幸せ
時は過ぎ、響音は84歳になろうとしていた。歳をとるとともに身体も弱ってきた響音の身に…。
時は過ぎ…
私は大学を卒業し子育ても終わり孫の世話をしていた。
私は今年で84歳。女性の平均年齢間近になっていた。孫達ももう高校生。進路のことでバタバタしており忙しない日々が続いた。
そんなある日、私は体調を崩し入院生活を送ることになった。
検査の結果胆のうガンの末期まで進行していたらしい。84年生きてきたのだからしかたないことだと受け入れることにしたが子どもたちや孫たちは納得いかなかったらしい。
それも仕方がないのでしょう。今まで元気に老人会や畑に行ったり、孫の世話をしてきたのだから。
入院生活になって1人になると、いろんなこと考えたり思い出したりしていた。
「なこちゃん、元気かしら?もうすぐ私もそちらへ行くようですよ。あっ…約束覚えてるかしら?…ふふ。懐かしいわね。あの頃が1番楽しかったわ。」
ぼそぼそと独り言のように言っているといつの間にか寝ていた。
私はその日から目を覚ますことはなく、どんどん衰弱していった。でも耳だけはきこえていて子どもたちや孫たちの悲しげな声とモニターの音がしていた。
それから3日後、私は苦しむことも無く眠るように息を引き取った。
この世から旅立った私は記憶があまりなかった。ただ、何かあった気だけしていた。あの世への扉を開け中に入ると見覚えのある人達が待っていた。
両親、祖父母、そしてなこちゃん達家族。
その時やっと思い出した。私が撫子と一緒に過ごした日々を。そして撫子がこの世から旅立った後、交わした約束を…。
それからは別れる悲しさを経験しなければならない状況になることは無く仲良くこの世界で楽しく過ごした。撫子と私はあの世界を離れた歳が違うため見た目はおばあちゃんと孫のようだが、それでも昔と変わらずずっと親友でいました。
「完」
最期まで読んでくださりありがとうございました!
またシリーズ等出せたら出したいと思ってます!