帰宅
「大丈夫ですか?セシリアお嬢様。顔が赤いようですが」
「だ、大丈夫よ!!」
私の顔を見て、ニコニコとそんなことを言うロック。あなた…緊張とけるの早くない?さっきまでカチコチだったくせに〜!!
でも、ロックも若いけどちゃんとした執事だもんね。動揺しているだけじゃ、執事何て仕事に就けないもの…。
小さい頃から、面倒を見てくれて、年の離れたお兄様みたいに慕っていたけど、たまーに今みたいにからかって来るのよね〜。ニコニコっていうか、ニマニマしてるわ…!!
「そうでございますか。目も潤んでおりますよ?」
ほら、やっぱり楽しんでる!!ま、普段優しいからね。からかわれても、ぜんぜん嫌じゃないしね。
それより、婚姻届ですわ!あれを渡してもらわなければ……!!
「大丈夫ですわ…。それより、私まだ公爵様にお話しした「さて、皆さんお待ちかねでしょうから入りましょうか」
「そうですね。皆様、ラシュトン公爵様とセシリアお嬢様がお帰りになられました」
ロックが開けたドアの先では、何だか見慣れない光景が……。
バタン!!
「どうしたのですか?セシリア」
「い、いえ、何でも…」
ちょっと待って!!今のは、幻覚?幻聴?部屋の中が、有り得ないことになっていた気が…。もう一度、開けてみなくちゃならないのよね。
ガチャ。
ドアをもう一度開けると、やっぱり現実だわ…。テーブルの上には、鳥の香草焼き、ハムにベーコン、パン、野菜たっぷりのスープ、ケーキなどなど…。普段は、こんなに沢山の料理は作らないし、なんといっても超豪華。
まぁ、家の中ではですけどね…。他の貴族様達は、毎日すごい料理を食べているそうです。私は、あまり好きではないですが…。
というか、何でこんなに沢山なの…?
絶対にお祝い用ですよね…。そう考えたら思い当たることが一つしか……。
「お帰りなさい」
「た、ただいま、お母様」
ほら、お母様もご機嫌だし。お父様は、嬉しさと何か…寂しさかしら?が入り混じった顔をしていらっしゃるけど。
…やっぱり(いや、絶対)アレよね。アレ。ほかに思お当たることってないものね……。
あぁぁぁ!!ここまでお祝いモードだったら、今更‘嫌だ’なんて言えない…。
お父様(は分からないけれど)と、お母様はがっかりするわよね…?お兄様は喜びそうだけど。
でも、この空気じゃ流石にね…。空気の読めない痛い子レベルの話じゃ、なくなりますしね。
「おめでとう〜!!二人とも結婚するんでしょ!?」
「そうですよ」
なーんていう、ルーシーと公爵様のやりとりなんて聞いてるはずもなく…。
「お姉さま、お姉さま!!公爵様ってカッコいいのね!!」
耳元で周りまで聞こてるかもしれないヒソヒソ声で聞いてくるルーシー。
「…えぇ」
「やっぱり、公爵様はオーラ?がすごいねぇ〜」
「…えぇ」
ほとんど聞いてない状態で、頷きました。肯定のみの返事です。
「お姉さま、こーんなにカッコイい人と結婚するんでしょ!?」
だんだんと声が大きくなっていたルーシー。セシリアはそのことには全く気づかずに話していた。この一言にその場にいるみんなは、話をやめセシリアに視線が集まる。
「…えぇ」
まだ、頭の中で戸惑っているセシリアは、またそう返した。
「あらぁ〜!!」
シンディはそう言って、嬉しそうに。その横に立っているエドワードは何ともいえない顔へ…。
「そうか。セシリア。決めたんだな…。良かった……。本当に良かった。いきなり結婚話なんてして申し訳なかった…」
そう言って、少しだけ苦そうに笑ってデリックは娘を抱きしめた。
抱きしめられたときに、セシリアの意識が返ってきたが、まだぼーっと放心状態。
「どうか、娘をよろしくお願いいたします」
と、デリックは公爵様に向き直って言った。
読んで下さり、ありがとうごさいます。
ところで、ひさびさに出て来た名前があります。
なのでここで少し説明を。
デリック…セシリアの父親
シンディ…セシリアの母親
エドワード…セシリアの兄
ルーシー…セシリアの妹
シリル…セシリアの弟
がセシリアの家族です。
これからも、ちょいちょい出していきたいと思ってます。