39 出発
「……はっ……え!?」
意識がハッキリとした瞬間、目の前にはノティアがいた。
目の前というより……唇が重なり、俺の手はノティアの胸を弄っている状況……。
「んっ……イニシヤ……」
「うわあ! ごめん!!」
――ガシャンッ!
俺は全力で後ろに飛び出してしまい、机諸共崩れ落ちた。
「大丈夫ですの! イニシヤ!」
「いてて……だ丈夫。いや、それはこっちの台詞だって! 俺……何してた今!」
「別段何もしてなかったよ!」
明らかに服がはだけてしまっているノティアは言った。
「いや、でも俺今ノティアを……」
「押し倒されてちょっとびっくりしたけど、初めてだよね! ステイシー!」
「え? ええ、そうですわね……」
「……」
よくみたらステイシーも少し衣服が乱れているじゃないか……。
「それよりイニシヤ! まだ0時回ってないのに戻ってきたね!」
「え? まだ日を跨いでいないのか?」
時間を見ると0時まであと10分と言ったところだ。
「本当だ……リセットがかかる前に意識が戻ってる……」
「じゃぁ。極地・開放は成功ですわね!」
「いや……どうやらそうじゃないみたいだ。上限レベルと書いたままだ」
「そんな……」
「でも、今までとは大きく状況が異なる。さっき、何があったのかは鮮明に覚えている。多分、聖地に行けば解放されるよ。月初に少しレベルを上げてからすぐに向かう」
「……」
二人は心配そうな顔をしている。
「よし、とにかく何があったのかを話すよ」
そういって俺が意識が無い時に体験した出来事、バフで助かった事を全て伝えた。
・・・
・・
・
「今の話ですと、やはりわたくし達も同行してバフをかけるべきではありませんか!?」
「いや、大丈夫だ。そいつはもう倒しているからな」
(リセットで復活してるかもしれないが……)
「でも心配だよ……一人で行くのは……」
「大丈夫! しっかりレベルを上げて行けば危険は無いよ。二人とも! 手伝ってくれ!」
完全に納得している様子では無いが、レベル上げにはしっかりと付き合ってくれた。
寝る間も惜しんで、約1週間……
俺のレベルは650まで上がっていた。
かつてないレベルの速度である。
そして……俺はその後すぐに聖地を目指して出発した。
・・・
――ゴォォォ……
「砂漠越えまで1週間……馬より走る方が早いとは思わなかった。これもレベルのおかげか……」
俺は砂漠を越え、瘴気が濃くなっている手前まで来ていた。
目の前には刺々しい植物や木が生い茂っており、その木の色は紫や黒色である。
とても禍々しい雰囲気だ……。
「さて……こっち方向に真っ直ぐだな……」
ステイシーが写した、石碑の地図を見ながら俺は目的地へと走り始めた。
残り2週間でリセットになる。それまでに1000レベルを目指しながら聖地を目指し極地開放をしなければならない。
「魔物が全然いないとかだったらどうしようか……」
冷静に考えれば行き当たりばったりな作戦だな。
ここから俺一人で1000レベルになれるのか? 月末までに……。
・・・
・・
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