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『広島のクソ学園に転任した悪役令嬢 ~罪と孤独を武器に、生徒に牙と誇りを授ける~』  作者: 水前寺鯉太郎
3年生編

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13/24

第13話:気高き薔薇たちの戴冠(グラデュエーション)

「……さて、私も『更生』の続きを始めなくてはなりませんわね」

 誰もいない教室。麗華は教員免許と辞職願を、主を失った教卓に置いた。

 かつて「悪役」として追放された彼女が、この広島で見つけたのは、失ったはずの「王国」よりも遥かに強固な、生徒たちとの「絆」という名の統治圏だった。

 校門を出ると、さくら、拓哉、千尋が待っていた。

「先生! 本当に行っちゃうの?」

「……追いかけっこは、昨日で卒業したはずですわよ、河野さん」

 麗華は日傘を差し、立ち止まる。

「先生。俺たち、あんたに恥じない薔薇になるよ」

「期待していますわ、佐々木さん。……千尋さん、あなたの『計算』を、次は誰かの幸せのために使いなさいな」

 麗華は一度だけ、眩しそうに彼らを見つめ、そして背を向けた。

 広島駅のホーム。

 発車のベルが鳴る中、麗華はさくらから手渡された包みを開いた。

 そこには、ソースの匂いと共に、歪な文字で書かれたメッセージがあった。

『麗華先生へ。お好み焼きは、焦げたところも味なんです。あんたの傷も、全部ひっくるめて、私たちはあんたが大好きですわ』

 麗華は扇子で顔を隠し、一口、その「不細工な味」を噛み締めた。

「……味が、濃すぎますわ。……広島のソースは」

 新幹線が加速する。

 窓の外には、教え子たちが屋上で振る、2年B組の学級旗が見えた。

 九条院麗華は、静かに扇子を閉じ、新しい戦場――次なる「教育」の地へと、優雅に視線を向けた。

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