14 突入!
「え……そんなにまずい事を言いましたか……?」
「え!? そんな事無いよ!」
(いや……まずいっての。俺のスペルはあの柱を発生させる奴しかねーんだ……使った瞬間あの日の技が俺だってバレるだろうが……!)
「では、御一緒させて頂いても……?」
「ん~~~~!」
「お願いします! またフルーツてんこ盛りケーキをお持ちしますので!」
「いいよ!!」
「おい! ノティア!」
「あ! つい……」
「有難うございます! では明日にでもぜひ一緒に!! 今日は帰ります! 準備をしたいので!」
そういってミーナは足早に帰っていった……。
「はぁ~~」
「ごめん……イニシヤ……」
「まったく……スイーツには目がねーんだから……まぁ承諾した以上明日は一緒に行こう」
「でもどうするの? いつものスペルは使うの?」
「とりあえず1階ならクイックジャッジメント無しでも行けるだろう。俺も一応他のスペルも使えるしな!」
「だね! 明日は無しで頑張ろうー!」
・・・
・・
・
「おはようございます二人とも! 今日はよろしくお願いしますね!」
「……ふわぁ」
「……まだ朝5時なんですが……」
「すいません! 楽しみで早く来ちゃいました……」
「にしても早すぎだっての!!」
ミーナは椅子に座って待ってもらい、イニシヤとノティアは支度を急いだ。
「さってと、お待たせミーナさん!」
「えらく軽装ですね。食料や道具は何処にしまってるんですか?」
「え? ああ、それはここに」
そういってイニシヤは筒状の棒、デバシーを見せた。
「ええ!? 一体どういう原理でですか!?」
「え……? 一般的にはこういうものは無いの?」
「ないですよ!! 意味が分からないです! 大量の荷物がここに入る意味が! どこで手に入れたんですか?」
「えっと……町の雑貨屋だよ?」
「凄いですね……! とんでもない道具ですよ……!」
(魔法の世界だからこういったアイテムは存在するもんだと思っていたが、違ったのか……だとすればこれは一体……)
「ミーナさん! これも内緒にしておいてね!」
「ええ……そうですね……!」
「とりあえず、ミーナさんのその荷物も入れておくよ? ちゃんとフォルダーで分けれるし……」
「フォル……え?」
「……まぁとにかくいっぱい戦ってもらわないといけないんだから荷物ここにいれとくよ!」
「わかりました。助かります! 戦闘中に即時使用したいもの以外は入れさせてもらいます!」
そういってミーナは急いで荷物をまとめなおし、イニシヤに渡した。
だが、乱雑に突っ込まれたせいか、下着が飛び出していた……
「あの……ミーナさん。もう少しバッグの中にぐっと入れてもらえません?」
「え……? あっ……」
ミーナは少し顔を赤らめ、飛び出した下着をぐっと中に入れ込んだ。
「よし、じゃぁこっちで入れておくね」
――シュゥゥ……
「す……すごいですね! 信じられません……」
「二人とも! 早く行こうよ!」
「おう! すぐ行くよ!」
そういって3人は最上級ダンジョンの方へと向かって行った。
「……」
その際、ダンジョンに向かうイニシヤ達を、木の陰からこっそりと覗く人影には、誰も気づく事は無かった。
・・・
・・
・
「く……暗いですね……今明かりを灯します!」
「え? 大丈夫だよ! だって――」
イニシヤはノティアの口を急いで塞いだ。
「ゴーグルは使わない。余計に疑われるだろ!」
「ふぁい……わかった……!」
「ん? 何か言いましたか?」
「んーん! なんでもないよ!」
「そうですか……よし、つきましたよ」
「ありがとう!」
そうして3人は奥へと進んでいった。




