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八枚の翼と大王の旅  作者: 豊福しげき丸
10/31

伝え継がれるれる剣の道

ザッパの口より語られる、風巻剣人の教えとライリックも交えた旅の追憶。


そして現在、

強くなりたいと思う二人の願い。

だが一方は聞き入れられども一方の焦りは空回る。


そこに手を指し伸ばしたのは――――


てなわけでお久しぶりです、しげき丸です。


前書きがいつもに増して短いのは、予定していたストーリー分量の三分の一しか消化してないからです。

大王側パートが一行も書けてないのになぜか通常よりも多い文章量。

何故だ?

まあ、その分気合はこめて書いたつもりですので、宜しかったらご照覧を。

あ、近況報告では、超久々にネチケットについて小説ではなく素の文章で書いてますんで、宜しかったら見てやってください。

今現在ネトゲやってないのにネトゲ番長久々にやっちゃうのって矛盾してない?(セルフ突込み)


ではまずは本編をどうぞ。

 八枚の翼と大王の旅 ―第十話-

 

 -1-


 ブランドーは斬徹を背中の鞘に収めた。

「その時の事を詳しく話せ」

「興味が御有りで?」

 ザッパも剣を腰の鞘に収める。

「私も聞きたいです」

 マリエルの声にブランドーが僅かに顔をしかめる。

「その御方はブランドーさんが仕合ってみたい人の曽祖父さんなんです」

「ほほう。想い人の。それは納得ですな」

 その答にブランドーの顔が増々渋面となる。

 オフィーリアはなぜか口に手を当て吹き出すのを堪えていた。

 

 それは十年も昔の話。

 ザッパは騎士の家の出だったが、次男であり、また石化の病で片腕を失った事も有り、就く職は成人から三十までずっと、小さな町の門兵であった。

 剣の腕は悪くなかった。いや、むしろ筋は良かった。ただし防御に限っての話である。

 彼から一本を取る者は滅多にいなかったが、一本を取る事は更に無かった。

 踏み込みがお粗末だったからである。

 彼はいつも引きずる様に歩いていた。それを見て皆笑った。

 ある日、何故そんな歩き方をしているのか誰かが問うた。

「はあ、勢いよく歩くと、うっかり蟻を踏み潰す事も有るでしょう。私はそれが可哀想で」

 それを聞いて皆は尚笑った。

 ザッパは人に馬鹿にされながらも、そんなものかと地道に十余年、門兵の職を務めた。

 そんなとある日、その小さな町をある四人の男女が訪れた。

 腕の立ちそうな男剣士、利発そうな女魔道士、そして八十は超えているだろう赤毛と黒毛の男二人。

「な、何者ですか? この街には何の用で?」

 問いかけながら、ザッパは冷や汗が止まらなくなった。

 若い剣士はまだいい。それなりの強者だが敵わぬまででも無い。だが、黒毛の老人は―――

「そこの」

 老人はザッパを見据えた。

「お前、相当できるな」

 それを聞いた門兵の相方が笑い出した。

「とんでもねえ、こいつは時間稼ぎはうめえが、蟻も踏めねえとんだ臆病者でさあ」

「ほう。蟻を踏めぬとな」

 老人はカンラと笑った。

「そいつは大した天賦の才だ。どうだ? お前さんさえ良ければ蟻を踏まずに済む歩法を教えてやるが」

 ザッパは気付けば地に跪き頭を垂れていた。

「是非とも、お願いします!」

 ザッパは直ちに職を辞し、半年の間、老人達に付いてジュデッカ大陸中を巡り、毎朝毎夜、黒毛の老人――風巻剣人――から教えを受けた。

 赤毛の老人も只者では無かったが、その名は墓場まで秘してくれと頼まれた。

 だが、マリエルとオフィーリアは、その赤毛の老人が、既に王位を退いていたマリエルの曽祖父である事を察していた。

 彼は嘆き悔やんでいた。自分達がもたらした地球の技術によって魔法や経済格差が広がり、ジュデッカの地が荒れた事を。

 己の眼でそれを確かめねば気が済まなかったのだ。

「酷いものだ」

「ああ。だが面白いモノや人もたくさん在った。悪い事ばかりじゃ無かったろう」

「だから、余計に辛い」

「なあ。上手くは言えんが、やるべき事は辛がる事じゃなくて、面白がる事じゃないか?」

「?」

「儂にしろ、このザッパの才を面白い宝と思うたから、鍛えてやれた。それにしたって、不肖の曾孫がわしの眼を開かせてくれなんだら面白がれんったかもしれん。だから、やるべき事は安易な同情などでは無く、このジュデッカの宝を才を、ジュデッカの人にしかできぬ何かを見出す事面白がる事。儂等の節穴であった目を開く事ではないかな?」

