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13 レベリング!

――最上級ダンジョン 最下層


「マサカ、あの軍勢が敗れるとは思いませんデシタネ」


 そう言いながら男は大きなオーブを覗いている。

 その姿は闇の瘴気に纏われたローブを羽織り、顔は瘴気で完全に視認できない状態だ。


「ランキング上位の者が紛れ込んでいたのデショウカ……」


「ダーロス、ならば次のブラッドゾーンの際はワレが行こウ」


 突然影から現れたのは全身漆黒の鎧で同じく瘴気を纏っている男だ。

 背中には禍々しい片翼が生えている。


「ゼガー。戻っていたのデスネ。貴方が出るまでも無いでしショウ。まずは私の分身で様子をみますヨ」

「……だが、分身のレベルは貴様本体と比べ、たった15%程なのだろう?」

「ええ、普段は10体程一気に出現させているのでその程度で抑えてマス。ですが今回は、大盤振る舞いで半分程分身に注ぎまショウ」

「そういうことであればワレは一旦休ませてもらオウ」

「ええ、ゆっくりと休んでくだサイ」


 ゼガーはそう言い残し、瘴気に溶け込むように消えていった。




――春季3刻 月中


――――

名前:イニシヤlv500

クラス:クイックキャスター

ステータス平均:550


特殊スペル

・クイックサーチ(相手のステータスを参照できる)

・クイックジャッジメント(自身と相手のINTを参照する。INTの差分、低い方がダメージを受ける)

→手で円を作り、その円に3秒間ターゲットを収めることで発動する

――――


――――

名前:ノティアlv90

クラス:ナイト

ステータス平均:100


スキル

・ディフェンスオーラ

自身と自身の近くに居る仲間に対して、防御膜を貼る。


・ノックダウン

武器に力を込め、敵を思いっきり吹き飛ばし転倒させる。

――――


「順調だね! イニシヤ!」

「そうだな。このままいけば700レベルは行けそうだ!」

「ぼくも100レベルが見えてきたよ!」

「いいね! てか、ノティアのノックバックが進化してノックダウンになったおかげでかなり狩りは楽になったよ!」

「えへへ~」


 そんな会話をしながら帰っていると、家の前で誰かが立っていた。

 それにいち早く気づいたのはノティアだった。


「あ、ミーナさーん!」


 ノティアは声をあげて走ってミーナさんに寄っていった。


「二人ともこんにちは! どうですか? 今日はフルーツを持ってきましたよ!」

「わーい! ミーナさんいつも有難う!」


 あれからミーナはちょこちょこ家に顔を出すようになった。

 ミーナさんは、美味しいスイーツやフルーツを毎回お土産として持って来る為、ノティアは完全に餌付けされてしまった様子だ……。


「ミーナさん、そんなに毎回お土産貰って悪いですよ……」

「いえいえ何を言うんですか! 私だけでは食べきれませんし、こんなに喜んで食べてもらえるなんて実家の両親も喜びます!」


 ミーナさんの実家は果樹園をやっているようで、沢山のフルーツがいつも送られてくるようだ。

 そしてそのフルーツを二人は分けてもらっている……。


「えっと……ノティアちゃん、レベルは上がりましたか?」

「うん! もう90レベルになったよ!」

「ええ! 早いですね……私はやっと103レベルですよ……」


(103か……先月の様に200台がいっぱい出現したらどうしようもないな……)


「一体どこでレベル上げをしているんですか? 羨ましい成長ペースですよ……」

「えへへー内緒なの!」

「いっそ、ノティアちゃんと同じように近くにある最上級ダンジョンにでも潜ってしまうのもありかもしれませんね……!」

「え!? あそこはやめた方がいいよぉ……」

「ふふ、ノティアちゃんは素直な子ですね」

「え!? 何が何がっ!」

「あはは。でも1階は良い狩場になるかもしれないですよ。ミーナさん」

「ええ! イニシヤ、入ってることばらしちゃっていいの!?」

「いや、もうバレてるしな!」

「やはり、あそこは良い狩場なのですね……!」

「でもあんまり公表しないで欲しいな。俺達はここで静かに暮らしたいんだ。ダンジョンは割と近いから人が沢山来られると困るんだ」

「わかりました! それは必ず約束します! 私だけこっそり入らせてもらいます!」

「有難うミーナさん!」

「むしろ……一緒に入りませんか? もしよければ……ですが」

「え……!」


 そうミーナが言った瞬間、場は凍り付いてしまった……。

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