最終決戦 -その4-
これは、正しく二人に思いを伝えきれなかった後悔あっての代物。
あの二人には、是非生きて帰って来て、この老骨の茶をもう一度飲んでも貰わなくては困る。
人類軍と怪物軍は静かに睨み合い、空の上を裁定者たるドラゴンが舞う。
戦士達は涙を流す。
天高く馬肥ゆる10月。皆様如何にお過ごしでしょうか?
いまだ拙筆にも懲りずに付き合って下さる皆様に、感謝感激の豊福でございます。
遂にこの連載も、今回を含め残り3回。身の引き締まる思いでございます。
まあ、同じくこの『なろう』で書いている新ログ・ホライズンは始まったばかりなんですがね(^^;)。
最後の最後まで気合いを途切らさず書き切る所存です。
宜しくお願いします。
それでは本編をどうぞ。
八枚の翼と大王の旅 ―第29話―
-1-
地球、日本。
風巻道場、離れの茶室。
その日、ある議員は英明の茶に招かれた。
先代の剣人が、彼の世話を見てくれた縁が有り、困った時は度々相談に乗って貰い、また、その恩も返してきた。
当代の英明もまた、兄の様に慕い頼りにしており、よく今日の様に息抜きをさせて貰っている。
彼は疲れてしまっていた。
彼の望みを叶えるためには、色々な人のたくさんの力がいる。
その力を借りるためには、これまたたくさんの金や力が必要で、これまたそれを集めるためには、と、終わりの無い繰り返し。
したくも無い事まで沢山繰り返し、これからはもっとそれを増やす事になるだろう。
「はあ」
深い深い溜め息を衝く。
高い板塀と、これまた高い深い緑に挟まれた、薄暗い露地をとぼとぼと歩く。
茶の庵の深い庇の下の、狭い狭い潜り戸をくぐる時は、もし自分の情けない内心を見透かされたなら、いや、それどころか、後ろ暗い事にまで手を染めつつあると、ばれればどうなるかと思い、生きた心地がせず、逃げ帰ろうかとも思った。
だが、潜り戸の向こうの、よく手入れされた障子越しに差す柔らかな光に包まれた明るい茶室と、これまた柔和で明るい英明の、常と変わらぬ様子を見て、涙を流さんばかりに深く安堵する。
まるで今、生まれ直したような心地だ。彼はそう思った。
「どうぞ」
流れるような所作でしつらえ出された一杯の茶。
備前にしてはきめが細かいが、それでもわずかにざらつく肌が、まるで人肌の様に感じられ、朱の刺す肌の色も、赤子のように愛おしい。
そこに映える鮮やかな緑の抹茶。
味わい、飲み干し、顔を上げると、いつの間にか正面の障子窓が開けられており、これまた鮮やかな木々の緑と、夏の煌めく木漏れ日が眩しく目にとび込む。
嗚呼。
今、私は本当に、今、この世に生まれ落ち直したのだ。
「嬰児」
英明は紗布で茶具の手入れをしながら、そう呟く。
「此度、その椀の銘を、そう名付け直しました」
議員は涙を流す。
愛おしかった。
この椀も、緑も、この世界も、そして他ならぬ、この世を今まで行き抜いてきた己自身も。
「嬰児、即ち赤子の様に、素直に泣き笑う。貴方の望みを、思いを、赤子のように素直に吐露する。馬鹿にする者も、反発する者も当然いますが、そんな者も、案外少し後では、自分の方こそ赤子の様に大人気なかったと思い直すものです。もし今、貴方が生まれ直したと思うのなら、そこから始められるのも如何ですかな?」
ここに来てよかった。
そう思い、議員はさまざめと、時に肩を震わし、泣く。
「真の理とは、理屈から、己を屈める不自由を取り除いて、初めて理と読む。お忘れなきよう」
泣き終え、礼を施した処で、駄目元で聞いてみる。
「この椀を御譲り頂けませんでしょうか? 無論、値段は如何程でも!」
「いえ、生憎、この椀は、孫夫婦に譲り渡すと決めておりますので。似たような椀を見かけましたらそれをお教えしますので、それで御寛恕を」