「宝か」

「ああ、この世は宝の山だろう」

「……他人には人それぞれの個性を大事にせよと言っておきながら、知らず知らずのうちに、ジュデッカの人々を一括りに憐れな人と見下していたかもしれない」

「いいんじゃないか」

「良くは無い」

「後悔とは白い海図に図を書き込むようなもので、それがあるから人は新たな航海に旅立てる。どうだ、美味い事を言っただろう」

「……日本語がわからなければ何を言っているのか分からない所だぞ」

 そう呆れてから、やっとライリックは張りつめていた表情を崩し、笑った。

「いえ、いいお言葉です」

 ザッパは無礼を承知で(洒落は分からなかったが)主たちに口を挟んだ。

「ザッパ、お前さんもそろそろ自分の航海に旅立つ時だろう」

「……とは言え、何をすればよいのやら……」

「剣とは意のまま思いのまま。お前さんの今の剣があれば本当はそうしたかった、そうしたい、魂に刻まれた後悔は何だ?」

 その時ザッパの脳裏に浮かんだのは、とある繰り返された光景だった。

 ある者は闇夜に、ある者は土砂降りの雨の中、人目を避けるためにわざわざそんな時を選んで門より町を去る者達。

 彼らはその身に宿す賢者の石を付け狙われる、ザッパの同類達だった。

 忸怩たる思いで見送りながらも、意気地なく動かぬ門を守るしか能の無い自分が付いて行っても、かえって迷惑になろうと言い訳を繰り返した。

「お前さんが本当にこの先生涯繰り返したい事をすればいい。もし繰り返してはいけない事があるのならば、それは自分の魂を偽る事、同じ後悔を繰り返す事だろう? 日本には義務と言う言葉がある。それは本当は人に言われてする事では無く、義、即ち己の真心を務める事だ」

 そうしてザッパは石化病を抱える者専門の旅の護衛となった。最初の内は食うや食わずではあったが、隠れ里に無事辿り着いてからは、隠れ里の領主から、人を送り届ける度に報酬を貰えるようになった。

 

 護衛されていた者達も初めて聞く話に、少なからぬ者が涙をこぼす。

「諦めなければ、何かが出来る、変えられるんですよね」

 マリエルが涙ながらに言う。

「……………」

 ブランドーは黙っていた。

 

 -2-

 

 翌日。

 道中、ルーフェスはザッパの歩法に大変興味を持ち、話をせがんだ。

「では、本格的に学んでみますかい?」

 だがそうザッパに言われてみると、ルーフェスは困った顔に。

 そっとブランドーの方を恐る恐る窺う。

「俺に気兼ねせずとも良い、クロブから魔法を学んでいるのと似たようなもの。好きにしろ」

 ルーフェスの顔が雛菊の様に明るく輝く。

「ではまず、木刀を構えて間合いを取って下さい」

 ルーフェスは後ろに下がって青眼に構える。

 ザッパはそこらの木の枝を拾って構える。

「では、斬りかかっておくんなさい。遠慮は無しで」

 一瞬の静寂。

「やあっ!」

 裂帛の気合いと共に飛び込み斬りかかる。流石は虎の弟子である。

 だがザッパはスッと横に身を躱すと足を払う。

 ルーフェスは堪らずつんのめって転ぶ。

「重心が前のめり過ぎますな。だから足を払われたぐらいで止まる事も出来ずすっころぶ」

 言われてルーフェスは、自分の脚捌きと、ブランドー相手に見せたザッパのそれとの余りの違いに改めて愕然とする。

「前足に荷重を掛けず滑らすように、後ろ足にだけ荷重をかけておくんなさい」

 果たして教えられた通りにするが、今度は歩くのさえ難儀する。

「ゆっくりでいいです。今度はそのまま足を払われても止まれるように斬りかかって下さい」

「やあっ!」

 再び足が払われる。しかし今度は重心が後ろ脚にある事も有って、ルーフェスは踏んばり止まる。

 ――しかし――

(身動きが取れない!)

