壱 過去
グランドに集まった3ー1メンバーは明日から始まる実戦試験に向けて、それぞれが練習し始めた。だが、ワルの名は伊達じゃなかった。
「邪魔だ、雑魚ども!!」
「そうだそうだ!!」
「どかねぇということは覚悟できてんだろうなぁ」
「やっちゃってくだせぇ血気さん」
授業に遅れたにも関わらず、このクラスのワル逹の中心角である5人組がグランドの中央に広く陣取り、「血気」と呼ばれた、いかつい顔をした男はその中央に満足そうにあぐらをかいた。周りは慣れているかのように場所をあけた。この学校内で暴れまわる者逹の行動に異議を唱える者が二人いた。
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その二人はやけに息が合った。今回のこともそうだが、自己紹介のときに目があったとき、初めてあった気がしなかった。レグルスが最初に話しかけたのは授業の始めの時だった。その青年は他の者より若く見えた。青年はまわりから「ミカンバ」と呼ばれていた。その名前にも聞き覚えがあった。確か出逢いは3年前の夏だった。その頃レグルスは事情があり、街で盗みをはたらいて、丸三日逃げ続けていた。ちょうど食品店からその日の分の食糧を盗み、逃げ損ね、中年の男三人に崖に追い詰められ、腹をくくっていたときだった。崖の下から声が聞こえ、見てみるとそこには立派な海賊船があった。何人かが手を招いている。10mはある崖から飛び降りて無事でいられる保証はなかった。だがレグルスは何か運命的なものを感じ、自信に満ち溢れていた。
「今しかない」
そう心に決めたとき、レグルスの身体は宙に浮いていた。数秒間の無重力感覚の後、下からの強い衝撃により、レグルスは自身の身体が無事な事を知った。
「お前、大丈夫か?」
突然話しかけてきた少年、そう、この少年こそがミカンバ、後のレグルスの相棒となる男である!!