【プロットタイプ】恋愛感情はない
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
逆に言えば『恋』以外は全部向けてるんだよなぁ。
恋愛感情。相手に強く惹かれる。些細な事でも感情が揺さぶられる。些細な仕草でもときめく。其れらを改めて鑑みると、やはり恋愛感情はないらしい。
スマホでネタ集めをしていたら、『どうすれば、旦那を傍に置いておけますか?』なんて質問記事が流れて来た。其れに着いて、多くの者が『貴方が見る目がない』やら『恋愛体質を直さないと無理』なんて帰ってくる。
そこまで考えて、目の前の瑠衣を見る。何時もと同じ様に、スマホとタッチペンを使って、文字を打っている。表情は真剣そのものだった。
瑠衣にとっては執筆こそが恋人。其れにとって変わるものは無い。だから浮気や不倫をする事も生涯きっとありはしない。
けれども……もし仮に……私以外の人に恋愛感情が芽生えたら、瑠衣は浮気や不倫をするのだろうか? 世界は狭い様で広い。ただ運命の相手に会っていないだけなのだとしたら。
「さっきから何だ。人の顔をジロジロと」
私の視線の気配に気が付いたのか、瑠衣のほうから声を掛けられた。何時もは執筆に夢中で、自分から話し掛ける事が少ないので、非常に珍しい事であった。
「瑠衣は今まで誰かに恋愛感情を持った事があるの?」
「あったら諭羅からダメ出し食らう事もねぇだろ。何の為にお前を使ってると思ってんだよ」
どうやら『解析度が低い』と言われた事を未だに気にしているらしい。真実に寄り添ったものを書きたがるので、そう言われると熱が燃え上がるのだろう。
「もし、私より魅力的な人が瑠衣たん誘惑したら、瑠衣たん靡いちゃいそうだなって」
瑠衣は綺麗なものが好きだ。綺麗な人も好きだ。観察対象として傍に置きたがる。時系列として私が先に約束を持ち掛けて居なかったら、きっと私以外の人と最後まで行ったのだろう。
だから今振り返って見ても、かなり脆い約束なのだと知らされる。
「『魅力』の定義を明確にする必要があるが」
そう区切って、気だるさの中に鋭さを忍ばせた目で此方を睨む。
「俺が居なくても一人で生きていける事。俺の注文に逆らわず従う事。特定の何かに覚悟ガンギマってる事。以上が最低の絶対条件。それ以外の輩出されたところで、お前の方が価値があるな」
そう言えば、両親との顔合わせの時に『一人でも生きていける強い女』が好きと言ってたな。注文と覚悟決めるのは、執筆に携わる事だとして……。
「お前、俺の為に臓器提供出来るか?」
「出来るよ」
其れは間髪も入れずに返せる。元の性格も分からなくて、死んだも同然。それで瑠衣が少しでも良くなるなら、喜んで差し出してやる。
「果たしてお前以外に、其れが出来る奴がどれだけいるのか」
そう言ってニヒルに笑う。他の全てを嘲ける様に。馬鹿にする様に。
「瑠衣たんは……」
続く言葉は言えなかった。借りにも恋した、愛した男なのだ。そんな事は言えない。
「心臓だって売ってやるよ。死なすには惜しいからな」
何だよ。それ……。
俺は鏡花に対して恋愛感情はない。ただ死ぬ覚悟さえ決めて挑む奴を死なすには惜しいというだけだ。
オマケ
同居人である鏡花はふらりと放浪する癖がある。俺を連れ添って行くこともあれば、一人で行くこともある。故に俺もネタ集めとして何処か遠くへ行きたくなった。
「明日、出掛けて来る」
「え〜!! 一人ぃ!? だったら鏡花も着いてく!! 寂しいもん!!」
スマホから顔を上げて、駄々っ子の様に声を上げた。即興の鏡花劇場を感じ取り、俺は目付きを釣り上げた。
「うるせぇよ。何処で何しようが俺の勝手だろうが。依存されんの嫌いなんだよ」
「嘘嘘。冗談だよ。好きなところ、それこそ何処へでも行っておいでよ。綺麗な景色があったら、写真集よろ」
そう言って舌を出す。何でも良いのだ。綺麗な光景さえ見れれば。
重そうで重くない。依存している様で依存してない。
そう。調べたんです。最近めっちゃイチャつくから。
そしたら
恋愛感情というのは、異性に対してドキドキしたり、トキメキを覚える事です。
些細な事でも気なって、ソワソワします。
うん。ねぇな。瑠衣→鏡花は。逆はあるけど。
全然ドキドキしないし、トキメキも覚えないし、ソワソワもしません。
『んな事してる暇があれば、物を書かせろ!! 』です。
『こちとら、生き様残すのに必死なんだよ!!』です。
でもそれ以外の愛はきちんと向けてそうなんですよ。
敬愛も、信愛も、深愛も、全部向けてそうなんですよ。
『これぐらいでは壊れない』と思ってるから扱いはぞんざいだし、『此奴に聞けば的確な心情が理解出来る』と思ってるから頼る訳だし、死に続ける恐怖に向かい合ってる敬愛もありそうだし。
鏡花が瑠衣に全てを捧げる様に、瑠衣も鏡花に全て捧げてるんですよ。
貴方の為に売れるのは臓器だけじゃないよ。体だって売れるよ。
文句は言うけどね。