「いえ、こちらこそ不躾な事を申して申し訳ありません。お孫様ご夫婦が何より大切な事など、聞かずとも分かる位には、拙職も人の道理をわきまえております」
「ご理解、痛み入ります」
二人は頭を下げ合う。
英明は遠いアフリカの地に居るであろう、一矢とシエラに思いを馳せる。
やっと会心の茶席が出来たのだ。
これは、正しく二人に思いを伝えきれなかった後悔あっての代物。
あの二人には、是非生きて帰って来て、この老骨の茶をもう一度飲んでも貰わなくては困る。
「ひ孫の顔も見たいしの」
「ええ。先生にはこれからも長生きしてもらわなければ」
英明は、つい口に出ていたか、と、苦笑するのであった。
-2-
ラ・フォーロ・ファ・ジーナ。ジュデッカ大陸、大王の陣。
人類軍と怪物軍は静かに睨み合い、空の上を裁定者たるドラゴンが舞う。
隠れ里でも、地球の暗黒の谷でも、同じように人間軍と怪物軍は睨み合い、ドラゴンの次の言葉を待ちわびていた。
そしてその言葉は二つの全世界の人間に届く。
『彼ら怪物達は、正確には≪不死の王≫と呼ばれる機械的な魔法、いや、呪術システムに過ぎん。生命など欠片も持ち合わせてはおらぬ。たとえ死んでも新たに身体を作り直し、何度でも情報をダウンロードすれば幾らでも替えの効く玩具だ』
「本当かよ」
「そんなのインチキだ」
「死を恐れぬ訳だ」
「ぜったい死なない奴じゃん」
「無限のセーブ&コンティニューかよ」
「究極のチートじゃねえか」
「出鱈目だよ」
二つの世界で、人々は呆れと絶望の呪詛を吐く。
『彼等は三千五百年前にこの呪術システムを造り上げた。そしてその後の歴史の中に度々現われて、永遠の命を望む、年老いた貴族、王族、為政者を誘惑し、そのシステム内に取り込み続け、そのシステムの改良をさせ続けてきた。歴史の裏でひっそりと、秘密裏にだ』
「自分達だけ不老不死だとぉ?」
「きったねー」
「どこまで思い上がってやがる」
『昔は知識は経済上の理由で為政者のみに許された贅沢だったからな。知識を元に先を見据えて行動する、所謂理性的な活動が出来るのは選ばれた貴族だけで、平民とは只の家畜で管理を外れれば共食いを始めるケダモノにしか見えなかったのは無理も無いのだ。だが、今そうではない事は知識と言う贅沢が世に溢れかえった君達なら、知っているだろう?』
「知識万歳」
「書物万歳」
「人類平等万歳」
『むしろ、人間が理性的になり過ぎて、平民ですら世界管理の重圧を感じ過ぎ、鬱やノイローゼがはびこって、逆に一見では理性を失って、職場放棄や犯罪をしているとしか思えぬ現状も、どうかとは思うがね』
「確かにの。人間など少しアホで好き放題やるのが良いのよ。所詮一人で何もかもやれる訳では無く、世の為人の為に役立つと言えるほどの取り柄など、数寄の道と言う、誰もが持つただ『一つ』の王道くらいしかないのだからな」
「だよなー。やってて幸せが一番だよ。それで周りも幸せに出来るんなら言う事無いモンな」
「好きこそものの上手なりけりだ。それで人の役に立てるのならば、これ以上の贅沢は無い」
ヴァーリが、一矢が、ブランドーが彼らなりの言葉で答える。
それは、彼等が他ならぬ彼ら自身の旅で得た、掛け替えの無い答。
『にも拘らず、未だに彼等は、彼等自身しか知らぬ知識を持っている彼等のみが、世界を治め得る程の幸福な人間であり、他の人間は特別な知識を持たない不幸な人間と見下している。所謂≪饕餮≫という奴だな』
「それはどうなの?」
「いや、でも特別な知識って?」
「やっぱそんなのある人間の方がやっぱ支配者?」
「でもやっぱ気分わりー。そんな奴に支配されたくねー」
