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レベル255の魔法少女  作者: パラドックス
第三章 世界改変
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蘇生魔法の購入


「どう、衣咲?」


「上級金貨もスーパーカレンシーライセンスも本物よ」


「じゃあ、これを持ってインターネットで買えるかしら」


「もちろん」


 志穂と衣咲は真昼のディスコにいた。今日も今日とて裏の超越通貨の話だ。


「なら、訊いておきたいんだけど」


「何かしら」


「衣咲はどの時代から来たのよ?」


「それは、言えない」


「箝口令かしら? 流行ってるの」


「いろいろある」


「じゃあ、質問を変えるけどマキャファートがズヴェズダーから来たというのは知ってた?」


「それは、もちろん」


「なんで隠してたのよ」


「言う必要がなかったから。語るに落ちてはいけないからな」


「タイムリーパーって何で隠したがるのよ」


「いろいろある」


「はぁ、またそれ。まぁいいわ。じゃあ次の質問だけど、ズヴェズダーは侵攻を起こして、アイラの国が同盟国のために戦っているの?」


「そうだ」


 志穂はようやく第三者からの意見が聞けた。おそらく、参謀本部長が言っていたことは本当のことなのだろう。


「マキャファートはその戦闘に逃れてきた?」


「どうだろうな。それこそマキャファートさんに訊かねばわからぬことだろう」


「逃げないで。衣咲の意見はどうなの?」


「…………マキャファートさんは戦争の道具だ。戦争のために生まれてきたようなものだ。機械故に人間扱いはされず、スーパーカレンシーライセンスも持つことはできない。まぁ、特別なスーパーカレンシーライセンスなら持てないこともないのだがな」


「戦闘に巻き込まれて逃げてきたのは怪しいと思っているの?」


「ええ。逃げてくるのなら非戦闘員だろう。しかし、マキャファートさんは耳に敵の魔力を察知するアンテナがあり、魔法少女を生み出す力も持っている。戦闘に向かうように作られている」


「そういえば、すみれのMADボムを自分が自在に扱えるようにしようとしてたわね」


「継承システムがマキャファートさんに作用せずだったが、それでも諦めないだろう」


「…………MADボムってインターネットで売られているの?」


「それはない。仮にMADボムを手に入れて売ろうとしても無理だ。聯盟が介入する」


「じゃあ、上級金貨で買える魔法は蘇生魔法以外に何かあるかしら」


「感染魔法とか?」


「それって危なくない?」


「まぁ、新種のウィルスなら。パンデミックを起こすでしょうけどワクチンがあればある程度の命は救える」


「なんで、そんな危ないものが売ってあるのよ」


 大量破壊兵器は核兵器以外にも化学兵器がある。インフルエンザなどの流感はパンデミックを起こす。第一次世界大戦のインフルエンザはやばかった。インフル以外にも、ペストとか。黒死病として中世ヨーロッパは陰鬱とした空気が流れていた。


「私からすると蘇生魔法も危ないと思う。殺したはずの悪逆の指導者が復活でもしたら……」


 仮にそのようなことが起これば何回殺せば済むのだろうか。志穂は二度とアイラと戦いたくはない。


「…………ありがとう衣咲。話を聞いてくれて」


「う、うん。それより、行くのか?」


「ええ、行くわ。蘇生魔法を買いに」


「…………気を付けて」


「あら、このライセンスはブラックリストには入ってないんでしょ」


「たしかに、ブラックリスト入りしてるのは莉音さんのライセンスだ。志穂さんの持つそのライセンスならば最恵国待遇してくれるだろう」


「それは、うれしいね」


 志穂はそう言うとソファーから立ちあがり、スマホを取り出し、検索欄にスーパーマーケットと打ち込む。


「志穂さん、行ってらっしゃい」


「行ってきます」


 志穂の目の前にゴゴゴとインターネットと現実を繋ぐ時空の歪みが生じた。

 すうっと、それに志穂は入っていく。



「30年後にまた会いましょう。志穂会長」










「相変わらず真っ白ね」


 志穂はインターネットに入り、日本のスーパーマーケットへ向かう。


「あっ、あった。あった」


 スーパーマーケットに入るとすぐさま志穂の目につく。前回、継承システムを買いに来たときに見た光景と一緒。


「売れないのね。蘇生魔法」


 とてつもなく高価であるため誰も手を出せない。


「すいませーん。あれが欲しいんですが」


 志穂は近くにいた店員を呼び、蘇生魔法を指差す。すると、店員はとても驚愕し志穂を二度見三度見する。


「あのー、蘇生魔法が欲しいんですが」


 店員は少々お持ちくださいと言い残し、バックヤードへと消えていく。すると、今度はいかにもV.I.P.客を相手にしている、ピッチリとした高級スーツを着た初老の外商さんが出てきた。


「大変御待たせ致しました。貴賓室が空いております。ご案内致しますので、どうぞこちらへ」


 志穂は外商さんに誘われ、貴賓室に連れてこられる。

 

