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FIGHT

 宙域。星の重力を受けず、スペースデブリも少ない場所。そこで何キロもの距離を離し、スプライシングPRとホワイトビルスターが対峙していた。

 肉眼では互いの機体は見えない。だが、機体に備えられたレーダーは敵がどこにいるかを表している。

 互いに訓練用プログラムを起動し、万が一が無いようにする。


「さぁて……準備はいいな、レイト」

『トーゼン』

「サラ、戦闘開始の合図を頼む」

『わかったわ』


 スプライシングPRの勝ち筋は、ライフルの射程距離に入ってホワイトビルスターのコクピットに一撃当てること。

 対してホワイトビルスターの勝ち筋は、スナイパーキャノンを一撃叩き込むこと。

 弾を外さないスナイパーに、紙装甲の機体で挑む。これが、いつもの2人の戦いだ。


『戦闘、開始!』


 サラの、戦いの開始を告げる声が響く。

 それと同時にトウマはスプライシングPRを動かすが、動かした先でトウマは盾を動かし、動き始めた時は盾から露出していた箇所を盾で隠した。

 その瞬間、盾にスナイパーキャノンの一撃が直撃する。


『なっ、あの位置からトウマの進行方向を読んで狙撃!? しかも盾から露出していた箇所を狙って!?』

「それが全一、レイトの強さだ!! 大抵のやつはこの一発で終わる!!」


 ──1on1の戦いにおいて、狙撃機体というものはパイロットの腕が問われる機体だ。

 近すぎれば照準が間に合わず、かと言って近距離戦は動きが重く装備も貧弱なのでまず勝てない。

 しかも盾はスナイパーライフルを構えている間、背中にマウントするか捨てなければならず、とてもじゃないが撃ち合いもできたものじゃない。

 ならばどうやって勝つか。

 当てればいいのだ。当ててしまえば勝てるのだ。

 それを地で行くのが、レイト。ネメシスオンラインにて全一と言われるほどにまで上り詰めた男の戦い方だ。


「腕が衰えてるどころか、この間のキングズヴェーリのせいで更に上がってねぇか、アイツ……!」


 続けて飛んでくる2発目のスナイパーキャノン。それを盾で防ぐが、キャノンの名に相応しい衝撃がスプライシングPRを襲う。

 今は模擬戦だからいいが、実戦やネメシスオンラインでのPvPは盾にも勿論耐久度がある。

 スナイパーキャノンの一撃を何度もくらい続ければ盾は壊れ、防ぐものがなくなり、その瞬間にスナイパーキャノンに撃たれて負ける。

 なら、どうするか。


「スピード勝負はスプライシングの本領ってな……!!」


 突っ込む。これしかない。

 レイトが狙撃するタイミングを読み切って盾を動かして防ぎ、盾が壊れる前に肉薄して致命打を叩き込む。

 レイトに勝つにはこれしかないのだ。

 更に。


「ティファ! V.O.O.S.Tだ!! レイトは出し渋って勝てる相手じゃない!!」

『え、えぇ! リミッター開放……決戦機能、開放!!』

「行くぜレイト! 俺達の全力、V.O.O.S.Tだ!!」


 V.O.O.S.Tまでもを発動。

 トウマにとってレイトは最強の相手だ。V.O.O.S.Tを切らなければ、勝てる確率なんてネメシスオンライン時代の3.5割程度しかない。

 故に、全力を行使する。

 光の翼で前面を守り、一気にホワイトビルスターへ向けて突っ込んでいく。


「これなら、いくらスナイパーキャノンでも!!」

『流石にそれやられると、連射性能低めのスナイパーキャノンじゃ辛いんだよねぇ……!!』


 スプライシングPRを最強たらしめる武装であり盾である光の翼。弾丸はビームに一瞬で蒸発させられ、ビームセイバーで切断しきれないその翼は例え全一の手であってもぶち抜くのは簡単ではない。

 故に、レイトはスナイパーキャノンを構えるのをやめ、盾を片手に持ち、更に脚部のビームセイバーを展開してスプライシングPRへと突撃する。


『狙撃機体で近接戦をするっての!?』

「それがアイツだ! あいつの武器はスナイパーキャノンだけじゃない!!」

『いやいや、僕近接戦苦手なんだけど!?』

「最後に当社比って付くの俺知ってるからな!!?」


 ただスナイプが上手いだけでは、ネメシスオンラインでは生き残れない。


「行くぜレイト!!」

『こなくそ!!』

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