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最悪との最悪な再開

 出てきたネメシスは6機。しかし、装甲の所々の塗装がハゲているのを見る限り、あまりいい整備はされていないように見える。

 それに、相手の言葉も気になる。

 ハインリッヒ機兵団を知らないということは、少なくとも奴等はこの国で発生した賊ではない。


「別の国から来たのか、それとも寄せ集めか……とりあえずネメシスは全部落として船は1隻残せば情報を吐かせるには十分かな」


 イグナイトシステムを切らずに空を飛ぶイグナイトファイターは相手からしてみれば、戦闘機とネメシスが合体した戦闘機もどきにしか見えないだろう。

 それ故に、初見の相手には必ず油断が発生する。

 その油断を突く。


「一瞬の旋回ならハーフウェイが一番!」

『なっ、手と足が!?』

「油断大敵!」


 わざと尻を向けて飛び、後ろを取らせる。

 それを確認してからの変形。戦闘機から手足が生えたハーフウェイ形態となり、一瞬で旋回。

 そのまま右手に持たせたエネルギーハイマシンガンを遠慮なく放ち一機落とす。

 その光景を見てイグナイトファイターの背後を取るのも危険だと判断した敵は遠距離からエネルギーマシンガンや普通のマシンガンで攻撃をしてくる。


「エネルギーマシンガンを装備してない機体がいる……? ハイパードライブジャマーは偶々拾った産物、とか?」


 マシンガンの雨霰を避けながら考察する。

 最近、アイゼン公国が滅んだ事でアイゼン公国領内の治安は一気に低下した。

 その際にアイゼン公国側で保管していたハイパードライブジャマーがどこかへ流出し、それをあの賊達が拾ったと考えれば、まぁ納得はできる。

 それでティウス王国の治安を下げられちゃたまったものではないが。


「おっ、危ない。エネルギーウイングでローリングっと」


 途中、エネルギーマシンガンの弾に当たりかけるが、すぐに両翼にエネルギーを纏わせた状態でローリング。

 それによりエネルギーマシンガンの弾を相殺する。

 ニアの作ったイグナイトファイターなら数発程度エネルギーマシンガンを被弾した所で落ちやしないが、当たった箇所の塗装がハゲてしまう。

 なので、防げる弾は防いだ方がいい。


「そんじゃ、マイクロミサイル! 行っちゃって!」


 ローリングしながらミサイルを撒き散らす。

 通常時に撃てるマイクロミサイルの数は大体15発程。それを全弾撃ち尽くす。

 賊はなんとかそのミサイルを落とそうとするが、ミサイルそのものが小さいため中々迎撃できず、残った5機の内2機が落ちた。

 それを見た残りの3機の内、1機がヤケにでもなったのか、それとも人質を取ろうとしたのか。そのネメシスは民間船が逃げた方へと移動しようとする。


「おっと。させるわけないじゃん?」


 それに楽々追い付き、後ろからピンポイントエネルギーナックルでコクピットを貫き沈黙させる。

 これで残りは2機。しかし、その2機は勝てないと悟ったのか、マシンガンの銃口こそ向けるが攻撃してこない。

 撃ったら殺られると思っているのか。


「…………撃って来ないならいっかな? ってマズッ。ハイパードライブ反応。船が逃げようとしてる」


 反抗心が無くなったのなら撃つ理由も無い。アレはそのまま鹵獲してパイロットは拷問の末に鉱山惑星にでも送って使い捨ての労働力に。ネメシスはお小遣い行きだ。

 故に後ろから撃たれないかは気をつけつつ船の方を片付けようとした瞬間、2隻の船からハイパードライブの予兆を感知した。

 間違いなく劣勢を悟って逃げようとしている。

 アンカーを付けれるのは1隻だけ。追跡ができるのは片方のみだ。 


「…………片方はアンカーを設定して逃がす。もう片方は落とす!」


 適当に片方にハイパードライブアンカーを設定。追跡可能にしてもう片方の船に一気に接近する。

 時間はかけていられない。接近と同時にブリッジにエネルギーハイマシンガンの弾を撃ち込み、更にエンジン部にもエネルギーハイマシンガンの弾を撃ち込んで爆発させる。

 もう片方の船はそれを好機と見たのかハイパードライブで逃亡。

 そして。


「隙を狙うんならもっと必殺の時を待ったほうがよかったね」


 その瞬間に攻撃を放棄していたネメシスの片割れが攻撃を仕掛けてきた。

 それを難なく避け、エネルギーハイマシンガンでお返し。攻撃を仕掛けてきたネメシスはそれを避けられず、汚い花火となった。

 さて、残すは戦う気力を失った賊のネメシスだけだ。

 少し面倒だが、このまま武装解除させて捕らえておくしかない。


「…………さて、これで残すは1機。そこの機体、聞こえる? 今すぐ武装を解除し可能なら──」

『み、ミサキ!! お、お前、ミサキだな!?』


 オープンチャンネルで投降を呼びかけた瞬間だった。

 相手からのオープンチャンネルの通信。何故か相手はこちらの名前を知っている。しかも、相手からは映像通信の申請まで飛んできている。

 一体どんな馬鹿だ、と思いながら一応それに応える。

 すると、キャノピー型のモニターには通信をかけてきた男の顔が表示された。


「ったく、一体なんの目、てき……」


 その顔を見て、声を失った。

 通信を繋げてきたのは。


『や、やっぱりミサキだな!! た、助けてくれ!! お、俺だってやりたくてやったわけじゃねぇんだよ!!』

「…………父、さん」


 ミサキの、実の父だった。

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