『一ついい事を教えてやろう。その気になれば魔法によって全てのこの世の知識を読み解く事の出来る、≪傲慢な天使長≫たる我が言うのだから間違いはない。そんなものは、現代の今となっては、精々が洗濯に重曹も使えば汚れが良く落ちますが、衣類を傷めない様に分量には気を付けましょう、程度のものでしかない』
「なんじゃそりゃ?」
「アホか」
「馬鹿じゃねえの」
『おまけにそれらの知識は世に広まっていないから、所謂、淘汰圧と言うものがこれっぽっちも懸っていない、検証不足にも程のある、未熟で危なっかしく間違いだらけの胡乱なものと来た。世の皆が知っている知識と言うものは、世の全ての人間によって検証され続けてきた、素晴らしい知恵の宝なのだよ』
「そりゃ当たり前だわ」
「グラスノスチ万歳」
「ネット民と炎上文化万歳」
「流れぬ水はすぐ腐るってやつだな」
「まあ、知識なんて叩かれてナンボナリ」
「実際に生身の人間叩く訳じゃ無し」
「人間万歳、命万歳。知識は綺麗にホコリ無くなるまで容赦なく叩いて良し」
「ネチケットブラボー!」
「ゴミ知識を憎んで発言者を憎まず。むしろ面ろいホラやネタの提供者は美味しい神でつ」
『つまり、危険だから一般に広めるのを見送っている以外の理由の全ての彼等の秘密主義は、はっきり言えば、逆に社会にとっての迷惑だ。何せ、往々に碌に検証されて無い知識で、彼等自身が間違った支配を人や社会にしているのだからな』
「あほや」
「馬鹿か?マジで馬鹿ですか?」
「ダメ駄目じゃん」
「草映えるわ。大草原の小さな家」
「ボケたらツッコみ合う吉本星人こそ最強戦闘民族」
「ツッコミを恐れる者などネットではただのチキン」
「ボケはむしろ美味しさの証」
「吉本星人? 吉本人じゃねーの?」
「ただ単に吉本人だとブラック体質みたいで何かイや」
「激しく同意」
「我等ネット民すべてみな誇り高き吉本星人ナリ」
「何この、日本のギークの異常な盛り上がり?」
「日本人って、議論すら嫌がる、大人しすぎて何考えてるかわからない人達じゃなかったっけ?」
「確かにその通りだが、それぞれのヲタク道と言う修羅の道に於いては、むしろ誰よりも好戦的」
「それで平和主義なのに、いつも戦争になると異常にタフに暴れ回るのかっ?」
「つ、強いはずだ」
「ゲルマン人と意気投合するはずだよ。同じギーク気質、ヲタクだもん」
「かと思えば、華僑やユダヤ人の様に、契約尊守に拘るしな」
「エコノミックアニマル」
「古」
「だが、結構能天気に契約を破られてもあまり怒らない。がめついのかそうでないのかよくわからん」
「やはり謎民族」
「江戸っ子堅気と言うのだよ」
「宵越しの銭は持たねえ」
「いや、ちゃうで、浪花節に決まっとるやろが。こっちが本家や!」
「困った時はお互い様っちゅーねん!」
「傍から聞けば同じ美学にしか聞こえないのに、なぜ彼等はこうも対立するのだ?」
「まあ、同じ国の中でも、方言の言い回し一つでいがみあうのはどこも同じという事だ」
「ローマっ子とベネチアっ子の永遠の対立の様な者だな」
「あー分かる。アメリカも東西南北中部で気性とスラングが違って大変」
『更に彼等のシステムには致命的な欠陥が有る。本質的に生命ある者との共感能力を持たないのだ』
「何で?」
『彼等の肉体は魔法で動くロボット、意志を持つだけのゴーレムに過ぎぬからだ。飲食を必要とせず、気温変化や多少の熱で傷付く事も無いのだから、五感の内、味覚、温感を持たず、触感も本質的な意味で充分ではない。ストレスや疲労を本質的な意味で持たぬのだから、それを癒し癒されて心地好いと感じる事も無い。彼等にとっての快楽とは、いつまで経っても生前の記憶と合致するかしないかの、ヴァーリの言ったままの単純な答え合わせに過ぎず、実際に彼ら自身でさえ、快楽に感じているとの判断自体、ただの錯覚でしか無い。逆を言えば善良と邪悪との判断もだ』
