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 宙賊達は意外と姑息だ。

 自分たちの本拠地を小惑星帯の中に隠し、更に基地そのものに砲台などを隠して装備させることで基地というよりも要塞を作り上げていた。

 ここまでガチガチに武装されてしまっては軍の船であっても痛手を負う。それがハッタリであっても、軍は人的被害を抑えるために迂闊に攻めてこられないのだ。もしもネメシスを敵の砲火の中に突っ込ませればどうなるか分かったものじゃない。

 しかし、そんなところに突っ込むには最適な馬鹿も時にはいる。

 

『軍にはわたしから言っておいたわ。トウマとサラで前に突っ込んで威力偵察をする。敵の基地の砲台がハッタリなら即座に援軍を出すし、砲台がマジモンならウチで全部ある程度は破壊するって』

「まぁできるけどさ。自殺志願者って間違われなかったか?」

『間違われたわ。そっちが全部責任持つんなら死んで来いって言われた』

『まぁそりゃねぇ……? 普通、2機で敵の基地に突っ込んで砲台設備破壊してくるなんてできっこないし』


 当初はハイパードライブで突撃し、軍の船からの砲撃で敵基地を攻撃。それで砲台を破壊できてもできなくてもネメシス部隊が突撃するという算段だった。しかし、そんな博打はやるべきではないとティファは意見を一つだした。

 自分の所のネメシスで敵基地に取り付いて砲台を確認。排除が必要ならそれを排除したのち、軍のネメシスが突っ込めばいい、と。

 普通に考えればただの自殺だ。軍もそれが分かっているので全力で止めたがティファは聞かず。その結果、軍は成功したら報酬はやるが失敗しても責任は取らない。好きにしてくれ、と匙を投げた。

 そんな提案を吞まされた軍の上層部の方には頭が下がる。


『という事で、まずはわたし達が単独で突っ込むわよ。ハイパードライブが終わったら順次出撃。敵基地の砲台を見つけ次第破壊しなさい』

「はいよ」

『キングズヴェーリに突っ込むよかマシね』


 アレと比べたらなんでも簡単だ。

 という事で、既にハイパードライブを使用している船はもうそろそろハイパードライブが終わるため、作戦開始の時間となる。

 カタパルトにスプライシングの足を乗せ、ヘルメットのバイザーを閉じて、これでいつでも発進できる。


『ハイパードライブ……解除。よし、敵の基地は目の前よ』

「了解。んじゃ、行ってくる」

『えぇ。後は任せるわ』

『どんと任せなさい』


 さて、それじゃあ、仕事の時間だ。

 

「トウマ・ユウキ、スプライシングSpec-Ⅱ! 出るぞ!!」

『ラーマナ・アーマードブラスト、出るわ!!』


 漆黒の宙域にスプライシングSpec-ⅡとラーマナABが射出される。

 賊達は流石に自分たちの本拠地が強襲されると思っていなかったのか、砲台すらまともに動いていない。が、こちらの有効射程内まで接近が完了するころにはあちらさんも砲火を吹かせてくるだろう。

 いつ撃たれても問題ないように細心の注意を払いながら機体を動かす。

 そして。

 

「撃って来たなぁ!!」

『へぇ、あの砲台、マジモンだったんだ』


 敵の基地の砲台が次々とたった二機のネメシスへ向かって砲火を吹いた。更に、十何機かのネメシスまでもが合わせて基地から発進するのが見えた。

 どうやら相手は仲間が生け捕りにされたが故に多少警戒はしていたらしい。

 だが、2人にとってこの程度の弾幕とネメシスなら、負ける方が難しい。

 

「当たるなよ、サラ!」

『当たんないわよ、こんなの!』


 至近距離に迫った砲弾が次々と爆発を起こすが、その中をスプライシングとラーマナは曲芸飛行をするかの如くすり抜けて基地へと接近していく。

 普通のネメシス乗りならとっくにパニックになって爆散しているだろう。だが、2人はあのキングズヴェーリの攻撃の中を無傷で搔い潜った天才だ。この程度の弾幕ならば、当たる方が難しい。

 そんな2人の異常性に気が付いたのか、先程までは起動していなかった砲台までもが起動して2人を狙い始める上に、敵のネメシスまでもが銃口を向けてくるが、敵ネメシスの有効射程内ならばこちらの有効射程内。

 こちらからの攻撃も当たる。

 

「そんじゃまぁ、景気づけに一発行ってみるか!!」

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