「天皇陛下、皇后陛下がいかにも座りそうな椅子ね」


「モデルとしております」


 外商さんがそう言うと椅子を引き、志穂をエスコートする。ちなみにモデルとして、神武天皇陵参拝時の皇室の休憩室として作られたあのJRの駅の貴賓室である。


「大変失礼ですが、スーパーカレンシーライセンスの方を御見せいただけるでしょうか」


「はいっ」


 志穂は参謀本部長、有栖川大将からもらった、スーパーカレンシーライセンスを外商さんに渡す。


「こ、これは、三つ又の菊花紋章!!」


 外商さんは目をこれでもかってくらいにひんむいた。外商さんは志穂が止ん事無い御方だと思ったのだろうか。


「はっ、ありがとうございました」


 外商さんは志穂にスーパーカレンシーライセンスを返すと今度は、上級金貨の方も出していただけないだろうかと頼む。


「はいっ」


「これは、スーパー円の上級金貨!」


 志穂は桐箱から上級金貨を出すと、その黄金の輝きに目が眩んだのか、直視できず少し後ろに仰け反る。


「あ、あの、こんなことを申し上げるのは大変申し訳なく存じるのですが…………鑑定の方を…………」


「ええ、いいわよ」


「はっ、幸甚に存じます」


 外商さんはあまり口語ではない敬語を口にし、上級金貨の鑑定を行う。外商さんは貴金属や宝石などの鑑定も行えるほどハイスペックだった。


「えー、日本円にすると、2.05京円の上級金貨でございます。本物でございます。すぐ、蘇生魔法を持って参りますので、しばしお持ちのほどを」


「うん、わかったわ」


「それでは、失礼します」


 外商さんは深々と頭を下げ、退出した。


「ってか、すごいわね。三つ又の菊花紋章のスーパーカレンシーライセンスを見せるだけであんな待遇をしてくれるとは。参謀本部長って何者なのよ」


 志穂がじぃと、スーパーカレンシーライセンスを見ていると、コンコンコンとノックがした。志穂がどうぞと言うと、失礼いたしますと言い、外商さんが球体の蘇生魔法を持ってきた。

 蘇生魔法は最高級魔法だ。故に厳重にアクリルの箱に入れられている。

 

「こちらの蘇生魔法は箱から取り出しますと、小さくなり指輪になります。ちょうどパールの指輪だと思ってもらえればと思います」


「へぇー、オシャレね。指輪かぁ」


 志穂は箱から蘇生魔法を取り出すと、急にぎゅっと小さくなり、指輪に変化した。外商さんが言ってた通り、パールの指輪のようだ。その指輪を右手の薬指につける。


「大変お似合いでございます」


「ふふ。ありがとう」


 志穂は自分の家にも外商はいる。有名老舗デパートの外商が。父娘と代々と続いている。故に外商さんの誉め言葉には慣れてるのだが、女の子は指輪などのオシャレを誉められると弱いのだ。


「じゃあ、これをいただけるかしら」


「はっ、ありがとうございます」


 外商さんはまた深々と頭を下げた。

 志穂は蘇生魔法を手にいれた。


「それじゃあね」


「はっ、またの御来店、御贔屓、御待ちしております」


 志穂が帰ろうとすると、外商さん以外にもおそらく幹部らしき人がいっぱい出てきて、深々と、深々と頭を下げた。




「よし、これで揃ったわね。まずは、すみれを転移魔法で現実世界に遺体を持ってくる。その次に蘇生魔法ですみれを生き返らせる。これで、終わりね」










「ああ、10月10日は党の創立記念日だ。なんとか間に合いそうだ」


 マキャファートは誰にもわからない場所にいた。


「すみれのMADボムは厳しいけど、感染魔法ならいい土産になる」


 感染魔法は上級金貨で売られている。それほどまでに価値が高いと言えよう。


「これで、党に感染魔法を差し上げれば……」


 マキャファートはほくそ笑みを上げる。


「さて、志穂からスーパーカレンシーライセンスを奪わなければ。こっちには上級金貨を持っているから、あとはライセンスだけだ。あのライセンスなら僕でも買い物ができる」


 マキャファートは持っている桐箱を取り出す。それをニタニタと笑みを浮かべながら桐箱を開けるが。


「黄金の輝く上級金貨が…………んっ?」


 マキャファートは金貨をまじまじと見る。


「上級金貨の刻印じゃない……?」


 マキャファートはすぐさま鑑定を行う。まさかな。まさかな。と思いながら。


「これは…………スーパー円だけど…………下級金貨だッ!! 上級金貨じゃないッ!! 待てよ待てよ待てよッ!! ……………………ダメだ。成分も下級金貨レベルの薄さだ………………」


 マキャファートは、さぁあと顔から血の気が引く。機械なのだから、マキャファートに血は流れてはいないのだが。


「クソッ!! やられたッ!!! 志穂だッ!!!! 一杯食わされたッ!!!!!」


 マキャファートは怒りをあらわにし、尻尾をそこら中に叩きつける。ダンッ!! ダンッ!! ダンッ!! と大きく怒りの音が鳴り響く。


「一見すると、下級金貨は上級金貨と見分けにくい…………。だが、刻印を見れば一目了然だ…………。クソッ!! 志穂のヤツめ、すり替えやがったなぁああ」


 マキャファートは志穂に出し抜かれ、苦虫を噛んだような顔をする。

 今まで志穂などの魔法少女たちは自分の支配下に置いていたと思っていた。部下だと思っていた。のだが、志穂の反乱により立場は逆転した。

 飼い犬に手を噛まれることはこの事だ。

 もう、魔法少女たちはマキャファートのポチではない。




「一体ッ!! 誰のおかげでッ!! 魔法少女になれたんだとッ!! 思っているだッ!!!!」




次々回は最終回です。

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