「なんじゃそりゃ?」
「あれ、どっかで聞いたのと似てね?」
「あれだろ、シビ◎ラシステム」
「あー、やっぱ肉体大事」
「あれ、やっぱディストピアじゃねえか」
「管理システム自体が本質的にサイコパスって何の冗談?」
「大草原の……」
「笑えねえ」
「んじゃ、ドラゴン様、人間の御味方して、とっととそんなもの滅ぼしてくれませぬでしょうか?」
「ドラゴンは悪魔よ、そんな事する訳無いじゃない!」
『ある意味そこのキリスト教徒の御方の仰る通りだ。我は≪傲慢な世界の管理者≫に過ぎぬ。ロクでも無いと分かっていても、人類がこのまま自滅の道を歩むというのならば、それよりマシな統治をする者に取って代わられるのを看過する義務があると言ってもいい。それがどれほど傲慢な行為かを常に自戒自覚する為に、我は常にそう名乗っている』
「うーわー」
「やっぱ大天使長なんざ、ある意味悪魔の統領と変わんねえ」
「厨二ゲームの設定そのままや」
「いや、だから本人自称するに同一人物」
『我はただ、君達が彼等の支配を自ら進んで受け入れるか否かの、判断材料を忠告、悪く言えば告発しに来たに過ぎない。知恵の実を授けるだけ授けて後は君達自身に任せる役割は、我がこのドラゴンの体になってからと言うもの、いつまで経っても変わらぬ劇中の配役らしいな。傲慢かつ無責任と誹ってくれても構わぬよ』
「鬼! 悪魔! 地獄に堕ちろ!!」
『残念ながら、今我の本体が有る、ラ・フォーロ・ファ・ジーナと言う世界が、君達の言う、我等が地球から追放されたと言われる所の地獄だ。これ以上何処にも行きようも無い。案外悪い所では無いよ』
「そうとも!」
「そうだそうだ!」
『キリストの敵とやらついでに言っておくが、天国と地獄はある意味概念上通り実在するが、輪廻転生もまた実際の事だ。永遠の天国も地獄も今の所は無い。システム的に言えば、生前悪行を重ねた者は、無意識下で恨みを買い敵を多く作った事を自覚している。それでも生前は金だの権力だの腕力だの知識だのに明かせて、作った敵をねじ伏せていれば、安楽に過ごせていたのだが、死んで赤子からやり直すとなれば、自分の魂に如何にロクでも無い癖が染みついているかを無意識下に自覚している上に、知識も力も1から始め直す赤子だから、他人をねじ伏せる横暴な力など何一つ持ち合わせていないのだ。ならば、そんな人間がどれほど被害妄想に囚われ敵ばかり作る、悲惨な人生を送るかは、想像に難くあるまい。その状態を地獄と言う』
「うわー」
「人類結構皆平等だったのね」
「自然ってすごいわ」
『逆の人間は、魂に人を愛し人に愛される癖が染みついているのだから、赤子からやり直す事に本質的な恐怖を持たず、敵を作らぬ幸福な人生を大抵は歩む事になる。それを天国と言う』
「あー、納得」
「明日から真面目に生きよ」
「んだんだ」
『ここまで説明すれば判ると思うが、≪不死の王≫のシステムに囚われた過去の亡霊達は、輪廻転生をどうしても拒まなければ不安に押し潰され耐えられぬほどの、極悪人ばかりという事になる』
「げろー」
「サイコパス中のサイコパスどもじゃねえか」
『だが、罪悪感を自覚しているのだから、他人に偽善だの、厳格な見せかけの法だのを押し付ける、恐怖感と言う思いやりには長けている。ルールを絶対に尊守させる事が社会秩序だと思っている人間には都合がいいのではないか? まあ、ロクに掃除もされぬ不潔な家畜小屋に閉じ込められる事が、幸福と思えるならばだが』
『我々は清潔を尊ぶ』
