表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SECOND WORLD 〜受験ガチ勢によるVR生活〜  作者: 久方優那
受験ガチ勢がVRMMOに手を出したワケ
2/6

02.システム理解のチュートリアル

毒にも薬にもならない。

ただの自己満システム紹介。

まんま普通のネトゲ仕様をほぼゲーム初心者な主人公が理解するだけの話なので読み飛ばしオーケー。

【世界はあなたを歓迎しています】



 抑揚のない電子音声が終わると、視界は真っ白に埋め尽くされた。

 目を閉じるという行為がなんの意味も為さず、徐々に晴れていく光のその先に、数秒もしないうちにたどり着いた。


 噴水のある〈始まりの街〉。

 踏み入れた電子の世界にはすでに大勢のプレイヤーたちが集まっていた。

 正式にサービスが開始されたのはちょうど正午の時間だ。何度か学校をさぼりたい誘惑に駆られたが、第一陣――つまり限定一万人の中に選ばれて、すでに手元にゲームがある以上ゲームに逃げられることはなかったので、なんとか誘惑に打ち勝って放課後に至っている。

 だが、誘惑に負けた人間やそもそもこの日のために休みの日を合わせていた人間たちも少なくはなく、これだけの賑わいで、見るからにレベルが違いそうなものが多く見られた。


「うわぁー、第二の世界も誇張じゃないな、これ」


 見るからに、ゲームと現実の区別が難しい。西洋風の建物が身近な街にあれば、この景色が現実と言われても違和感を覚えなかっただろう。髪色も瞳の色も、若干の違和感があるが見ていられないほどではない。中にはキャラクターメイキングでやりすぎなプレイヤーが異彩を放っているが、それ以外はほとんど現実のものと酷似している。


「っと、それよりステイタス、ステイタス」


 常に視界の端に見えてあるタスクを意識的に引っ張ってきてログを開く。


 ステイタスの他、フレンドリストやログアウトやストレージ、ログインボーナスやミッション、称号などがあったが、とりあえず設定した通りになっているかを確認する。




プレイヤーネーム:マナブ

種族:ヒューマン

職業:冒険者

LV:01

HP:10 MP:10 力 :10

耐久:10 敏捷:10 器用:10 運性:10

残りステイタスポイント…0


スキル

回復

 ――『ヒール』

 ――『瞑想』




「おぉ……なんだか達成感が」


 いや、こんなところで満足してたらダメだろ僕。

 ステイタス画面を閉じて、チュートリアルと書かれてあるタスクをタッチする。


 何が起こるのかとちょっと身構えてみたが特に何か起こったわけでもなく、疑問に思って色々とタスクを見て回っていると、ミッションの項目にチュートリアルが現れていた。


「いや、飛ぶか案内くらいしてよ」


 不親切だと思う僕が甘ったれているのか、運営が不親切すぎるのか。友達と比べてあまりこの手のゲームを知り尽くしているわけでもないので愚痴だけで留めて、ミッションの内容を確認する。




ミッション


「チュートリアル:ステイタスを確認しよう」

「チュートリアル:友情ガチャを引いてみよう」

「チュートリアル:武器屋へ行ってみよう」

「チュートリアル:プレゼントを受け取ろう」

「チュートリアル:装備を変更してみよう」

「チュートリアル:スキルを使ってみよう」

「チュートリアル:スライムを3体討伐しよう」

「チュートリアル:ステイタスポイントを割り振ろう」

「デイリー:クエストを一つ完了する」

「デイリー:中級魔石をギルドに納品する」

「デイリー:始まりの森で薬草を採取する」

「ウィークリー:始まりの森のボスを討伐する」

「マンスリー:100000ベリカ取得する」




 どうやらアシスト機能があるとかではなく自発的に学べということらしい。

 ステイタスの確認は終わっていたので、そのミッションをタッチすると、【報酬を受け取りました】とログが出てプレゼントタスクに赤丸がついた。

 追うようにタッチすれば、プレゼントボックスが開かれ、そこに報酬500ベリカの文字が並んでいた。それもタッチするとプレイヤーボックスの中身は無くなり、かわりに所持金欄に500ベリカが表示されていた。


