~大切な宝物~
高校1年生の響音と同じく高校1年生の撫子の出会いと別れの物語。同じ内気な性格の2人は意気投合し仲良くなるも、楽しい時間はそう長くは無かった…。
ピー…
それは命の終わりを告げる音だった。
20xx年春私は高校に入学した。
小学校も中学校も小さく高校はみんなバラバラになった。友達も知ってる子もおらず1人ぽつんと校門に立っていた。元々内気で自ら話しかけられる性格ではなく、ましてや初めて大きな学校に入学することになった私はアリンコ程小さな物体になったかのように人も校舎も大きく見えた。
桜の花びらが舞い暖かく優しい風が吹いた直後、1人の女の子が声をかけてきた。
「あっ…あの…新入生ですか…?」
振り向くとそこには髪は腰くらいまで長く、でも触れるとちぎれそうなくらい細くサラサラとなびかせるふんわりとしたオーラのちょっと小柄な女の子が挙動不審な動きをしながら立っていた。
「はい。」
私は素っ気ない返事をしてしまったのだろう…。彼女はビクッとしてから震えた声で自己紹介を始めた。
「あっ…あの…私…桜撫子って言います…。あの…私も今日からここに通います…。それで…もし良かったら…あの…嫌だったらいいんですけど…その…友達に…。」
相当怖い印象を与えてしまったのだろう…。途中ですごく泣きそうになってた彼女を見て話してる途中で答えてしまった。
「いいよ。」
私は内気で警戒心が強いのか、初めての人に話しかけられると強がってしまう。でも「いいよ。」と答えた瞬間少し驚いた顔をした後満面の笑みを浮かべた彼女は天使のようだった。
そこから私達の物語が始まった。