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34 かつての英雄達

――


かつて、レベル1000に到達した者が二人存在した。


その者達は世界で初めての1000レベル到達者だった。


~中略~


自信を分身させ、圧倒的な魔法で殲滅する魔法士


剣を一振りし、一帯を爆発させる騎士


彼らは圧倒的な強さでブラッドゾーンを祓い、その姿をみた人々から英雄と謳われていた。


だが……ある日、王の間にある石碑に伝言を残し、二人はランキングから姿を消した。


そこには新たなスキルを聖地で試す事……そしてその場所が示されていたと言う。


~後略~


消えた英雄達(著:不明)


――


「この英雄達もレベル1000で姿を消したのか……」

「この二人が最初のようですが、これ以降も例外なく、1000に達成した人はランキングから居なくなっているようです……」

「なるほど……」

「100年に一度程の周期で、一気にレベルを上げる人が現れ、1000に到達すると居なくなるという現象が発生していたようです。丁度100年前にも同じような事があったようで……」

「……」


 これを聞いて想像できることは一つ……極地・解放に失敗して死んだって事だ。

 俺みたいに戻る事ができない……意識が全て持って行かれるあのスキルで死んだと考えても不自然ではない。

 1000レベルより先は、人にとっては理から外れた領域……相応の代償があるという事なのだろう。


「とにかく……ミーナは1000を越えるのは危険だと言いたいんだろうけど、俺は諦めないよ」

「ですが……」

「大丈夫だ。しっかりと記憶が残るようになれば、対応も出来るようになるさ」

「何があってもいい様にちゃんと近くで見ているからねっ!」

「わたくしもですわ!」

「有難う二人とも! さぁ今月もレベル上げ頑張ろうな!」


――半月後……


 イニシヤ、レベル800


 時間は夜中……真っ暗闇の中、イニシヤは始まりの街にある城付近に居た。


(王の間にある石碑……スキルを使用した聖地とやらの場所を知りたい……と思って来てみたが……)


 イニシヤは自身で作成したマップを広げた。


(城門には二人、城の周囲を二人が周回している……城壁の上にも4人くらいか……)


 マップを見る限り、隙の無い警備である。さらに、城の周囲は平原となっており見通しがかなり良い。


(この茂みから出た瞬間、バレてしまいそうだな……しかし)


・・・

・・


――今日のお昼


「何? 王の間に行きたい? 何を言っている! 訳の分からない子供を入れる訳には行かない! 帰った帰った!」

「ちょーっとだけ見るだけ! お願い!」

「馬鹿か! 王の間はそもそも王族しか入れないのだ。私達でも入れない! 諦めるんだな」

「ちぇ……」


・・・


「ならばこっそり入るしかないんだよな!」

「そうですわね。というより声が大きいですわ」

「ああ、そうだな……危ないあぶな――ッ」


 また声を出しそうになったイニシヤの口を、いつの間にか居たステイシーは抑えた。


「わたくしに作戦がありますわ」

「いや、それより何でいるの?!」

「だって、イニシヤさん、朝からそわそわしてましたし、何かするだろうなと思ってましたわ」

「うそ……そんなにそわそわしてた? 俺……」

「ええ、まるわかりですわ」

「そうか……」


(今までも何かする前はそわそわしてたのだろうか……ノティアが気づかなかっただけかな……)


「にしても、城に侵入するなんて無謀な事を考えますわね……」

「王の間にある石碑……聖地の場所が気になってな」

「そうだろうと思いましたわ。とにかく見ての通り平地が続いていてこのまま行ってもすぐに気がつかれますわ。こっちへ来なさい」


 二人は別の場所へと移動した。

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