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プロローグ
俺は… 誰だ? 俺はなにをしていた…?
俺は、どこにいる… 俺は、おれは、オレハ…
風が強く当たっている。
体が潰れてしまいそうなくらいだ。
そのせいなのか体に力が入らない。
胸のあたりが妙にさみしい。
目を開けることさえ億劫で、暗闇の世界で何が起きているのかを理解しようとしている俺は頭がいってしまったんだろうか。
何もわからない。
わからない、のに… それなのに…
どうして 死 を感じているんだ。
ここで俺の命はなくなると、人生が終わってしまうのだと… 感覚的に俺はそう感じていたんだ。
…ああ、でも、いいか。
だって俺はあの子を救えたんだから。
………あの、子?
あの子って、だれだよ…?
俺は大切な何かを忘れている気がする。
その何かが… 俺から離れていく…
いやだ… やめろ、離れるな…!
離れないでくれ消さないでくれ!!
嫌だ、嫌だ、いやだ…!!
あの子の笑顔が… え、がお、が……
……………………、は、ははっ、あはは…!
「 …だれか、たすけてくれ、」
その言葉を言う声はなぜか俺の声より高く、震えていた。