『自由と言う喜びの風と陽の光を、愛を浴びさせぬ事が、何よりの不潔と言っているのだがな。バイ菌を殺す為に只毒のみを撒き続けて苦しませて恥じぬ、殺処分の行為を、我は清潔とは呼びたくない。でなければ、そもそも自然界のありのままの姿を、時に人類よりも優先する、管理守護者の仕事などやるものか。我に、己も他人をも、自らの意志で選び続ける幸福以外の主の奴隷に貶める悪趣味など、持ち合わせぬてはおらぬと言っている』
『我等を認めぬのか? 約定と違うぞ、ドラゴン』
『個人的な嫌悪の話だ。他に世界と人類の両方を救う方法が無ければ、我は別に構わんよ』
『ならば良い』
「ちっともよかねえ!」
「お前ら、やっぱどっちも悪魔だ!」
『そう思うのならば、今実際に命を張ってお前たちの代わりに戦っている者達に、精々声援を送るのだな。それを届ける位のお節介は、悪魔と言えどもしてやろう』
「頑張れ!」
「負けるな!」
「勝てよ、絶対!」
「「「「負けるなあああああっ!」」」」
戦士達は涙を流す。
アフリカでも、ジュデッカでも。三つの地で戦う者達は口々に呟く。
「なんかさ、俺達、今まで生きて来てよかったよな」
「死んでも、悔いねえかもな」
「ああ」
「勝たなきゃな」
「ああ、絶対だ」
だが、一人、別の決意を固める者がいた。
ヴァーリである。
「天使長よ、こ奴らは過去の亡霊、生きる命持たぬ亡霊。それで相違ないな?」
『その通りだ』
「ならば、この戦、貰った」
セントゥリウスが信じられぬ者を見る目でヴァーリを見る。
「な、何を言われます、相手はいわば絶対に間違いを犯さず疲労もせぬ、完璧な存在ですぞ! そんなもの相手には、貰ったどころか、どうやって辛勝するかさえも、拙職には見当もつきませぬ!」
「『兵は拙速を見るも、未だ恒久なるを見ざるなり』と云う。昔の兵法家もたまにはいい事を言うの。守って駄目なら攻めればいいのであろう?」
「守りを固める敵を相手するには2倍以上の兵力が無いとっ! オマケに疲労が無いのですから、実質陣地攻略戦に必要な3倍は必要としか見積もれませぬ! 飲食不用ともなれば、それ以上かもっ!」
他の王や貴族達も、大王では無く、セントゥリウスに同意せざるを得ない。
「心配無用ぞ」
ヴァーリは、腰の王威の剣、ドゥーハンを抜く。
「教えてやろう、未熟者どもよ。古来な、士気とはな、『死』気よ!」
そして、頭上に掲げ、宣誓を始める。
「古の偉大なる戦士にして、二つの世界を股にかけた大魔道士オーディンよ、今こそ貴殿の定めし、戦士を治める沈黙の法の禁忌を破らん。死せる戦士共、英霊、アインヘリアル達を死の軛、死の定めから解き放つ事を、どうか御許し在れ!」
宝剣は陽の光を浴び、眩く輝く。
誰もが、次の言葉を、息を呑み、固唾を呑んで待った。
―第30話へ続く―
「もう生きて居たくない、もう真っ平だ」
「もうここにしか居場所が無く、居場所を守るためには武器を握らざるを得なんだ、哀れなどん詰まりの者どもよ」
「ごめんよ、ごめんよう」
「「みんな負けるなー!!」」
「「うおおおおおおお!!」」
以上、次回予告でした。
さて、予定通り行くならば12月、正しく本年の終わり丁度でこの物語も終わりを迎えます。
実質前作の『六枚の翼』から地続きの物語なので、随分長い旅でしたが、ようやく風呂敷を畳めそうと一安堵。
でも、前書きでも言ったように新ログホラは始まったばかりなんですよね。大変。兼業作家は辛いよ。
昔からの人は御存知の、もう一つのシリーズ『十三個目のピーピングジャック』は半ば作者の趣味だけで書いているような作品なので、昔の予告ではそろそろ再開の筈だったんですが、新ログホラの方の執筆を優先しようと思っています。楽しみにしていた人は御免なさい。悪しからず。
それではいよいよ残り2話、また11月にお会いできます事を願って。
まったねー。




