夜の後に朝日は上る
まだ日が上っていない薄暗い早朝俺たち三人は4回目となる模擬戦をしていた
俺はハティの魔法を軽々と木の棒で弾きながらカイトに攻撃を仕掛ける
対するカイトは攻撃を剣で防ぐので精一杯だ、そういった打ち合いを続けていると鍔迫り合いになった
力で対抗すれば勝ててしまうがその間に魔法を喰らうのは避けたい(まあ、あたっても大したダメージは喰らわないが)
そう思い後方に大きく飛び、仕切り直そうとする、その時アルトが突っ込んできた
飛びながら反撃をするが防御をハティに任せ自分は防御姿勢を何も取らずに突っ込んでくるので全く減速する様子がない
このままだとまずいなと思った俺は地面に足がついた瞬間駆け出してハティの杖を即座に奪いカイトの後ろから首に棒の先を近づけていた
ハティは魔法を放とうとしたが、杖がない状態ではうまく魔力を練れなかったのか速度重視の火球呪文が霧散していた
カイトはカイトで両手を上げて降参ポーズだ
「はぁ〜.....なんでこんなにユロイさんは強いんですか!同じ人間かと疑いましたよ!」
「そうですよ!そもそも魔法をその辺で拾った木の棒で弾くなんておかしいにもほどがありますよ」
「....そうか?魔力を体中に廻らすような感じでやれば体も動くし、魔法も切れるようになるよ」
「「..........」」
絶句している二人は置いといて模擬戦をしている理由は二人の冒険についていくことを決めた日まで遡る
「それでなんですが、僕たちはやっぱり弱すぎると思います。なのでユロイさんに旅の途中で稽古をつけてもらいたいんです」
「そんなことでいいならいくらでも!」
ということがあり二つ返事で俺は二人の特訓に付き合うことになったのだ
ただカイトの訓練はなんとかなるのだが、ハティの訓練はどうにもならない、魔法はからっきしなのだ
早く師匠となるような人材を見つけないとなぁ、などと考えながら旅に出る前の訓練の終わりにした
「それじゃあ、僕たちも出発の準備をして来ますね、ユロイさんは本当にそのバックと剣だけ十分なんですか?」
と言って、俺のかなり年季の入ったアタッシュケースとそこに立てかけられた剣を指さした
「....ん?ああ、俺には最低限の荷物と今の俺には鈍らとなった愛剣だけで十分さ、それに荷物もかさばるしね」
「そうですか......私達は急ぎますので、待っといてくださいね」
そう言って二人は急いで準備しに行った
朝日が顔を出し幻想的な空模様が見えている、だが俺には期待感と不安感の混ざった景色に見えた
そんな事を考えながら朝日を呆然と見つめ夜に背を向けながら二人を待っていた
遅くなりましたがこれで導入編は終わりです
初めて投稿ですが温かい目で見守ってもらえると嬉しいです
後4から5章続くと思うので応援お願いします