すれ違い、結び合い、響き合い
すれ違う一矢とシエラ。
難民を助けたはいいが、その後途方に暮れるバンデルとゲラード。
「落ち着け、お主ら王であろうが」
鼻くそをほじるヴァーリ(おひ)。
痛みを感じぬ巨漢とブランドーの戦いの決着は?
そして剣における痛みの意味とは?
えー、今回は久々?に武術成分濃い目です。
『拳児』『セイバーキャッツ』ファンや武術ヲタクの皆さんお待たせいたしました。
そうでない方はそこら辺は念仏やお経とでも思って適当に眺めてください。
そういう方は恋愛事情に重点を置いて読むとよろしくてよ岡さん(繰り返しのギャグ)。
スポーツに打ち込んでいる方にも参考になれば幸いです。
では、本編をどうぞ。
八枚の翼と大王の旅 ―第7話―
-1-
その日のシエラ邸の道場での修行は弓具の手入れだった。
弓弦に弦で縒りをかけ、弓に藤で縒りをかける(螺旋に巻く)。
それぞれ筈(矢の射手側の端。竜の舌や口になぞらえる。逆に的側の尖った方が矢尻、つまり後端であり竜尾である)と掌のかかる所、力と気合がかかる所に縒りをかける。
この縒りが気合と力を弓矢と筋骨の内に捉え納める働きがあるとされる。
俗に言う腕によりをかけるの語源であり、本質的に中国武術で言うところの纏糸勁とほぼ同一である。
被(皮)龍を身に縒りて気を納めれば、気合い満ちて途切れる事なく軽きは飛龍を得、金龍を骨に縒りて力を納めれば、如何なる技、如何なる所作においても建立(自然体にて立つ)を得、以って自在なる無拍子を成す。
弦と弓に縒りにかける行為と己の身体に縒りをかけるイメージとをシンクロさせる、易筋と易骨を完成させる為の重要な修行だ。
丁寧に、乱れなく、隙間なく、ゆっくりと、弓と、己の心身と、ただひたすらに会話する。
「こんな修行をやっていれば、そりゃあ強くなる筈(筈はまさしく筈の語源である)だよな」
カロがしみじみと漏らす。
「骨や筋の向きが整って、ぶつかったり突っかかったりしてた処が剥がれてほぐれて滑らかになる。凄いよな。これなら滅多な事じゃ怪我もしないし、あれだけパワーもスピードも出せる筈だろう」
「いや、普通こんなにすぐにやる事の意味を分かる方が凄いって。カロのお師匠さんも凄い人だったんだな」
一矢が笑う。
「それは否定しない」
カロは鼻を高くした。
「俺の最初の師匠の剣人曾爺ちゃんも凄い人だったよ。でも、敗戦直後は苦労したらしいぜ。アメリカ兵相手に、『腕に縒りをかけるのは手先が器用になり料理が上手になる事ですので、決してあなた達が危惧するような人を暴力的にする野蛮な風習ではありません』ってさ。相手を煙に巻くのに苦労したって聞かされた」
一矢はそう言って笑ったが、暫くして沈んだ顔になった。
「良くも悪くもそういう言い逃れの上手くて行儀のいい武術家以外は目を付けられて取り潰された。日本人同士でも諍いがあれば平気でGHQと役人に密告した。だから多くの武術家がよそ者に心を閉ざし、上辺では精神論しか語らなくなった。大事な人や大事な文化が沢山消えて行ったって聞かされた」
「……そうか」
「だから、剣人曾爺ちゃんの友人の何人かは手引きされてラ・フォーロ・ファ・ジーナに逃げたんじゃないかって英明爺ちゃんがこないだ言っててさ。ひょっとしたらカロの師匠のヒエンさんのそのまた師匠って、曾爺さんの友人かもな」
一矢は心配させて悪かったとばかりに明るく笑った。
「………それは考えた事も無かったが、ヒエンとは日本語にもある名前らしいから、案外そうかもな」
「縁って不思議なモノね~」
エリスロがしみじみと呟く。
「そうでーす。縁は不思議でーす。そう、今にして思えば学問所で皆さんと、特にリリたんと巡り合ったのもこれまた運命―――げふう」