 ザッパの枝は悠々と頭を叩く。

「つま先だけで踏ん張るから、一拍流れが止まって、すぐ次の動作に移れない」

 ルーフェスは尻もちを着く。

「御立ちなさい。今度はルーフェス君が受けをしておくんなさい」

 ルーフェスはまた立ち上がり、今度は迎え撃つために木刀を構える。

「行きますよ」

 ルーフェスは相手の飛び込みに合わせる為に上段に振りかぶる。

 ――しかし――

 気付けばザッパは懐に居た。自分の剣は間抜けにも振り上げたままだ。

 途中何をしたのかさえ全くわからず、間の距離、動作が消えたとしか思えない。

「流派によっては『縮地』『消える動き』とも云うそうです。まさしくそう見えたでしょう?」

「…………一体どうして、どうやってですか?」

「種はある」

「流石ブランドー様。もうお分かりですね」

 ザッパが苦笑いする。

「横でも見ればな。ルーフェス、ザッパはただ滑らかに沈みながら前に進んだのだ。」

「?、たったそれだけの事でどうして?」

「人の眼は見た目の大きさが大きくなれば近付いたと分かる。だがザッパは身を低く沈めた。つまり見た目の背の高さ大きさが、懐に入るまで一切変わらなかったのだ」

「?、身を沈めたらその動きで分かるじゃないですか?」

「その動きが尋常で無く、まるで止まっているかにしか見えぬ滑らかさだった。口で言ってしまえばそれだけだ」

 たったそれだけのことが、どれほどの事か。

 わからぬ者は分からずに絶句する。

 一切の振り、溜め、勢いを付けずに滑るように動く。

 剣を振るう者、踊る者、剣を相手にした事のある魔術師は、その意味がわかって絶句した。

「じゃ、じゃあ、ブランドー相手に、一拍も動きを止めないまま後ろに下がったのはどうやってだ?」

 グレガンが興奮して聞く。

「足先だけの力に頼らず、むしろ足先が無いかのように、膝や腰、背骨の車輪を、前に行く時は前に滑り転がり落ちるように、後ろに行く時は後ろに滑り転がり落ちるかのように用います。文字通り、『無足』、『車輪旋脚』とも云いますな」

 グレガンは跪き、地に頭を付けた。

「頼む! どうしたらそれが出来るようになるか、教えてくれ!」

「……顔を上げておくんなさい。残念ですが、そいつは難しい事です。本来、ジュデッカの武術は爪先で立ち足先で地面を蹴る事が基本です。基本摺り足の『無足』とはそれこそ水と油、一から動きを作りかえる事は至難の業。お若いルーフェスさんと違って、もう今の剣が身に沁みついたグレガンさんが身に付けるのは、それこそ人生を赤子からやり直すようなもんです」

「真似事でもいいんだ!」

「……爪先立ちでも摺り足は出来ます。でも、そいつは道場や平地でしか使えねえ、実戦では使い物にならねえもんです」

「何故だ?」

「爪先立ちの武術は、でこぼこした地面に、膝や腰の動きで合わせます。ですが、膝や腰を車輪のように使う武術は、足先足裏を柔らかく地面に沿わせる事で合わせます。爪先立ちのままでこぼこした地面で実戦の脚捌きをしたら、たちまち転んじまいますよ」

(分かり易く言うと足首から下がタイヤのゴムとサスペンションです。爪先立ちの武術ではその役割が逆。

 ○コース君が足場を躍起になって均したのはそう言う事です。なのでアンクルクレーンの付いたミラー○ュマシンに乗ったベル○ット君はきっと史実に名高いアレを再現してくれる事でしょう(永野先生そこまでってゆーか終わりまで連載頑張って~w)。

 ロボットヲタクなので脱線してしまい申し訳ありませんでした)

