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11 消滅の光

「見えてきたな……[ブラッドゾーン]……」


ブラッドゾーン

月末に発生する魔物の大量出現の過程で出来る赤く薄い膜の様な壁の内の事を言う。

強力な加護がある町中を除き、ブラッドゾーンになったエリアから大量に魔物が出現する。そいつらは一斉に町へと向かい、侵入を試みる。

ここからでは赤い膜で中の様子は一切見えない。

入場するまでは中の状況が分からないのだ。

そして、入場すれば最後……魔物を全て倒さなければゾーンが消える事は無い……。


(ブラッドゾーンが出現してから、もう4時間程経っている……通常であればそろそろ終息するはずだが……)


「入るぞ……!」


 イニシヤは膜に触れ、中へと侵入した。


・・・

・・


「うわああ! いやだ! なんて強――ッ」


――ザシュ!


「……」


 入場した瞬間、その光景にイニシヤは絶句した。

 無数の死体と血……それをむさぼる大量の魔物……

 まさに地獄の様な光景であった。

 とにかく、大体のステータスを確認する為、クイックサーチの構えを取った。


――クイックサーチ(相手のステータスを参照できる)


――――

名前:ダークスターウルフlv240


ステータス平均:230


スキル

シャドウクロウ

強力な爪で相手を斬り刻む。

――――


(240……?! 平均レベル100じゃないのか……?!)


「グルルル……!」

「ちっ! 気づかれたか……!」


 ダークスターウルフはイニシヤに向かってきた。


――クイックジャッジメント(自身と相手のINTを参照する。INTの差分、低い方がダメージを受ける)


――ドンッ!!


「グルァァァァ!!」


――――

レベルアップ

イニシヤ

620 → 623

――――


「俺なら問題なく即死させられる……!」

(どこか高台になっている場所は……?)


 周囲を見渡し、イニシヤは急こう配な丘になっている場所を見つけた。


(よし、あそこなら大半を補足できるはず)


 そういってイニシヤはダッシュでその場所へと向かって行った。


・・・

・・


――急こう配な丘付近


「はぁ……はぁ……」

「ミーナ隊長……もう無理です……!」

「諦めてはいけません! 私達が前線を離れてしまえば、一気に町に攻め入られます!」

「ミーナ隊長……! すいません!! 除隊処分でも結構です! 俺は逃げます!!」

「俺も……!」

「わ、私も!」

「そんな! 皆! 待ってください!!」


 隊列を組んでいた騎士たちは一斉に退却してしまった。

 だが、全滅させなければ出る事が出来ない。逃げ場などないのだ。


「そんな……しかし、諦める訳には行きません……!」


 ミーナはたった一人で魔物の前に対峙した。


(補助スキル無しで攻撃が通るでしょうか……いや、やるしかないんです……)


「グオオオオオ!」


 じりじりと迫るオークに、ミーナは剣を構えた。


「やぁぁ!!」


――ザンッ! ザシュ!


「グォ」


「全く……手ごたえを感じない……!! きゃぁ!!」


「グォォォ!!」


 オークはミーナの顔を掴み持ち上げた。


「あ……が……ぐぅ……!」


 みるみるHPは赤領域まで落ちていった。


――ガシャンッ


 剣は手から落ち、手からは完全に力が抜け、失禁してしまった。

 その瞬間だった……


――キンッ……チュドーン!!


「グァァァァァ!!!」


「げほっ……はぁ……この光は……!?」

 

 ミーナが見た光景は恐ろしくも美しいものだった。

 ほぼ全ての魔物から正体不明の真っ白に光る柱が天まで伸びていた。それはしばらく目が開けて居られない程の光を発したあと、徐々に収束しその柱に包まれた魔物は全て例外なく地に伏していた。


「な……なんですかこれは一体……」


 ミーナはふと人の気配がした急こう配な丘の上を見た。

 そこには両手で円を作り、敵を眺めているゴーグルを掛けた少年が見えた。


「まさか……あの少年が……?」


 そう思った瞬間、少年はミーナとは逆の方へと降りて行ってしまった……。

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