7.緞帳が開くとき
一瞬、杖が輝く。光がネヴィ、男を包み込む。2人が目覚めなかったのは幸いだ。
「――。」
ネヴィが何かを呟いた。そして隣の男の頭にも銃口、ならぬ杖口を向ける。また光が包み込む。
「よし、終わったよ」
「……もう1人いるんだけど、いい?」
「いいよー」
「……じゃあ、ついてきてくれるか」
寝起きだというのに……本当に何者なのだろうか。
「こいつの記憶を飛ばせばいいの?……まかせて」
2人とも頷きあう。そしてまた忘却魔法を男にはなった。
「……で?誰この男?」
言葉が浮気された人のそれだ。
「……あの女を尾行していたらしい。あの男たちもそうだ」
「気配に気づいてたんでしょ?」
「……害がなさそうだったから放っておいてしまった。ごめん」
興味なさそうにふーんと言うネヴィ。
「何かしゃべってくれた?」
「……あの女は大罪人、だそうさ」
「!?」
非常に驚いた様子だった。だが、直ぐに元に戻った。
「罪人は、足をつけないように気を付けているけど……動きの不自然さは自らは変えられない」
「……流石。きづいてたんだ」
「もう夜も明けてきたから、男たちを捨ててきてから2人で話そう」
確かに、もう朝を取り戻しつつある時間帯だ。おそらく、人が外に出る、5時ごろだとレテは考える。
「……分かった。別行動をリネに伝えよう」
2人は人目につかないように宿屋のすぐ先の路地裏に男を置いてきた。
「行くよ」
2人は走り始めた。朝は、もうすぐだ。