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男の日常と変化

俺の人生はさほど悪くなかったんじゃないか。歩んで来たこの道は間違ってなかった。

今はちゃんとそう思える。

これから話す物語は冴えない俺とあの人達との出会いから始まる。

こんな事件が10数年前にあった。生後8カ月の息子の性器を母親が切り取った、というものだ。母親は錯乱状態で息子を抱え、病院に駆け込んだ。息子はなんとか命を取り留めたが性器はズタズタに切られ、機能しない状態になっていた。東京地裁は母親を懲役3年の実刑判決を言い渡した、という事で事件は一旦幕を閉じた。実は、この中の性器を切られた赤ん坊というのは俺だ。

俺の名前というのは、毒島醜男(ぶすじましこお)という。この目立った名前のせいでどこに行っても、「ああ、あの事件の子ね。かわいそうに」と哀れみだけを向けて来る大人を沢山見てきた。決して俺が助けを求めても、少しも聞かなかったくせに世間体だけは気にしていた。

そして、それから少し経って、俺は小学1年生で里子に出された。正直言って、孤児院も俺を厄介払いしたかったんだろう。俺を引き取りたいという夫婦が現れてから、1週間もしないうちにその夫婦の養子になった。

俺も最初は警戒していたが、オモチャを買ってあげるから“お父さん”、“お母さん”と呼んでというお願いにコロっとやられた。

それからはそれなりの人生を歩んだがやはり、人生というのは上手くいかないもんだ。色々な人に怒られてもう、ヘラヘラと笑って済ますようになってしまった。そして、全てが嫌になりいつもの駅をわざと通りすぎた。自分の事を知ってる人がいない街に行きたかった。

でもそれが、間違いだったのかもしれない。いっそのこといろんな所に行ってやろう、と思って通りをブラブラ歩いていた。しばらく経って大通りの方に戻ろうと思って、ひたすら歩いたが全然着かなかった。ただただ、同じような路地裏の景色がずっと続くだけだった。遠くにやっと人影が見えたと思ったらそいつらは俺の思った人とは違った。

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