47 達成
――冬季 2刻 月末
――最上級ダンジョン 最下層手前
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名前:イニシヤ
LV:2420
――――
「ギギギ……」
イニシヤの目の前には10体以上の魔物が現れた。
「……」
――クイックファイヤボール
――バンッ!!
――ガシャン……
その魔物の群れはイニシヤの火球一つで消し飛んでいった。
イニシヤは既にダンジョンの最下層一つ手前を探索している。
魔物の平均レベルは1000を上回っているが、限界を超え尚成長を続けるイニシヤにとってその魔物はまるで埃……
もはやクイックジャッジメントを使うまでも無い程にレベル差が生まれていた。
「縦穴……ここを降りれば最下層か」
イニシヤはその穴に躊躇なく飛び込んで行った。
・・・
・・
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――ズン……
「かなり深かったな……」
「オヤ……まさかここまでキマスカ」
目の前を見ると、イニシヤ……そしてノティアとステイシー……村の皆の仇が立っている。
「会いたかったぞ。ダーロス」
「それは光栄デスネ。ですが、偽物かもしれマセンヨ?」
「それはない。俺のスキルで既に識別済みだ。お前が本体だ」
「チッ……しかし、私のレベルは1000……限界を超えていマス。貴方に勝ち目はアリマセン」
「お前は……俺にとってラスボスだ。本来なら……苦戦を強いられ、ピンチにもなっていただろう。限界を越えなければな」
イニシヤはクイックジャッジメントの構えを取った。
「ナニ……?」
「お前から聞く事は何もない。終わらせてもらうぞ」
「マサカ……限界を越えてもなお理性を……! クッ!!」
そういってダーロスはイニシヤの視界から逃げようとしたが……既に手遅れであった。
――クイックジャッジメント!!!
――チュドン!!
「ギャアアアアアアア!!!」
今までにない程の範囲……そして輝く光柱がダーロスを呑み込んだ。
それは天井を突き抜けダンジョンの壁をも砕いて行った。
――ガガガガ!
光柱はまだ消えない。
だが、既にダーロスは完全に消滅していた。
――ゴゴゴ……
ダンジョンはラスボスを失い、崩壊を始める。
本来なら徐々になのだが、光の柱が天井を砕き、その崩壊スピードは計り知れない。
だが、イニシヤはどの場から動こうとせず、自分が発生させた光柱をじっと眺めていた。
「仇はとったぞ。ノティア、ステイシー」
・・・
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――地上
――バン!!
「なっ! なんですかこれは……!」
ダンジョンの入り口から光の柱が飛び出し上空へと伸びる。
「これは……イニシヤさんの……! イニシヤさん……倒したのですね」
ミーナはその上空に伸びていく光柱を茫然と眺めていた。
そして……その光柱を眺める、レゼスの姿もそこにあった。
「フフ……面白いぞイニシヤ……貴様は必ずこの手で魔物に堕とし、我が部下にしてやる」
ダンジョンの入り口はぐちゃぐちゃになり、完全に崩壊した。
中の状況も大惨事になっている事は容易に想像できるだろう……。
ミーナはそのダンジョンを見て、涙を流した。
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・・・
「イニシヤ、楽しかった?」
「ああ……そんなに長くなかったけど、凄く充実した生活だった……それが半分夢だったとしてもな」
「僕も楽しかったよ……本当に、イニシヤに出会えてよかった」
「俺もだよ……ノティア……ステイシー」
「あら、わたくしも入れてくれるのね? 遠慮して損しましたわ」
「あはは。二人とも……俺の大事な人だよ……」
「嬉しい……けどイニシヤ。まーだこっち来るの早いみたいだよ?」
「え……?」
「呼んでる人がいますわ。良く知っている人だけれど」
「俺はまだ生きているのか?」
「そうみたいだね! さぁ戻ってイニシヤ。宜しく伝えておいてね」
・・・
・・
・
「イニシヤさん!!」
「あれ……ミーナ……俺……」
イニシヤは知らぬ間に地上に戻っており、崩壊したダンジョンの入り口で倒れていた。
「俺、どうやって戻ってきたんだ……」
「私にも分かりません。気がついたらそこで倒れていましたよ……!」
「そうか……」
ミーナと俺はしばらく無言で崩れた出口を眺めていた……。
・・・
・・
・
――1ヵ月後
「本当に行くのですか?」
「ああ、俺も一歩踏み出さなければな」
イニシヤはそう言いながらクイックファイアボールを生成し、家に放った。
「ノティア、ステイシー……俺も後から行くからな」
燃え盛る家を見つめながらイニシヤは呟いた。
「じゃぁ俺は行くよ。ミーナ」
「はい……どうか気を付けて……」
「ああ、本当に有難う。ミーナも身体に気を付けて」
イニシヤはそう言い残し、その場を後にした。
・・・
仇であったダーロスを倒し、俺の目標は達成された。
これから何をするかは考えていない。
だが、この場所にとどまらず、世界を見て回りたいと思った。
結局レベルは1に戻り続けるが、俺は歩みを止めない。
ノティア、ステイシー……どうか見守っていてくれ。




