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序
夢を、見ていた。
幼い頃から、時折思い出したように見る、夢。
自分の家族なのに、ちょっと違った服を着て。ちょっと違った名前を呼ぶ。そんな、夢。
小さな頃、年に一度くらい、見ていた夢。
なじみの夢。
でも、今回は。
いつものようには、『私』に、なりきっていなかった。
そう・・・。
言うなれば、鏡を観るように、窓から外を観るように、その光景を見ていた。
よくよく見えるのに、手で、触ることができない。まさに、夢。
いつもと同じ、『私』の顔。なのに。
『私』が、『私』でないような。
そんな、『夢』を。