レイチエルの光速の縦拳がパランタンの肺にヒットした。
「こっぱずかしい事を言うのはこの口か?、この口か!」
続いてほっぺたへのつねり捩じり上げ攻撃。
「いひゃいういひゃいれーふ」
「はいはいごちそうさま~」
一同が笑い、しばしして沈黙。
この間、まったく口を開かず笑いもしなかったシエラに、ちらちらと視線が集まった。
今日だけでなく、シエラは最近ずっと無口だった。
わずかにやつれてさえいる。
「シエラさん」
一矢の呼びかけに、全員が息を呑む。
「困った事があるなら、力になるよ。少なくとも、俺達は友達だろう?」
「別に何でも無い」
「そうは見えないけど―――」
「友達ごっこなんていらない!」
全員が凍り付き固まった。
「――そうか」
一矢はただ、苦く、微笑んだ。
「少なくとも体調管理はしてくれ。不出来な師匠としての忠告だ」
『友達ごっこなんていらない!』
シエラが不器用だった子供の頃、よく口にした言葉。
つい口にしてしまった。
でもそんな意味じゃない。
斉藤には友達でいいなんて語っておきながら。
その先を言う事は姉への裏切りになってしまう。
嫌だ―――
自分の醜さが嫌だ。
誰か、裁いて―――
どうすればいいのだ?
誰か、救けて―――
シエラは更にやつれていった。
彼女にモーションをかけていた男達も一人、また一人と減っていった。
-2-
「う~む」
バンデルは糧食の山を見て唸った。
「足りぬ」
「どうすればよいのだ!?」
ゲラードは頭を抱えた。
難民を養うには足りないのだ。
「ですよね~」
キーパが額に手をやる。
勢いで難民の子供を助けたはいいが、それだけで後をほったらかしては収まりがつかぬ。
とは言え、丸ごと一つの部族を助けると言うのは、生半に行く事ではない。
「落ち着け。お主ら、王であろうが」
ヴァーリが事の深刻さなどお構いなしに鼻をほじりながら言う。
「王の裁量と小遣いでどうにかすれば良かろうが」
フッと息で指先の鼻くそを飛ばす。
「お言葉ですが大王、それでは一時しのぎにしかなりませぬ」
「ただ徒に国庫から金を出し続ければ、臣民が納得しませぬ」
「では徒でなければ良い」
「「は?」」
「グスタフ。用意しておったアレの出番ぞ。財布の目途も付いた故、ラスゴーにどんどん続きも持ってこさせよと伝えよ」
「畏まりました」
一面に広がる荒野。
砂漠とまでは言わないが、乾燥が激しく、申し訳程度の雑草しか生えていない。
連れて来られた難民となった部族の者達は著しく動揺していた。
部族の若長、ラーマが口を開く。
「一体このような地に我等を連れて来て、どうするつもりだ?」
「知れた事。開墾する」
ヴァーリは断言したが、難民達の動揺はますます激しくなった。
「無理だ!」
「こんな荒地、今まで誰も住み着かなかったんだぞ」
「昔に井戸を掘った者もいた。だが、汲んだ水をかけてもかけても乾いて行くんだ! 畑をやるなんてできっこない!」
バンデルとゲラードも狼狽える。
「それでは意味が無いではありませぬか?」
「どうすればよいのだ?」
「案ずるな。ほれ、あっちを観よ、グスタフたちがアレを持ってきたようぞ」
グスタフは荷馬車隊を率いて来た。
「お待たせしやした、大王!」
ジッタが御者台から手を振る。
荷馬車には井戸を掘る道具と作物の苗と、見慣れぬ資材が山と積まれていた。
「何だ、これは?」
ラーマが不躾に大王に問う。
「芋とパイナップルの苗ぞ」
「それはわかる。だが、こんな所では育つまい」
「それ故工夫をする。ジッタ、説明をせよ」
