弐 反逆者
グランドの中央に集まったワル逹の行動は段々エスカレートしていく。今度はいつもいじめの対象となっていた、小柄な少年に手をだし始めた。
「調子のってんじゃねーよ」
「やめてよ…」
諦めているのか、小柄な少年はあまり抵抗せず殴られ、蹴られ、ただ耐えていた。これが反逆者逹の怒りに火を付けた。
「止めろよ、お前ら!!」
「そんなことして悪いとは思わないのか!!」
そしてミカンバと呼ばれた男はワルどもの1人を殴り1メートルほど飛ばした。
突然の反撃に驚き、そして怒りを露にしたワル逹の仕返しとばかりの拳が凄いスピードでミカンバに迫る。だが周りの緊張とは裏腹にミカンバはその拳を軽々と避け、逆にその腹に鋭い拳を深々と突き立てた。 周りもワル逹もかなり驚いていたが、生身では勝ち目はないと悟ったのか、ついに本領発揮とばかりに杖をだすと、空中に魔方陣が描かれそこから、三人がかりでレグルスに向かって火の玉を浴びせかけた。喰らえばひとたまりもなく、危険な状況にもかかわらず、レグルスは笑っていた。
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「先生、大変です!」
「どうした?」
学級委員長が、転校生逹のことを教師に伝えに職員室に走っていた。
「転校生と血気逹が喧嘩を、このままでは転校生が死んでしまいます。」
「・・・この学校の教訓は 弱肉強食 だ。やらせておけ。」
「で、でも」
「口答えする気か?」
「・・・」
学級委員長は何か言いたげな表情をしていたが、少しすると走り去っていった。
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レグルスは背中の大鎌を手に取った。そして一振りした。気づけば火の玉は空に消えていた。
「あいつ、何しやがった?」
その言葉が終わる前にレグルスの反撃が始まった。一瞬で残った三人を伐り、一気に血気との距離を縮める。反対からミカンバも踏み込む。
「や、やめろー」
「「はぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」」
二人の拳と鎌の挟み撃ちによって、ワル逹の中心角は倒れた。その瞬間、二人の周りから歓声があがった。
「いぇぇぇぇぇい」
二人は握手を交わした。二人には言わずとも分かった。それは再会とこれからへの希望の握手であった。