表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/44

21ページ 赤色

「……なんだろ」

 蘇我 篤志(男子6番)はふと外が気になって窓から外の様子を覗き込んでみた。篤志は既に殺害された近宮 絢子(女子7番)と綿岡 景子(女子14番)と一緒にいたのだが、クラスメイトの襲撃によってチリヂリバラバラになり、今は一人で行動していた。

 そんな篤志が(こも)る部屋は文化部の部室が並ぶ4階の東端に位置する地理研究部。その壁に先ほどから赤色の何かが点滅するようにチラついているのだ。気になって外を見ようとするのだが、遠くのようなのでなかなか確認できない。

「パトカー……なのか?」

 この楼桜高校を囲むようにパトカーが複数台、止まっているのだ。警察官らしい姿も見える。篤志には謎がいくつもあった。これは「政府による実験」と言われている割に、何かとボロが多いのだ。その一つが、インターネットだ。

 先ほどから調べてみると、どうやらこの4階の部室にはインターネットが繋がる環境にあるようなのだ。伊藤曰く、携帯電話もインターネットも使用できないと聞いていたのだが、どうやら話が違うようだ。篤志は一人になった後もずっと、パソコンが置かれている部屋を探していた。そしてようやく、インターネットとパソコン両方が使用できる部屋にたどり着いたのだ。

「遅いなぁ、それにしても……」

 ネット環境が悪いのかパソコンが古いのか、なかなか起動しないパソコンに篤志は焦りを募らせていた。

「よし、繋がった!」

 篤志は急いでインターネットを開き、真っ先に検索エンジンでニュースを検索する。すると、出るに出てきたのだ。まさしく、篤志がいるところが舞台になっていたのだ。


 静岡県天竜川市の高校で人質事件発生 New!

 静岡県天竜川市で人質事件 テロの可能性も New!

 静岡県の高校人質事件 保護者ら不安な一夜 New!


「どういうことなんだ……これ」

 篤志は一番上のニュースをクリックしてその内容を見てみた。


 3月21日午後10時頃、静岡県天竜川市の私立楼桜高等学校(常松赤司校長、生徒数490名)から男の声で「2年B組の生徒を拉致した」という内容の電話が市内の警察にかかってきた。その後の市の調査や警察の調べにより、この電話の内容がほぼ間違いないと断定、警察は自衛隊の応援も呼び、現在突入および犯人との交渉に調整を図っている。

 人質となっていると考えられる生徒の皆さんは以下のとおり(敬称略)


<楼桜高等学校2年B組>

【男子】              

1:安藤(あんどう) (あきら)   

2:飯島(いいじま) 芳史(よしふみ)

3:大西(おおにし) 航平(こうへい)

4:()(むら) (ゆう)()

5:佐々(ささき) (りょう)

6:曽我(そが) (あつ)()

7:谷沢(たにざわ) (ゆき)()

8:(なな)() 智章(ともあき)

9:旗本(はたもと) 慶介(けいすけ)

10:()(ぐらし) 佳典(よしのり)

11:(みなみ) 荘一郎(そういちろう)

12:湯前(ゆのまえ) (けい)()

13:湯前(ゆのまえ) (はや)()

14:(わた)() ()()


【女子】

1:宇井(うい) (あい)()

2:()(とう) 麻衣(まい)

3:北山(きたやま)こよみ

4:()(ばやし)あさひ

5:()(どう) (あや)()

6:(せい)() (さや)()

7:近宮(ちかみや) (あや)()

8:()(ぐち) 沙耶(さや)

9:(はま)() 真奈(まな)

10:(ふな)() (ひと)()

11:(もも)() (さえ)()

12:安本(やすもと) (もも)()

13:(よし)() (まさ)()

14:綿(わた)(おか) (けい)()


 自分たちの名前がインターネットのニュースに流れている。これが誤報であるはずなどないだろう。先ほどから確認できる赤色灯、ニュース。篤志のこの仮定を裏付けるには十分すぎる内容ばかりであった。さらにニュースを読み進める。


 犯人は複数いる模様。別の電話で女の声が確認できたため、少なくとも男女1名ずつは犯人がいる可能性があると警察はさらに詳しく捜査を進める予定。


「女と男って……」

 篤志が知る限り、女とはあの伊藤 紗弓のことであろう。しかし、男となると大人の男性は先生ですら姿が見当たらないままだ。紗弓の部下らしい者もいるにはいるが、とても電話をするような階級(?)ではないだろう。となると考えられうる可能性が一つ――。

「俺たちの中の誰か……?」

 篤志は背筋が寒くなる感じに襲われた。

「そうだ……! なんとかこれを皆に伝えなきゃ」

 篤志は荷物をまとめると、すぐに外へ飛び出した。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