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『魂を誰にも統治させるな 〜悪役令嬢・九条院麗華の過激すぎる特別授業〜』  作者: 水前寺鯉太郎
東京編

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第61話:『女王の玉座(ロイヤル・チェックメイト)』

「……あら。随分と、不細工に『高いところ』まで逃げましたわね、雅人兄様」

 帝都学園最上階、地上350メートルの「当主の間」。

 全面ガラス張りの部屋で、雅人は冷徹にモニターを見つめていた。そこには、Z組を含む全生徒の「戸籍」と「親族の資産データ」が、消去待機状態で並んでいる。

「……麗華。一歩でも進めば、Enterキー一つでこの生徒たちの『未来』を消去する。……君が山口や岡山で救った『ゴミ』共の人生も、一瞬で更地だ。……さあ、膝をつき、九条院の名を捨てて消えろ」

 雅人の指がキーボードに触れる。

 だが、麗華は優雅に日傘を肩に預け、一歩も引かずに微笑んだ。

「……雅人兄様。……あんたは数字を消せても、彼らの胸に灯った『火』は消せませんわ」

 その時、学園の広場から地鳴りのような咆哮が沸き起こった。

 モニターの監視カメラが映し出したのは、学園の正門を強引に突破し、中庭を埋め尽くす群衆の姿だった。

「――先生! 助けに来たぜ!!」

 先頭には、広島の大型トラックを連ねた加藤の仲間たち。

 その横には、岡山の廃工場から最新の「妨害電波ジャミング装置」を担いできた職人たち。

 さらに、山口の錦帯橋を渡って駆けつけた穂井田、優、泰久ら教え子たちが、制服のまま拳を突き上げている。

「……なっ、なんだこの連中は!? 警備ドローンはどうした!!」

「……へっ。……雅人、お前の『高いおもちゃ』は、岡山の技術(腕)と広島の気合パワーで、全部ただの鉄屑に変えてやったぜ」

 背後の扉を蹴り破り、加藤が無線機を片手に現れる。

 雅人のシステムは、地方から集結した「現場の力」によって、物理的にネットワークを断絶されていた。消去コマンドは、もはやどこにも届かない。

「おんどれ、ええか」

 麗華の広島弁が、帝都の空を支配する。

 彼女は雅人のデスクを扇子で一喝し、その胸ぐらを掴み上げた。

「……雅人兄様! ……あんたが座っとるその椅子はな、誰の心も震わせん、ただの『不細工な粗大ゴミ』じゃ!! ……見んさい! あんたが『ゴミ』と呼んだ者たちが、今、あんたの不細工な王国をひっくり返しとるんよ!!」

 窓の外、生徒たちが一斉にペンライトを振り、麗華の名を呼ぶ。

 それは、雅人が作り上げた「数字の秩序」が、麗華の「魂の統治」に完膚なきまでに敗北した瞬間だった。

「……チェックメイトですわ。……さあ、雅人兄様。……その高いところから降りて、泥にまみれた『本当の世界』を歩いてごらんなさいな」

 雅人の手から、ワイングラスが落ちて砕けた。

 女王、帝都を完全制圧。

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