「なるほどね、プレゼントは今受け取ってクリアで、友情ガチャは……と」


 ガチャと書かれたタスクを開けば、3つの項目があった。


 一つは友情ガチャ。一日1回は無料で引けるらしい。

 二つ目は普通のガチャ。1回で100ベリカ、1000ベリカで11回引けるのだとか。お得で嬉しい。

 三つ目は有償ガチャだ。一日1回限定100ベリカで5回引けるらしい。お得だからといって蜜に群がる蝶のようにはならないよう非課金を己に誓った。


 とりあえずミッションの友情ガチャを一回引くことはできるみたいなので引いてみる。


 すると、ウィンドウにガチャが回る演出がされ、出てきたアイテムが映し出された。



 R:友情の指輪

 



 説明を読むと、つける指の位置によって効果が変化するらしい。

 フレンド登録数×1だけ能力値が上昇し、器用値が上がるのは左手の小指だった。まだフレンド登録はしていないので上昇しないが、いずれこのゲームに誘ってきた友達と登録できれば3は上がる見込みがある。

 迷わず小指につければ、装備のタスクが自動で開き、装着されたことが確認できた。

 一気に3つのミッションをクリアした報酬は「スキルオーブのかけら」と1000ベリカだった。


「さて、次は武器屋か」


 この調子でチュートリアルをさっさと終わらせようと周囲を見渡せば、すぐに、武器屋らしき看板がデカデカと掲げられているのを見つけた。


 試しに走って移動するが、違和感はひとつもない。おそらく、デフォルトのステイタス値10が現実通りの能力なんだろう。


 武器屋の戸を開け中に入れば、そこそこの広さがある売り場に剣や盾、果てはモーニングスターまでが並んでいた。性能は購入してからでないと確認できないようで、ただ名前と値段だけが浮かんでいる。


「鉄の剣で1000ベリカかぁ……」


 一番の安物でも高く感じる。だが、格闘術のスキルを持たず武器なしで戦いに出るのは些か不安がある。

 何となしに武器を見て回るが、特に良いのは見つからず……。と思っていたがふと目についた武器があった。


「あれ、これなら二本で500ベリカか」


 どうやら最安値を見落としていたらしい。武器屋の隅に置かれていたそれを二本、老け顔のNPCのところは持っていき声をかける。


「おじさん、これを買うよ」

「あいよ、『投げナイフ』二本で500ベリカな」


 どうやって支払えばいいのか検討もつかなかったが、NPCの言葉に連動してウィンドウが表示される。


【500ベリカを支払いますか】


 YESを押す。すると、チャリンという効果音が聞こえてきて、所持金から500ベリカ引かれたのが確認できた。


「まいど」


 人好きしそうな笑いでNPCのおじさんはそう言って、何事もなかったかのように僕を視界から外した。

 どうも接客してほしい意思を汲み取るシステムらしく、なるほど、よく出来ている。


 そんな感心をしながらウィンドウ上で投げナイフを装備すると、腰のベルトに差し込むように二本のナイフが現れた。


「へぇ、このベルトも意味あったのか」


 歩いても外れない。取ろうとする意思が有れば取れたし、戻そうとすれば簡単に戻る。うっかり無くしたとかなさそうなので、安心して武器屋を出た。


 残るチュートリアルは三つ。

 おそらくはじめにエンカウントするスライム三体を討伐すれば全てのチュートリアルが完了するのだろう。ミッションにはヒント欄があり、場所が〈始まりの森〉と書かれていた。

 ついでに薬草も採取しようかな。


 そんな考えをしながら、矢印で記された〈始まりの森〉の看板を頼りに足を運んだ。



 因みに、武器屋を訪れたミッションの報酬は500ベリカだった。


 返ってきた。





友情の指輪は伏線です。

だいぶ個性的なシステムだと考えてます。

分かった人は素直にすごい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 確認したステータスの器用が10になってる
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