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流行り病

作者: すみいちろ

生きてていいですか?


ドーピングしていいですか?


服薬しないと


生きていけない


明けない夜は ないと


信じてはいけない


不安と恐怖は


吹き飛ばせない


脳内に


化学物質を取り込まないと


生きてはいけない


いけないと


言いきかせも


行けない




病院へ

行こう




午後の診察 

一番のり


待合室には


次々人が

入ってくる


子どもたちが

私の隣で

無邪気に

じゃれあう


家での 

ひとり

思うと


なんと

嬉しいことだろう


いつでも

僕の隣で

遊んで

いいからね


うっとり

目を閉じる


後ろから

吹く

換気の

風が

心地いい



待合室の

テレビで

20代の

若者が

流行り病で

亡くなったと

報道が

あった


静まり返る


名前を呼ばれる


私は

まだ

流行り病に

かかっていない


死を

意識する


中にお入り下さい


そうそう

私は

先生に

診てもらいに

来たのであった



帰りの車内

蒸し暑い


窓を開けた



窓が閉まらなくなった


ウソだろっ!!??


前にも

一回あった


前は

なんとか

閉まった


今回は

いよいよ

閉まらなかった


念仏を

唱えてみた


閉まらなかった


電気だもの


キセキは起きない


あきらめて


ディーラーへ



閉まってる!!!


休業中!!!


あきらめて

しばらく

走る


カー用品店は

開いていた


人も

まばら


車も

診てもらった



修理するだけでも

一万五千円



無理だ


窓を閉める工賃だけでも

四千円



無理だ


財布の

中には


二千円



に、二千円しか

ないんですけど…



二千円で

いーですよー



地獄に仏!!!


ありがたく

支払わせて

いただいた


無事

帰路へ


夕方


帰宅後

すぐに

シャワーを

浴びる


パンツに

足の親指が

ひっかかり


ビリィッ!!!


破けて

穴があいた


こんなの

初めてだ



まだ

はける


我慢だ

はける


夕食後

テレビを

つける


流行り病と

闘う

最前線の

医師

看護師

患者の方々

凄絶な現場が

報道される


今の

この

時期


気を緩めるのは

時期尚早だ


気を引き締める


ただ

収入減の中


来月から

違う仕事でもせねば

生きて

ゆけぬ


そう思って


なろう

入る



ただ

こうやって

日常の

スキマを

楽しまないと



服薬しないと


明けない夜は ないと


信じてはいけないと


取り込まないと


生きてはいけないと



いけない

日々が

続く



お酒を飲む


おやすみ~


寝るには

まだ

早い


良い子は

寝なさい


今日は

心の中の

君が

出てこない


酔うと

なんだ

かんだ

ゆってくるんだが




まだ

眠れない


まだ

足りない


もう少し

飲んでから



お酒は

ほどほどに


健康に

よくないよ




ないと 

繰り返す



いけない

とか

行けない

とか

さんざん




そうだ

もうひとつの

ないと 



もうひとつの


ないと


夢の中の


ないと


君との


ないと


君でないと


いけないと


ずっと


思ってた


ずっと


昔から


そう思ってた


ずっと


昔から


ずっと




会いにいくよ


いつも



ありがとう



夜にしか

会えない

君と



夢の中の

君と



夢と

現実の

狭間で




生きている


生きていられるだけ


いいではないかと


若い命に


教えられる


流行り病が

治る薬が

あったなら


流行り病が

治る薬が

あったなら


黙祷を

捧ぐ































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