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3 6年前の惨劇②

「なんだよこれ……」


 村が見えてきた瞬間にその異常な光景に気が付いた。

 村の中央部分にどす黒い渦が留まっており、無数の魔物が徘徊している。


「ギギ……」


(まずい……2匹徘徊している……!)


 その魔物の姿は、禍々しく光る黒い瘴気に包まれ、鎧の様な物を纏っている。


(俺が父さんと狩りしていたウサギの様な奴も魔物だったが、こいつらも魔物……もはや別次元じゃねーか……)


 その二匹の魔物は周辺を探索しているようだ。そんな知識がこいつらにはある事にイニシヤは驚きを隠せなかった。


(とにかくあいつらが通り過ぎるのを待とう……)


――シュゥゥ……


(え! なんだ?!)


 木の陰に隠れていたイニシヤは突然全身が発行し、大きく輝き始めた。


(おいおいおい! なんだよこれ! こんな時にッ!!)


「ギ……?」


 その光に気付いた二体はすぐさま戻ってきた。


(やばいやばいやばい……)


 そう思った瞬間、自身のステータス画面が勝手に出てきた。


(おい、なんだよこれ……クラス……[クイックキャスター]?)


 この最悪なタイミングで丁度12時を回っていたようだ。10歳になったことでイニシヤのクラスが開眼し、同時に二つの特殊スペルを習得していた。

 こうしている間にも二体はジリジリと近づいてくる。


(特殊スペル[クイックサーチ]と[カウントジャッジメント]ってのを覚えられたようだ……とにかく! 使ってみるしかない)


イニシヤ――クイックサーチ!


――――

名前:闇の戦士lv150


ステータス平均:149


スキル

・シャドウブラスト

瘴気を溜め、剣を振り切る。半月状の影と瘴気を放つ

――――


(……ほう! ステータスが見られるのか! まぁ、平均値しか見られないようだが……って今ステータス参照しても仕方がないだろうが!)


(カウントジャッジメント……使い方は……片手で円を作って15秒間収める……? なんだよこれ。これも見る系のスペルなのか?)


「ギ? ギー」


(……とにかく使ってみるしかない!!)


 イニシヤは親指と人差し指で円を作り、その中に闇の戦士二体を収めた。


(なんだ? 円を除くと二体の魔物の頭上にカウントタイマーが……15秒は視覚的に分かるのか。有難いな)


 魔物は様子を見ながらゆっくり近づいてきている。


(好都合だ……! 後8秒……)


 イニシヤの手は震える。だが、円から外してしまうと詠唱がキャンセルとなってしまう。

 気を静め……落ち着く為に呼吸はゆっくりと行った。


(なんて長い……たった15秒だというのに……!)


 3……2……1……


 0……


――シュウウウ……


 カウントが0になった瞬間、闇の戦士二体は光の球に包まれ、その球は変形し、大きな音を立てながら柱上に伸びていった。


「ギ……ガ……」


――ガシャァン


 そのまま二体の魔物は倒れ、装備していた鎧を残し、消滅していった。


――――

レベルアップ

イニシヤ

180 → 197

――――


(なんだ……この技つえええ! ちと派手すぎるが……一体どういう効果だ?)


 窮地を脱し、イニシヤは慌てて自身の技の効果を確かめた。


・カウントジャッジメント……自身と相手のINTを参照する。INTの差分、低い方がダメージを受ける。片手で円を作り、中に15秒収める事で発動する(同時に2体まで)


(つまり、自身がダメージを受ける場合もあったのか……やべえな……けど!)


 だが、イニシヤは理解した。カウントジャッジメントだけではギャンブル性の高いスペルだが、クイックサーチを併用することでその危険性を大幅に減少させる事が出来る事に。


(格上には勝ち目ねーが、格下ならほぼやれそうだ……このまま村に静かに近づくぞ!)

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