「よっしゃ! よく聞け、ラーマとやら! こいつは俺様のマブダチの近衛筆頭カロとその婚約者のラスゴー宰相の娘さんが用意してくれた…………、つまり、ええと、凄いモノだ」
ジッタは左右を見回してから、担当官吏のジョスに目配せした。
ジョスは、ハア、と溜め息をつくと眼鏡の角度を直しながら解説を始めた。
「乾燥した土地で作物を育てる事は地球でも研究されています。今回持ってきたのはその複合とでも言うモノです。
まず、土地自体の保水力を増すために、土壌に『高分子吸収材』を混ぜます。それでも水分の蒸発自体が抑えられる訳では無いので、更にその地面の上に銀白色の『ビニールシート』を被せます。シートに開けた小さな穴に苗を植え、水を注ぎ、それ以外の地面からは蒸発を防ぐ訳です。
今回持ってきたパイナップルは荒れ地でも育つ品種なので、おそらくはこれで育つでしょう。パイナップルは富裕層に好まれる果物。貨幣を稼ぐ事が出来るはずです。
また貴方達が食べる食料もできれば自給したいので、エリスロ様が地球で研究中の『特殊ビニールシート』も使い、芋も育てる手筈です。このシートは『赤外線と紫外線』をカットしながら、生育に必要な可視光線は7割通す性質を持っています。簡単に言えば、お日様の光は通しますが、熱や光の毒は通さないモノです。これで芋の畝の上に日の差す方向に斜めに屋根をかけるんです」
ラーマはハトが豆鉄砲を食らった顔で訊ねる。
「……つまり、どうなるんだ?」
ジョスは得意げに笑みを浮かべた。
「この地でも、作物は育ちます」
ジッタも得意げに腕を組む。
「すげえだろう。俺のマブダチとその彼女はよ!」
ラーマはヴァーリに向き直ると頭を下げた。
「すまなかった! 非礼をお詫びする! ……一体何と御礼を言えばいいか」
「フン。うぬも一族を率いる故、威勢を張らねばならんかった事ぐらいわかるわい。それより、礼を言うべきは、この開墾に金を出し、そもそものきっかけを作ったあの二人にこそであろう?」
ラーマはバンデルとゲラードの手を握り締める。
「有難う。………本当に有難う。子供たちの事と言い、我々はどうやって恩を返せばいいか?」
「………それならば、この地で獲れたパイナップルの商いを我々に任せてくれぬか?」
「悪い様にはせぬ」
「そんな事でいいのか?」
「この地での開墾がうまく行けば、余らはまた次の地を開墾したいと思う」
「それで儲けが増えていけば、余らの臣民も納得しよう」
「それに余はお主らに安くて良い娯楽を売るつもりだ」
「余は安くて美味い芋やパイナップルの調理法を売ろう」
「そうして余らを儲けさせてくれれば十分だ」
三人の王は再び天幕の中で酒杯を交わしていた。
「………大王、此度の事、すべて大王の手柄と儲けにする事も出来た筈では?」
「フン。余一人の小遣いでできる事など知れておる。うぬらには財布になってもらったまでよ」
「ならば、最初から余共にお命じになれば良かったものを」
「戯けた事を申すな」
「「???」」
「よいか。喧嘩の醍醐味と言うモノはな、それが戦であれ、政であれ、仕事であれ趣味であれ、己の気持ちでせねば意味が無い故よ。余が命じてすれば、所詮それは嫌々の偽善に過ぎぬ。己の気持ちで喧嘩せずば、何の為の人生か。それ故お主らがその気になるまで余は待っておった」
「……余共は別に喧嘩をした訳ではありませぬが」
「売ったではないか。くそったれな現実とやらに喧嘩を」
「「―――――っ」」
バンデルとゲラードは滂沱と涙を流した。
-3-
クロースリア王城でエセルリーシャは卓上にカードを並べて行く。
「豊かな食生活は生命の危機が去った事を体感させて、種の保存活動としての性行為への依存を止めさせ、豊かな娯楽は娯楽としての性行為への依存を止めさせる。この流れで行けば人口増加は抑えられる。二人の王の存在がここまで大きくなるなんて」