 グレガンはまた頭を地面に擦り付ける。

 だが、それは懇願では無く、嗚咽であり慟哭であった。

「う、ううっ、くうぅっ………

 ……わかってたんだよ、本当は。

 ブランドーの旦那の言った通りだよ。

 今更どうにもならねえって。

 半端な努力しかせずに、楽なしけた盗みばっかり繰り返して、それでもいつか大儲けしてどうにかなるなんて甘い夢見てて。

 それから心を入れ替えたつもりだったのに………

 結局、半端な努力しかせずに、甘い夢見てたんだよ。

 結局、どうにもならねえんだよ………」

 誰もが黙り込んだ。

 かける言葉も見つけられずに。

 ――だが――

「いいじゃないですか。腕っ節なんか弱くたって。貴方は良く私を手伝って、おひ……、ゴホン。もといマリエル様やみんなの世話を焼いてくれてます。口先しか動かさずに偉そうな男なんかより、余程男らしいと思うんですけどねえ」

 オフィーリアが声をかける。

「……慰めはよしてくれ」

「慰めじゃありませんよ。私はまあ、結局メイドが仕事ですからね。プロとして貴方は尊敬できる。そう言いたかったんですよ」

 グレガンは呆けた様な顔をした。

 それを見てマリエルは笑う。

 ひまわりの様に。

 ブランドーは眉をまたしかめる。

「グレガンさん」

「……麗しの君……」

「ほんとはですね、私も剣を持つ事に憧れた事も有るんですよ。剣を持って大冒険して、大好きなみんなを守りたーい!って、何度も夢見た事があるんですよ。でも、シエラちゃんと違って体も弱いし、腕も動かせないしで、いつも周りから止められてましたけどね」

「……っ」

 グレガンは打ちのめされかけた。

 自分は、マリエルよりも、ずっと恵まれているのに、なんて情けない事を―――

「でも、私は生きてます」

「?」

 グレガンは今度は訳が分からず呆ける。

「夢をかなえられずに自分を見放したくてたまらなかった事も有ります、けど、見放し切らずに生きてます。

 グレガンさんだってそうでしょう。

 私よりももっとずっと辛い思いもしてきたのに」

 グレガンは泣いた。

 声を憚る事無く泣いた。

 今生まれ落ちた赤子のように。

「それに、グレガンさんならきっと大丈夫ですよ」

「?」

「太鼓の叩き方が上手に出来なくて、オフィーリアさんに何度も尋ねに行って、新しい事を知る度に、気付く度に、上手くできるようになる度に、何度も喜んで楽しんで笑って。あれって、上手くなりたいって思ったからですよね」

「??」

「だから、上手い上手くないじゃなくて、今強い強くないじゃなくって、それも大事なんですけど、それよりももっと、子供の時の様に音楽の様に、強くなりたいって思っていれば、楽しめるし喜べて笑えるから、きっと強くなれますよ」

 グレガンはやっと立ち上がった。

 多少膝が抜けてよろけて、フィーリアに手を貸してもらいながらではあったが。

 もう、その貌は変わっていた。

「いやあ、参った。降参です」

 ザッパは頭を振る。

「あっしの言わなきゃならなかった事を、全部言われちまいました」


『グレガン。努力とはな、日本語では女の股の力、即ち己を産み直す力と書く。

 お腹の中の赤子が、己自身が、どれほど弱く何もできまいと見捨てず見放さずただじっと愛を注ぎ、生み落すにも似た苦しみを味わいながらも一つの行いを重ね、それでいて徒に己を苦しめず、赤子が這い這い一つ、つかまり立ち一つ、そしてよちよちながらも懸命に歩くその足一つ一つを、赤子が大人になり楽にできる様になる己の一足を楽しみ、親が己を温かく見守る様に己の一足を喜ぶ。

 その泣き笑いを観るように眺めるように心傾け聴く事を、観音の悟りと言う。

 そして、いつか世のすべての人、すべての物事を―――か。

 これだから生きる事、武を磨く事はおもしれえよなあ』

 

