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血と涙は川となる

森を2つ川を7本丘を1つ越え、2つ目を越えると眼の前には草原が広がりその中にちょっとした塀で囲われた村があり木と畑が周りに広がっているそこから隣村に繋がっているであろう固く踏み固められた土の道が伸びている


「.....あそこが僕たちの故郷シトズです、ユロイさんには申し訳ないんですが紹介もしたいので宿屋についてきてもらえますか?」


家を出て7日目にしてどうやら目的地の村についたらしい、カイトからの頼みに俺は承諾の意を短く返し村へと足を早めた



村に着くと物見櫓が門の隣りにあり、門の前には鎧を着た兵士がいた

カイトが近づき軽く挨拶すると身分証などを見せないでも中にはいれた

俺たちは無言のまま、村の中を進み楽しそうに遊ぶ子どもたちの横を通り過ぎ村唯一だという宿屋の前に着いた


「「......」」


二人は無言のままドアの前で深呼吸をし四回目にしてようやくカイトが意を決したようにドアノブに手をかけ緩慢な動きで回す

ドアが動くたび宿屋の中がゆっくりと見え始め、木造の落ち着いた雰囲気に合うような各地の調度品が点々と置かれている

カウンターには40歳近い女性が愛想よく微笑んでいたがカイトを見ると目を見開いた


「あら、カイト久しぶりじゃない、来るなら来ると連絡をよこしなさいよお陰で出迎えの準備もできちゃいないよ....あれ?うちの息子の姿が見えないけどどこにいるんだい?」

「.........ッ」


唇を噛み押し黙っているカイトを見て女将さんは全てを察したようだった


「......そうかい、うちの息子......アルトはもう.....っごめんね君たちには辛い役を押し付けてしまったねカイト、ハティごめんねごめんねごめんね........」


そう言って女将さんは泣きながら泣いている二人を抱きしめた

しばらく三人で泣いた後女将さんがこちらに話しかけた


「お見苦しいところをお見せたね、あんたがこの二人を助けてくれた恩人さんかい?」

「…はい、ユロイさんが私達をナイトウルフの群れから救ってくれたんです」

「そうかい、二人を助けてくれてありがとね、おかげでこうして息子の死を悲しむことができるよ本当にありがとう」

「ッ........」

「そういえば、ユロイという名前は【和合の英雄】と同じだね、あの子はその英雄譚が好きでね時々来る吟遊詩人の喉が枯れるまでずっと聞いていたんだよ....そして自分も世界を旅してみたいと言って幼馴染みを誘い冒険に出たんだ....毎回毎回他の村に行くたびにその土地の置物やらタペストリーが送られていてね仕方ないから飾るんだけどそれが妙に宿の雰囲気にあっていてね、........聞かれてもないことを長々と話してしまったね今日はもう遅いから止まっていきな」


鍵を渡された俺は足早に部屋へと向かった

息子からもらったお土産を抱いて泣く母親から目を背けるように


部屋に入った俺は一人反省していた

何が()()()()()だ、みんな何か大切なものをなくしているのにそれ分からず悲劇の主人公の振りをして、あまつさえ強い弱いなんて優劣をつけて自分の弱さを見ないようにしたそうして俺は逃げて、俺が迷わずに一歩踏み出せばアルトは助かったあの女将さんの苦しみはなかったはずだ、それなのに何が英雄だ

外の酒場からは笑い声が聞こえ、それに混じり近くの部屋から嗚咽が聞こえる

いつの間にか俺は鈍らになった名剣を持ち村を出て夜の森に繰り出していた


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


丸太に腰を掛けるとちょうど山々の間から太陽が顔を出すところだった

朝日差し込むとが周りにあるゴブリンやナイトウルフなどの死体と赤く染まった川が爛々としている

『お前は英雄にしかなれない』

昨日から夜通し戦っているときもずっとこの言葉が頭から離れない

自分はみんなを助けられるような本で見たような英雄ではない、完璧ではない

ならば何故、かつて戦ってきた強敵たちは口を揃えてそういったのだろうか

歩んだ道をたどれば今の自分にはないものわからないことがわかるようになるのだろうか

【和合の英雄】ユロイ=へード再び立ち上がった

Q時の流れってどうなっているの?

Aユロイの冒険の流れ

15で旅に出る

22に魔王討伐

23に邪竜討伐

25に反乱鎮圧

二年間社会から逃げる

27現在


アルトが12のときにユロイが魔王を倒し英雄となりアルト達はユロイと同じ15でたびに出ているという感じです

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