第4話 前世の記憶
あくる日、朝早くから父さんと買い物に出かけた。
村の雰囲気は朝の方が好きだ。
僕をバカにしてくる同年代の奴らもほとんどいないしね。
「父さんパン屋に小麦卸したら次はどこ行くの?」
「あー、昨日みんなで家の裏の畑耕したろ?あそこに植える新しい作物の苗を探してるんだけど何が良いかなぁ。
ピスタはきっとこれからも農民で生きていくと思うんだけどお前が決めてみるのも良い経験になるんじゃないか?」
「農民確定かぁー。父さんたちに相談せずにポイント割り振った事、結構怒ってる?」
「いやいや、そんな事ないよ!そうかまた決めつけたな、農民って。ごめんごめん。
ピスタはさ、自分の思うがままに生きてみてもいいんじゃないかって、ダサいんだけど昨日カシュウに言われてさ。なんか、頭ちょっと痛いわ。」
父さんは照れくさそうに頭を掻きながら続ける。
「俺達村の人間はそんな事これっぽっちも考えた事も無かったから、ハッとしたんだよ。おまえいい兄ちゃんを持ったな。」
「うん!」ほっこりした気持ちを胸に笑顔で返した。
「僕、実はさ、」
「おっ!なんか育てたいもんでもあるのか?」
「うん。昨日ね種を見つけて。【鑑定】みたいなのをかけてみたんだ。」
すると父さんは目を見開いて
「ちょちょちょ!ちょっと待てよ!!鑑定が使えるのか?!どういう事だ?!だってピスタのスキルのほとんどが
【投石】に割り振ったって・・・どうやって他のスキルが覚えれたんだ?」
「昨日言いづらかったんだよ。父さんたち落ち込んでたし。ちょっと嘘ついちゃったって言うか。」
「や、それはなんか、ごめんな。」
僕はううんと首を振りながら
「ちょっと特殊なんだけど【前世の記憶】ってスキルがあってもう実は既にLv9なんだけど、前世の僕のおかげでステータスの使い方をよく知ってたみたいで、手に触れた物の情報がステータスに表示されるんだよ。」
口を開けた父さんは
「え?なにそれ、9LV?!にわかに信じられないけど、確かにピスタってモノを持って目を瞑ってる事あるよな。ってか似た話昔父さん聞いたかも?もしかして2回目か?」
「そうだよ!6歳くらいの時に言ったんだけどあの時父さんにステータス画面の説明したら気味悪がられるかと思ってぼかしながら言ったんだよ!ぼかし過ぎて伝わらなかったんだけど。」
「そうかぁー。悪い!!でも家族に嘘はダメだぞ。」
「ごめんなさーい。じゃなくって!昨日見つけた種の事を調べたら
【タポポンの種】
【成長促進*2】っていう【アビリティ】を持った種だったんだ!」
「んー。アビ リテ イ何それ?」首をかしげた父さんの頭にハテナが浮かぶ。
「能力だよ。」
「って事はどうすればいいんだ?」
「まずその種を育てて増やしたいんだけど。せかっく作った畝を1列もらったり・・・できませんか?」
「あのなー俺達は農民だからさぁ、食べれられるものにしないと税金も納められないし。」
やっぱ無理かぁ~そう思っていたけど。
「って言うとでも思ったかい?」ニヤリと笑う父さんは
「好きに使いな!!」僕に背中を向けてサムズアップしていた。