「剣人様、あっしもまだまだ未熟でした。グレガンさんも許しておくんなさい」

 ザッパは頭を深々と下げる。

「そんな、謝るようなことは何も」

 グレガンは恐縮する。

「こいつはあっしの気持ちでけじめです。師匠に天賦の才と言われて思い上がっていました。あっしの天賦の才は世間様の言う能力や才能なんかじゃなくて、ただ、蟻を踏まずに生きて行ける事が嬉しくって、修行の一つ一つが辛かったけど楽しくてしょうが無かった。それだけの事だったんです。人に請われて教える度に、言いたい事が伝わらなくて挫けていたのは他ならぬあっしでした。だから、今まで頭を下げ損なった人達の代わりに、頭を下げる事を許しておくんなせえ」

「……それじゃあ?」

「ええ、こっちこそ、今度こそ、一から教えさせて下せえ」

「やめてくれ、そこまで言われたらこっちこそ困る!」

「じゃあ、お互い様って事で、握手でもしてくれませんかね?」

 グレガンは、己の手を、時に血で汚した己の罪深き手をじっと見つめる。

 拭っても取れぬと分かっていても尚、ただ礼を尽くしたくて、懸命に服の端で何度も拭う。

 そして震えながら手を差し出し―――

 ザッパは暖かく握り返した。

 見守る人皆が泣き笑う。

 そしていつものようにオフィーリアが手を叩く。

「ハイハイ。みんな、もういい時間になりましたわよ。ご飯の準備を始めないと」

「おっといけねえ、じゃあ、早速宿営にいい場所を探さなくては。グレガンさん、ルーフェス君、あっしの足真似をしてついて来て、手伝っておくんなせえ」

「はいっ!」

「えっ、ちょちょっと、もう?早速!?」

 今度は別の失笑が起こった。

 

 -3-

 

 就寝前の食事(とはいえそれは世の人の逆で早朝)が終わり、人々は後片付けを始め、子供たちは眠りに就く。

 ブランドーは酒瓶を以ってぶらりと座を離れる。

 イシュヴァーナが酌をしようと付いてくるが、それをすげなく袖にした。

 落ち込む彼女にクロブが声をかける。

「旦那は酒を飲む前に剣で一汗、いや二汗三汗掻くつもりです。貴方が行くと気が散るからですよ」

「……それならしょうがないよね」

「まあ、色んな意味であんなものを見せられては、そうせざるを得ませんよねえ」

「……旦那はやっぱり男だねえ」

「……まあそうですね」

 クロブは皮肉気に笑う。

(負けず嫌いもいいんですけど、いつかそれで身を滅ぼさなければいいんですがねぇ。素直に甘えればいいのに)

「ま、そういう生き方しかできないからブランドーの旦那は旦那なんですけどね」

「うんうん。そうそう」

 分かったつもりで相槌を打つイシュヴァーナであった。

 やがてマリエルが子守歌を歌い始める。

 いつものようにブランドーが戻ってきて天幕に入り、寝付いたと思うまで、今夜も歌い続けるだろう。

「こっちも負けず嫌いですよねえ。さて、こっちも付き合いますか」

 相棒の八弦リュートに手を伸ばし、ただ密やかに優しく切ない旋律を奏でる。

「あんたらいつまでやるつもりだい?」

「そうですね。イシュヴァーナさんが寝付くまでは続けますよ」

「さらりと憎い事言ってくれるね」

 クロブは自嘲を唇に浮かべる。

「……人の事ばかりは言えませんか」

「何の事?」

「内緒です」

 東の空は紫に染まりつつあった。

 

 ―第十一話に続く―

「それはそうだ。自分達の蒔いた種だからな」

「周りがそういう連中ばっかりだったなんて、文句を言うのはお門違いだった」

「他ならぬ自分がそうだったんだからな」


「よくやってくれた。これでこいつらも逃げられまい」

「ええ、貴方たちもね」


貴族達は悩み苦しみ、密猟団は遂に賢者の石を狩りに現れる。

人々は苦境を乗り越えることができるのか?


そして次こそは作者は次回予告をちゃんと消化できるのか?(爆)

でもやっぱり大王は出てきません(キーパ君にも束の間の心の平安が必要なんですよwwww)。


それではよろしかったら次回をお楽しみに。

またお会いしましょう。


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