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最期の冒険譚  作者: 蒼幻
プロローグ
4/8

4.悲しませない

「どうしたの?」

 無知なふりをしてフォリアが聞いた。レテの瞳は冷たく、儚げで、それでも慣れているような、強い、悲しそうな瞳をしていた。口にも表情にも出すことがないレテは、瞳でしか表すことができない。

「……知らないほうがいいよ。特にリネは感情移入しやすいから……」

「なら、レテも……」

「……慣れてる」

レテの手が固く握られる。レテはネヴィと共に部屋を出て行ってしまった。フォリアは心配したような顔で扉を眺めていた。


 散歩をしながら2人が駄弁っている。

「私は知ってもいいんだ?……別にどうでもいいんだけどね」

ネヴィは呆れたように肩をすくめた。

「……あの人、おかしかったよね?」

「唐突だねぇ、でも私もそう思うよ」

「……自分の話みたいに物語を語ってた、気がする」

うん、と相槌を打つネヴィ。

「あと理由を聞いたとき。あの時も変だった。わ、私の……って感じでその場で対応したみたい」

「……白い村。あの村にあの話があるのか調べてみようか」

「でも、フォリアが言ってたように、白い村については何もわかってないから、調べようにも……」


「白い村はね、何にもわかっていないの」

皆でガクッと喜劇のような動きになった。

「でもね、ただ一つだけ。その村に行こうとした人は、必ず体のどこかを忘れて行ってしまうの」

「ということは、無くなる……?」

リネが吐き気をもよおす。

「そう。ひどい人は体自体をなくしたり、記憶をなくしたり、不死身……ゾンビになってしまったり……」

リネが気絶しかける。

「もうやめてあげて!?」

ネヴィが止めに入ったところでフォリアが話すのをやめた。

「……の文献にあって――」

「……フォリア」

レテに止められたところで誰も聞いていないが、フォリアがハッと正気に戻った。


「って言ってたから」

「……ならだめか」

「どうしよ」

 ネヴィが笑顔で絶望した。

「……まず、レナが何者なのか調べよう。明日は別行動だな」

「”亡霊”でいい?」

「……うん。フォリアに許可もらわなきゃな」

だるそうにレテがため息をついた。

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