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38/47

38 撃退

――月末


 イニシヤは瞑想し集中力を高めていた。


「……イニシヤ、もうすぐ1時間前だよ」

「……分かった。そろそろやってみるよ」


 1時間前にこのスキルを使用するのはもちろん初めてである。

 一気に時間を伸ばしている為、皆かなり緊張している。


「ふう。よし、始めるよ」


 イニシヤは手を合わせ軽く目を瞑った。


――極地・解放!


 視界がどんどんと暗くなっていく感覚……

 心と感覚が重い水に沈んでいくような……そんな感覚がイニシヤを襲った。


(ここまで……同じ感覚……ダ)


 その感覚はまた、イニシヤの頭の先まで埋め尽くしていた。


・・・


 ふと目が覚めると、イニシヤは真っ暗な沼のような場所に立っていた。

 足元から徐々に沼に沈んでいく身体を、イニシヤは一切動かす事が出来なかった。


「ここは……前にも来たような気が……」


 周囲を見渡していると。

 突然目の前に自分と同じ姿の少年が立っていた。


「君、どうナッテイルノ?」

「それは俺自身が聞きたい。お前は誰だ? 俺の姿をしているが……」

「オレは、キミダヨ。1001レベルからのネ」

「……は?」


 そう言いながらもう一人のイニシヤはナイフを取り出した。

 依然としてイニシヤ自身は身体を動かす事ができない。


「どうするつもりだ……!」

「交代ダヨ。君の番はオワリ」


 ゆっくりとナイフの先が胸に触れる。


「ぐ……!」


 そのまま胸に刺さりそうになった時だった。


――キンッ


「ナンダ……!?」

(これ……は防御膜!? ノティアのディフェンスオーラだ。身体の重みが軽減された……!)


――ググ……


「ナンダト……チッ!!」


 そういうと、もう一人のイニシヤの姿だったそいつは、突然瘴気を纏い、クイックボールファイヤを放とうとしてきた。


「くそ……うご……け!!」


――バシャ!!


 頭部にめがけて飛んできたクイックボールをイニシヤは膝をつく形で、結果的に避ける事に成功した。


「さぁ偽物、覚悟しろ。反撃開始だ!」


 イニシヤはすぐさま指で円を作り、偽物を囲った。


「フフ、我々は全く同じステータス……相殺するダケダゾ」

「それはやってみないと分からない!」


 偽物はその場から動かない。効果が無い事は十分に分かっているからだ。

 だがイニシヤはそのまま囲み続けた。


――エンチャント・マジック


「!?」

「最高のタイミングだ……ステイシー!」


――クイックジャッジメント!


「グガァァァ!!」


 偽物から光の柱が発生した。


「グ……ナゼダ……」

「ここは多分、意識の空間なんだろうけど……外のバフは有効みたいでな。さっき、ノティアが試してくれた……次はステイシーも試すだろうと信じていたんだ」

「INTを上昇させるスキルカ……しかし、同一INT値から多少上昇しただけでこのダメージ……」

「30%上昇を舐めるなよ偽物。1900は2470になる。570差だ」

「ダガムダダ……ここは聖地ではナイ。オレハまた蘇ル……」


――シュゥゥ……


 偽物はそう言いながら粒子となり消えていった。

 消えた場所には真っ黒の水晶玉が一つ転がり落ちていた。


・・・

・・

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