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29 未知の領域

「よし、いくぞ……!」


 俺の特殊スペルは良くも悪くも分かりやすい。

 ステータスが勝っていれば倒せるし、負けていたら自分がダメージを負う。

 何の駆け引きも無く、基本的に勝負は一瞬で決まる……。


(イニシヤ)――ワイドクイックジャッジメント!


 光の柱がそこら中に発生している。

 この景色はきっと外からは見えていないはずだ。

 そう言った意味でも、入場される前に終わらすのが目立たなくてよい。


「次、東側! ステイシー、バフ頼む!」

「もちろんですわ!」


(ステイシー)――エンチャント・マジック


(イニシヤ)――ワイドクイックジャッジメント!


 もはや作業と化した狩り。

 ステイシーのバフの後、東西南北全ての方角に対してワイドクイックジャッジメントを放った。


――パリンッ


「割れた……?」

「まずい! 全部倒せたんだ! さっさとずらかろう!」


 時間にして30分程……前回まで苦労していたブラッドゾーンは、たった30分でその姿を消した。


 だが……。


「げ……周囲に騎士団とか冒険者が構えてるから全方位囲まれてる……ッ!」

「ど、どうしますの?」

「あっちだ! 比較的人が少ない場所から抜け出すぞ!」


 そうして俺達は人と人の間を割って、その場からすぐに離れた。


 幸いその姿を目撃した者は少なかった。

 俺達を見るより、人々は何もせずに壊れたブラッドゾーンと魔物の死骸の山に釘付けだった。


・・・

・・


「ふうー。お疲れ二人とも」

「とてもエキサイティングな体験でしたわ!」

「ねー! レベルもいっぱい上がったよきっと!」

「そうだな。10レベルづつ位上がってるかもな!」


 そういって3人は自身のレベルを確認した。


イニシヤ

1000 (290UP)


ノティア

160 (40UP)


ステイシー

145 (55UP)


「凄い……40レベルも上がったよ!!」

「わたくしも55レベルあがりましたわ……!」


 二人とも大喜びしているが、俺は自身の数値を見て、素直に喜ぶことが出来なかった。


「俺は……1000になった」

「おおお!」

「けど……その横に上限レベルと記載されてる……」

「え……」


 しばらく沈黙が続いた。


 レベル1000が人の上限……到達した人がいない未知の領域が今明らかになった。


「そんな……シャドウは1200とかなのに……」

「元より勝ち目がないと言うのか……? 人が滅びるのは必然なのか……?」


 レベル1000が何人も居ればまだ太刀打ちも出来るかもしれない。

 だが、寿命尽きるまでにここまで来る人は居ないと言ってもいいだろう……。


「詰み……か」


 そう思った瞬間、自身のスキルが一つ増えている事に気がついた。


「極地・解放……?」

「うん? なにそれ?」


 ノティアは覗き込んで俺と一緒にスキルの説明を見た。


lv1000で習得 極地・解放

人の上限レベルは1000 上限を無制限にするためにはこのスキルは使用しなければならない。

使用した場合、上限が撤廃され、人間性が欠落する。


「上限を撤廃する代わりに、人間性が欠落する……?」


 人間性……色々な意味で捉える事ができる。

 人じゃなくなるのか、俺が俺じゃ無くなり、残虐無比になるのか……一切分からない。


「仮に欠落したとして……レベルが元に戻ったらどうなるんだろうか」

「今までの感じで行くと、全部無かったことになりそうだよね!」

「だな……よし、試してみるか」

「ええ?! でも怖いよ……? 前例も無いのに……」

「前例は俺自身で作ればいい! リセットの時間ギリギリでやってみよう。何かあってもすぐにリセットされるしな」


 そうして、リセット10分前まで待つことにした。


・・・

・・

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