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博打のムコウ

 一旦海からホテルに帰還した3人は少し休憩をしてから再び外に出て。


「さて、やってきたわね、リゾートコロニーの名物の1つ、リゾートカジノ」

「うわすっげぇでけぇしギラギラしてる……」

「なんか圧感じるわね……」


 3人はリゾートコロニーの海水浴場にも並ぶ名物の1つ、カジノへとやってきた。

 カジノはイメージ通りと言わんばかりにギラギラしており、庶民のティファとトウマは思わず1歩退いた。

 対してサラは特に気にしていない様子。


「ほら行くわよ。ちゃんと予算決めて予算内で遊べば怖いもんじゃないわよ」

「だ、だな。よし、行くか」

「そ、そうね……」


 ちょっと帰りたいなー、と思っていたティファとトウマだったが、ヤケにウキウキしているサラに連れられてカジノへ入る。

 カジノの中はゲームセンターと似たような感じで雑多な音が響き渡っており、それだけで圧倒される。

 しかし存在しているゲームは基本的にトウマでも見たことがあるような物ばかりであり、ルーレットやブラックジャック等のディーラーは生身の人間ではなく機械がやっているようだった。


「ここのゲームは基本的に全部機械がディーラーをしてるの。勿論、イカサマなんて無い事もしっかりと証明されてるから、安心して遊べるわ。逆にここ以外のカジノはイカサマが有るのが当たり前でもあるの」

「そ、そうなのか……ヤケに詳しいな?」

「んー……まぁ、一時期こういうので稼いだ方が傭兵より効率いいかなって思って、色々と調べてた事があるのよ」


 サラの説明を聞き、そういうものか、と受け流す。

 という事でまずは掛け金ともなるチップの購入だが、値段はやっぱり結構する。この時のためにティファから貰った小遣いを使っても、下手に使えばすぐ溶ける程だ。

 それをサラは鼻歌交じりにとんでもない量買っている。


「ん? どしたの?」

「いや……躊躇とか無いのかなと」

「するだけ無駄よ。それに、余裕はあるんだしパーッと使わないと。泡銭をそうやって使うのは庶民の義務でもあるのよ?」

「まぁ分かるけど……」


 経済やら何やらかんがえれば、一か所に大量の金が集まるのは好ましくない。故にパーッと使うのも時には重要なのである。

 トウマも意を決してチップを買い、ティファも恐る恐るチップを買う。


「そんじゃ適当に解散して遊びましょ。さーて、増やすわよー」

「……サラのやつ、すげー楽しそうだな」

「大金扱うのに慣れてるんでしょ……」


 何でかは知らないけど。

 という事で3人は適当に解散して遊ぶ事に。

 トウマは別れてからすぐ、適当に目に付いたスロットマシンの前に座り、持っていたチップの幾分かを使う事にした。

 この時代からするとレトロな外見をしているスロットマシンではあるが、それを適当に回していると、結構な勢いで金が溶けていくが、代わりに配当金も出てくる。

 そして時折ジャックポットの煽りが来るとなんか脳汁が出る。なるほど、これはハマると危険だ。


「…………程々にしよ」


 人がパチンコやらスロットやらの沼に落ちていく気分がちょっと分かってしまった。

 なのでハマらない程度に程々に。ジャラジャラと金を溶かして、半分ほどチップを溶かしたところで遊戯をやめた。

 その後は軽くカジノ内で食事をしてからブラックジャックやらポーカーやらルーレットやらを適当に遊んでいると、トウマの持っていたチップは大体半分以下にまでなっていた。

 やっぱり素人がやるもんじゃないな、と思っていると、そこにティファが合流した。


「おーティファ。調子どう?」

「ちょっと増えた程度ね。でも怖くてもうやめた」

「おーいいじゃん。俺ぁ負けたよ。半分以下」

「才能ないわねぇ」

「うっせ。所でサラは?」

「さっきそこでルーレットしてたわよ」

「じゃあ見に行こうぜ」

「さんせー」


 という事で、2人で移動。

 ちんちくりん2号の姿は割とすぐに見つけることができた。

 できたのだが。


「ぐぬぬぬ……!! これで勝てば、これで勝てば…………あー!!?」


 どうやら結構のめり込んでいるようで。

 よく見るとサラの手元にはチップが1枚も無かった。


「うううう……!! ど、どうしよ、また換金して来てここで勝てば取り返せるし……」

「あーあー、ボロ負けしてるみたいね」

「うぇっ」


 ティファに気づいたサラから、年頃の女の子が出しちゃいけない系の声が漏れた。


「はぁ…………サラ、これ使っていいから終わったら帰るぞ」


 サラの様子を見て何となく事情を察したトウマは自分の持っていた残りのチップをサラに押し付けた。


「えっいいの!?」


 それを受け取ったサラはいい笑顔だった。この小娘、中々現金だな。


「わたしは……まぁ、そうね。ちょっと勝ったからその分はあげるわ」

「マジ!? ありがと! 倍にして返すから待ってなさい!!」


 どうやらこのちんちくりん、カジノに来させちゃいけない系の人種なのかもしれない。

 ティファは苦笑しながらトウマにだけ換金してくると告げるとその場を足早に去った。そしてサラは貰ったチップを何の遠慮もなく使って博打を始めている。

 友人がパチ屋でウン万円解かしているのを横から眺めている気分だった。あながち間違いでも無いが。

 その結果。


「どうして勝てないのよぉぉぉぉぉぉ!!」


 サラさん、持っていたチップ+貰ったチップを全損するの巻。


「うーん予定調和」

「知ってた」


 正直この光景は目に見えていたので、2人もちょっと冷たい。

 対してサラは。


「……いえ、まだよ。もう一回、もう一回だけ……!!」


 なんか寝言をほざいていた。

 そのため、2人は呆れた視線をサラに向け、意図せず息ピッタリで頭にゲンコツを落とした。

 いい音がなった。何も詰まってない物をぶん殴った時特有のいい音だ。


『帰るぞ』

「……うっす」


 ティファとトウマの2人から聞いたことがないような声が聞こえたので大人しく従うサラであった。

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