渦のように並べられたカードの中で三枚の王の札が流れの要を成す。
「あの人のアレって、相変わらず天然なんだか計算なんだかわかんないわねー」
「……多分、その両方ですよ」
ジュデッカの天幕でキーパが答える。
「ジュデッカを無法が支配し、爆発的に増加した無法の民が世界を食い潰す。その悪夢のシナリオは書き換えられつつあるわ。でも――――」
王の作る流れに立ちはだかる『軍団』と『魔王』の札。
「――それでも、命無き軍勢が幽界より帰還する。不死の王、恐怖にて世界を支配する。……この結末はまだ変わらない」
ほんのわずかな希望。
それは『宝』を守護する『祈り』と『剣』の札。
「彼女たちが『宝』を守り切れるかどうか。その上『宝』を見出すまでの彼女たちの旅は、あまりにも危うく儚い―――」
-4-
恐るべき豪斧を、ブランドーは紙一重で躱し、受け流す。
戦斧は地面を深く抉り、岩を砕き、立ち木や柱を易々と断った。
「こんな無茶な力の使い方をすれば、普通ならば身体は痛みを感じる」
だがブランドーは特に動じたそぶりも見せず泰然と語る。
「痛みを感じれば、身体は痛むような動かし方をすまいと無意識にブレーキをかけ、筋肉が固くなり、結果、遅く弱くなる」
「クックック。それが凡人よ! だがこの俺には痛みが無い! 弱くなる事など無いのだ!」
「付け加えるならば、肉体は多少損なう位なら、以前よりも筋肉の量を増やす。そうしてこいつは斯様な筋肉達磨となった訳だ」
「故に! 俺様は無敵よぉ! 現に貴様は手も足も出ないではないか!」
「出ないのではない。出さなかったのだ」
斧を受け流した剣が、翻された。
まさしく神速の一閃。
巨漢の額に刻まれた針のような一文字の傷からから血が滲む。
「ああ? ああーっ!」
巨漢は逆上し、更に斧を激しく速く振り回す。
見る者は戦慄し、息を呑む。
「こいつの力の使い方は無駄だらけだ」
ブランドーは捌く。
「何故なら痛みを感じないからだ」
捌き鎬切り、なおも巨漢の手足を次々と浅く傷つける。
「痛みを感じぬ、無視するという事は、折角の力を骨や肉への無理な負担として無駄にしている、その事にも気づけぬという事だ。痛みとは大事な感覚なのだ。
釘を打つに斜めに打てば刺さらず曲がり、鋸を歪めて引けばロクに切れず、刃は刃筋を過てば斬れず欠け、柱を斜めに立てれば建てた小屋は崩れる。
あまりに当たり前のそれに気付けぬ。
痛みなど許さぬ程に完璧に、己の身体を道具として正確に扱い切る。
相手の剣のみならず、己が生み出した力の反動さえも、完璧に受け流す。
負荷を刃筋を整えた骨格で正確に受け止める。
骨格を使いこなせれば、負荷が足裏から大地から跳ね返った反動を返しの剣に乗せられる」
斧を打ち払った返しの剣が巨漢の胸甲を断ち斬る。
風巻光水流の『骨木霊』、広く知られる厳流では『ツバメ返し』、また空手や骨法、古流柔術で言う当身の『コツ』である。
「痛みを拒む身体の自然な反射を、正確な動きに導き、纏め直す。
そうして繰り返し練られた力は、懲り固まる事が無い故に、水の如くなり、曲げるも伸ばすも前後左右上下どう動かすにも、すべて同じ一つの途切れず流れ続ける流れとなる。
その螺旋の流れを得れば、剣は自由自在。
そして先ほども言うた様にその流れを振り絞れば」
ガラスが割れるような澄んだ音。
巨大な戦斧はその刀身を真っ二つに断たれた。
「鉄とて斬れる」
風巻光水流における『豪龍を振り絞らば太刀振りて鉄を斬り、弓を撃ち掌を打てば甲を徹す』『斬徹』の心得である。
「あ、あ、あ、ああああ……」
