいのか?一様これ、他の人が考えたキャラなんだけど。著作権侵害とかにならないよね?捕まったりしないよね?……まあ、お掃除ロボにしたのは俺じゃないから俺には関係ないか。
「二人共、先に行こうか。ごめんね。こんな所で止まっちゃって。」
俺は猫型?のお掃除ロボを見なかったことにして、二人を先に促した。
「いや、別にいいけど。シンはあれが買いたかったんじゃないのか?」
「あははは。何言ってるんだよ。俺は別に掃除は自分で出来るし、あんな物はいらないよ。」
「そうか?ならいいが、シン。言葉には気をつけた方がいいぞ。あれを作ったのが水門家だって言うことを忘れたらだめだ。」
「あっ。」
やばい。そうだった。あれ作ったのって一応水門家だった。今のを誰かに聞かれたら、ただでさえ悪い立場が更に悪くなる。
「そうだな。ありがとうコウ。」
「いや、別にいいよ。じゃあ、買い物行くか。」
「…ああ。」
俺はコウの言葉に静かに頷くと、コウと空気と化していたナナと共に目的の店へ向かう。
その途中で、空気と化していたナナが思い出したように聞いてきた。
「そういえば、シンは何を買いに来たの?私とコウは歯ブラシとかの洗面具と文房具なんだけど。」
「ん?俺?俺も洗面具と文房具だよ。」
まあでも、普通の文房具じゃなくて魔力の籠もった文房具の方だけどな。この学園にそんな魔道具があるって知った時は驚いたけど、面白そうだし見てみたかったんだよなぁ。まあ実用できるのかは別として。
「へえ同じか。じゃあ先に文房具屋に行こうよ!私、文房具の魔道具を見てみたかったんだ!」
「そうだな。俺も魔道具には興味ある。シンはどうだ?」
「うん。別にいいよ。」
二人の期待の籠もった眼差しに断りきれず、(まあ断る気もなかったが)俺は同意した。
それにしても二人とも魔道具に興味があるなんて珍しいな。この世界じゃ、魔道具作りは性能によって報酬が変わって、収入が安定しないからあまり人気のある職業ではないのに。
「二人は魔道具に興味があるのか?」
「珍しいか?まあそうだよな。俺達の祖父が魔道具職人でさ、小さい頃から色々見聞きしてきたから、この世界に祖父を越えるどんな良い魔道具があるのか知りたいんだ。」
コウの真剣な言葉に俺は少し驚いた。コウってこう見えておじいちゃん大好きっ子だったんだな。ナナもうんうん頷いてるからおじいちゃん大好きっ子か。人って見かけによらないなぁ。
「あ、シン。今失礼なこと考えたでしょ!」
ナナ。お前はエスパーか。
まあ否定するけどな。
「そんな事は考えてないよ。それよりさ、もう着いたけど入らないのか?」
俺は話を反らして文房具屋を指差す。話を反らしたことはバレバレだろうが、そこはまあ大丈夫だろう。今回は文房具屋に夢中で追求してこないだろうから。
「あ、本当だ!早く行こう!コウ!シン!」
「はいはい。そんなに急がなくても魔道具は逃げないぞ。」
俺は話しながら文房具屋に入っていく二人を見つめる。
ナナを嗜めたコウも急いで文房具屋に入っていってるように見えるんだが。説得力が皆無だな。まあそこを指摘するほど俺は野暮ではないが。
にしても、この文房具屋からとてつもない魔力を感じるんだけど。しかもこの感じって何か覚えがあるような…。
うーん。どこでだろう?思い出せない。
「シーン!何してるの?早く来なよー!」
「あ、うん!今行く!」
俺は首を傾げながらも、一旦は考えるのをやめて文房具の魔道具に集中する事にした。




