表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『魂を誰にも統治させるな 〜悪役令嬢・九条院麗華の過激すぎる特別授業〜』  作者: 水前寺鯉太郎
N高編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/62

第49話:『白蛇の脱皮(ロイヤル・リボーン)』

発表会翌日の放課後。学園の応接室には、鉛のような沈黙が満ちていた。

 毛利本家の代理人たちが、一枚の書類を突きつける。

「……優さん。昨日の醜態、一族の恥です。特待生資格は即刻取り消し、これまでの学費も全額返済していただきます。……お父様の仕事についても、覚悟はできているのでしょうね?」

 優は、ピアノを弾いた時のあの輝きを失い、青ざめた顔で震えていた。

「……ごめんなさい……。私が、勝手なことをしたから……」

 その時。

 「……あら。随分と、不細工に『お安い』嫌がらせですわね、毛利さん」

 扉を蹴り開けることもなく、けれど空気そのものを押し広げるように麗華が現れた。

 後ろには、腕を組んで睨みを利かせる穂井田と、スマホで何らかの数値をチェックしている加藤。

「九条院先生、これは一族の問題だ。部外者は……」

「お黙んなさい」

 麗華の閉じた扇子が、大理石のテーブルを鋭く叩いた。

「……優さんの才能を『投資対象』としてしか見ていないあなたたちに、彼女を語る資格はありませんわ。……学費の返済? ……結構ですわ。……加藤さん、例のものを」

 加藤が、無造作に一束の書類を放り出す。

「……へっ。……毛利グループが最近手を出した『岩国再開発』の不透明な資金流用……その全貌と、九条院家による債権の買い取り証明書だぜ。……おたくら、今さら優ちゃんの学費どころじゃないだろ?」

 代理人たちの顔が、一瞬で土色に変わる。

「おんどれ、ええか」

 麗華の広島弁が、重厚な応接室を「戦場」に変える。

「……優さんはな、あんたらを飾るための白蛇じゃないんじゃ。……自分の脱皮に痛みを感じ、血を流してでも新しゅう生まれ変わろうとしとる『一人の人間』なんじゃ! ……その未来を、不細工なカネの話で汚すんなら……この私が、山口の地図ごと書き換えて差し上げますわよ!!」

 麗華は、呆然とする優の前に跪き、彼女の泥に汚れたような手を、真っ白な手袋で包み込んだ。

「……優さん。……九条院麗華が、あなたのパトロン(後援者)になりますわ。……ただし、これは施しではありません。……あなたが世界を震わせるピアニストになり、その価値で私を驚かせるという『契約』ですわ。……受け入れる勇気は、ありますの?」

 優の瞳に、再びあの不協和音の火が灯る。

「……はい。……私、もう……籠の中には戻りません!」

 女王の山口編、完結へのカウントダウン。

 一人の天才を救い出した麗華の前に、ついに毛利本家の「当主」が、最後の審判を下しに現れようとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