事ここに至って巨漢は恐怖した。
眼前の男が、己では到底かなわぬ虎である事を理解したのだ。
「体を痛めても構わぬとは、例えるなら、折角見える目を閉じて道を歩くようなものだ。わかったか? ルーフェス」
「は、はいっ」
ブランドーの剣が巨漢の眉間に突き付けられた。
巨漢は失禁し、じりじりと後ずさる。
「逃げるなら追わぬ。失せろ」
「ひいいいぃっ」
巨漢と取り巻き達は逃げ出した。
落ち着いてから、ルーフェスは稽古を再開した。
「痛みを真摯に聴き、無駄を省く……。僕は、後、何年剣を振れば師匠の域に行けるでしょうか?」
「一生かかっても行き着けぬ者の方が多い」
「………」
「大丈夫ですよ」
マリエルはいつもの朗らかな口調で励ました。
「遊び楽しむ様に一生懸命やれば大丈夫ですよ」
「そんな甘いものでは無い」
ブランドーは眉根を寄せる。
「いえ、だって、京香曾御婆様が言ってました。駄とは馬や犬と遊ぶ事、馬や犬の様に遊ぶ事で、無駄を省くとは楽しむ事だって。遊び楽しんでばかりで、しなくてはならない仕事や勉強をしないと『駄目』と叱られますけど、真剣に遊ぶから時に喧嘩して、それでお互いがされて嫌な事や、より喜ぶ事がわかるから、もっと仲良くなれる。そう言う事ですよね」
「む……」
ブランドーは唸った。
「いや、確かにそうとも言えるが、それでは―――」
足りぬ、と言おうとしたが、
「こうも言ってました。楽しむと言う言葉は音楽と言う言葉から生まれたと。響き合うと言う意味だと。みんなと一緒に演奏する様に稽古すればいいんですよ。ルーフェス君の心がその演奏する鈴なら、他のみんなの演奏する楽器や歌が痛みや地や肉や骨や身体なんです。独りよがりにならず、耳と心を澄ますのも、拍子や呼吸や強弱や旋律を合わせ紡ぐのも、響き助け合うのも、他ならぬルーフェス君の真心を込めるのも、当たり前の事でしょう。ね」
「ははははっ」
クロブが膝を叩いて愉快がる。
「まさしくまさしく。その通りですよ、ルーフェス。剣も魔法も同じ事です。魔法を紡ぐのもその様にしなさい」
(わかりましたよ。何故私が才能が無いと言われていた魔法が今になって急に上手くなったのか)
――遊びをせんとや、生まれけむ――
「はいっ! 先生!」
「おかしい」
ブランドーは憮然とした。
マリエルに現実の厳しさを見せ付け思い知らす筈が、なぜこうもいつもうまく収まってしまうのか?
「まあ、俺がその分苦労させられているせいか」
「……好きでやってるんじゃないんですか?」
クロブはボソッと呟く。
「何か言ったか?」
「いえ、何も」
「ま、まあ音楽の事なら詳しくて当たり前じゃないか」
イシュヴァーナは下唇を噛む。
「流石だ。麗しの君」
グレガンが目を潤ませ頷く。
「曾御婆様の受け売りな上に、元を辿れば剣人様からのそのまた受け売りだそうですけどね」
マリエルは舌を出した。
「何? 剣人とは一矢の曽祖父で師匠だったな、確か。なら、さもありなん」
「駄目だこりゃ」
マリエルとブランドーのやり取りに頭を抱えるオフィーリアであった。
―第8話に続く―
バンデルとゲラードに襲い掛かるハニートラップ。
「私たちを好きにしてもよろしくてよ」
「うふふふふ」
マリエルとブランドーたちはついに探していた敵、『賢者の石』狩人に遭遇する。
「数が多いな」
「厄介ですね」
彼らは石化病に苦しみ、また食い物にされようとしている人々を助ける事ができるのか?
物語はいよいよ核心へ佳境へと。
一矢とシエラたちは?
は~何のことやら?(鬼かお前は)
ごめん、そっちのパートはたぶん一回休み。
それではまた第八話か十三個目のピーピングジャックでお会い致しましょう。
再見!