貴方が選んだもの
注意事項1
起承転結はありません。短編詐欺に思われたら申し訳ございません。
注意事項2
皮肉った文言が出てきます。
覚悟がある方のみ、宜しくお願いします。
あとがきお気をつけて。
とある服屋での出来事。カジュアル、ガーリーな服が延々と並ぶその中で、彼女が二つの服を抱えていた。ブラウン調のゆったりとしたパーカーと、黒のレースで彩られたシックな半袖ブラウス。何方も流行りと言い難いが、不朽の洗練れたデザインだ。悩むこと早数十秒。まだ決まって居ないようで、忙しなく視線が動く。
「悩んでんの?」
「あーまぁね」
此処で此方を凝視。凄く嫌な予感がする。出来うる事ならこの場から去りたい。でも彼女は淡々ときた口調で、その予想を投げてきた。俺に良く見えるように、ハンガーを指先で引っ掛けると、何も映さない無垢な双眸で一言。
「どっちが良い?」
「……」
応えたくない。どうせどっちを選んでも、不機嫌に文句を垂れるのだろう。今までがそうだっただけに、思わず言葉に詰まる。果たして何方を選ぶのが正解なのだろうか……。
彼女は痺れを切らしたように、上下に軽く服を振り、また小首を傾げた。
「ほら、どっち?」
「じゃあ、こっち」
どうせ『えー……』とか『なんで?』とか始まるのだろう。だったら自分で選べばいい物を、何故、俺を頼るのだろう。そう思って返される不満に唇を噛み締めた時だった。覚悟はもう出来た。さぁ、言うがいい。
しかし、返されたのは晴れやかな返答。甘ったるい微笑を浮かべ、真っ直ぐに此方を見てくる。
「サンキュ。時間が上がったねー。何か奢るよ」
「え、ちょっと……」
俺の静止をものともせず、一心不乱にレジへと持ち込んだ。気が付いた店員の挨拶を軽やかに交わし、上機嫌で財布を出してこう言った。
「お願いしまーす!!」
場所は変わり、近くのレストラン。今はおやつ時の三時な為、周りの多くの客達がスイーツを頼んでいる。白いソフト、カラフルなソーダ。見ているだけでも非常に鮮やかだ。
俺は黙って珈琲を、彼女はチョコパフェを頼んだ。拍子抜けして、彼女を眺める。呑気にチョコパフェが来るのを待ち侘びて、上半身を揺らしている。
「後悔とか無いの?」
「選ばせておいて文句言うのは理不尽だからね。それにどっちに転んでも良かった。だから君が選んだ方に傾こうと思った」
ずっと上機嫌だった。時折袋の中身を覗き、胸元に抱き締め。満面の笑顔を浮かべる。クリスマスに貰ったプレゼントを抱えた子供のようだった。
「ふふ。初めて君に選んで貰ったものだ。嬉しいなぁ」
「……女子って、後押しが欲しいって聞いた事あるから、正解選ばないと不機嫌になるかと思った」
そう言うと急に真顔になり、二、三度瞬き。それから台に身を乗り出して、ニヒルに笑った。先程の無邪気さとは程遠い。何処か大人びた顔。それに思わず目を丸くする。
「あーあれね。そんなん自分で押せばイイじゃん。その押しが無いもの買ったって、無駄な買い物だよ」
注文していた珈琲とチョコパフェが届いた。短絡的な礼を言った後、彼女はまた笑顔を浮かべた。
「私は後押しよりも、君が選んだものに価値を付けたかった。へへ。嬉しい」
ここからは個人の意見+皮肉が入ります。
私の皮肉に耐えられる方のみ宜しくお願いします。
選んで欲しいっていうのは、貴方に決定権を委ねます。
って同じ意味だと思ってます。
だからその決定に反論しちゃいけないとも思ってます。
だって失礼じゃないですか。
面倒な決定を相手に委ねてワガママ言うの。
何処までも自分の意思で選んで、生きていいんです。
一押しだって、自分で押せば良いんです。
だって、自分が得るものなんですから!!
他の誰かが得るわけじゃないんですから!!