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5/47

5 それを知ったのは

「ま、待てノティア! レベル10じゃ1ダメージも与える事が出来ない……!」


 なんて腰抜けなんだ俺は! こんな状況でも立つ事が出来ない。俺が何とかしねえと……。


「お前がッ!! みんなをッ!! 許さない……ゆるさない!!!」


 ノティアは驚くほどに大きな声で道化を棒で殴り続けている。

 そのノティアの姿を見て、俺は畏怖してしまい、道化の怖さを忘れていた。


「ググ……コムスメが……! ガァッ!」


 ノーダメージのはずなのに、道化は苦しんでいる。レベルが大きく離れていてもダメージを与える事が出来るのか?

 俺は思わず、クイックサーチでノティアを見た。


――――

名前:ノティアlv10

クラス:バーサーカー

ステータス平均:13


スキル

・スルースラッシュ

武器で攻撃する際、全ての防御要素を無視し、自身のSTR分のダメージを与える。

――――


 なんだよこのスキル……! 言ってしまえば、防御無視の攻撃か! 強すぎないか!? いや、それよりもノティアってナイトなんじゃないのか? どうみてもバーサーカーなんだけど……。

 てか、防御ってのはステータスのどれに当たるんだろうか。

 VITは体力……HPの数値でもあり防御値の役割もあるのかな。


「ぐう……我が分身を倒すとはな……ここで死ぬと本体にこの事を伝えれないのは痛いが……カナラズ、ダンジョン最奥に居る我本体が、コロシテヤルゾ……ガキどもガ!!」


――シュゥゥゥ


――――

レベルアップ

イニシヤ

197 → 223

――――


――ガンッ! ガンッ!


 ノティアは灰となった道化を叩き続けていた。

 こんなノティアを見るのは初めてだ……。


「ノティア! もう死んだよそいつは……」

「こいつのせいで! こいつのせいでッ!!」

「ノティア落ち着けって!」


 俺はノティアを後ろから強く抱きしめ、叩くのをやめさせた。


「イニシヤ……許せない……こいつらゆるせないよ……皆居なくなっちゃったよ……」


 ノティアは棒を落とし、大粒の涙を流した。


「仇を討ってやる……俺が必ず……!」

「うん……」


 親しい者がこんなに悲しんでいるのを放ってはおけない。

 俺自身もこの魔物どもには憎しみと怒りを覚える……父さん達にはもう会えない。そう思うと俺も涙で視界が滲んだ。


 この瞬間、俺は道化を殺すためにレベルを上げ、仇を討つと決めた。

 俺から全て奪ったこのダンジョンを必ず制覇する……。


 そして、それから数週間の時が経ち、気が付けば秋季3刻の月末になっていた。

 俺もノティアも少しだけ落ち着いてきたころだった。


「明日からは冬季1刻か。寒くなってきてたもんな……」


 この世界は春夏秋冬季があって、それぞれ3刻まである。12か月が1年だから、前の世界と同じ感じだな。

 秋季3刻の初日が俺の誕生日だ。10歳になって初めて月を跨ぐのだ。まぁ、あえて言う事でも無いが……


「ねぇイニシヤ、知ってる?」

「うん?」

「ステータス画面に、ランキング開示って項目があるでしょ?」

「おお、そういえば10歳になってから増えてたな。押せないし何だろうって思ってたけど」

「これは月の始めの1日だけ開示されるんだよ! 種族問わず、全世界の人達のレベルランキングが表示されるんだよっ! 皆が見れるのは5000位までだけどね!」

「へえ……そんな情報は開示されているのか……」

「皆大体1000位くらいまでしか見ないと思うけれど、自分のランキングは別項目で見れるから安心して!」


 俺は現在レベル290まで上がっていた。

 自身のランキングってのは少し興味があるな。上位が何レベルなのかとか……でもそんな情報、誰が調べているんだ……?


「私達は何位くらいかなー? 結局イニシヤはレベル教えてくれないし……」

「あはは。ランキングに乗ってる自分を探して見せてやるよ」

「本当? 絶対だよ!」


 そんなやり取りをしている中、時刻は12時を回ろうとしていた。


「12時ちょいくらいから見れるんだよな?」

「そうだよ!12時頃時点でのレベルがランキングに反映されるよ!」


 そして、12時に回る頃、突然俺の身体が光り始めた。


「え……? なんだこれ……?」

「イニシヤ!? なんか光ってるよ?!」

「クラスが決まった時の光に似ているけど何だこれ……!」


――シュゥゥゥ……


――――

名前:イニシヤ(10歳)

LV:1

転生特別効果

・経験値9910倍

クラス:クイックキャスター

即時詠唱に長けた職業。


ステータス:数値(補正値)

STR:100(x15%)

DEX:100(x45%)

VIT:100(x30%)

INT:100(x100%)

AGI:100(x90%)


使用可能スペル

無し

特殊スペル

・クイックサーチ(相手のステータスを参照できる)

・カウントジャッジメント(自身と相手のINTを参照する。INTの差分、低い方がダメージを受ける)

→手で円を作り、その円に15秒間収めることで発動する

――――


「あれ……俺……」

「あ、イニシヤ! ランキング見れるよ!!」


 俺は信じる事が出来なかった。

 9歳ごろから頑張ってあげてきた自身のレベルが今、突然1になっているという現実を。

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