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レベル255の魔法少女  作者: パラドックス
第一章 魔法少女たちのロール
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土佐弁の少女

 イルヴァの美春への襲撃から、三週間ほどたった。

 5月4日の平日の水曜日。

 まだこの時代、祝日と祝日に挟まれた日は国民の休日ではなかった。

 時代設定は80年代で8X年と決めてはない。だから80年代のいろんな出来事が濃縮して起こることになるだろう。

 今日は東欧革命したと思ったら明日は、天安門事件が起きているかもしれない。

 だから、86年発売したRPGを知っているけど春の大型連休は83年の飛び石連休だった。ということで。

「学校、休み、学校、休み、学校、休み、学校ときて、明日は休み、明後日は学校、どうしてこんな日取りなんだろうね」

 愚痴を溢したのは莉音だった。

 この時代4月29日は天皇誕生日だった。

 メーデーである5月1日は日曜。

 憲法記念日の5月3日、こどもの日の5月5日と、飛び石連休だった。

 七連休の飛び石連休だった。

「せめて、会社みたいに完全週休二日制で土曜日が休みだったら、三連休があるのに」

 今度は、志穂が愚痴を溢した。

 人が集まると、愚痴、陰口、悪口を話したくなる。

「でも私、土曜日の半ドンっては好きなんですよね。あの、午後の太陽とか」

 美春はネガティブなことを口にしなかった。

 美春はそういう性格なのだ。

「……いつでも、休みがいいわよね。生徒も……魔法少女も」

「「……」」

 莉音と美春は口をつぐんだ。

 あれから、イルヴァは来なかった。

 マキャファートはまた来るだろうと言っていたがその『また』はまだ来なかった。

 いつ、仕事が舞い込んでくるかわからない。

 不安と平和が入り交じった日々が過ごしていた。

 戦時中の軍人はどういう気持ちだったのか。

 休憩として煙草を一服、珈琲を一杯している最中に敵の襲撃があったらどうなるか。

 一層緊張が張りつめるだろうか。

 それとも、為す術なく死ぬか。

 マキャファートの国とアイラの国はおそらくまだ、戦争中だ。

 終戦の宣言もしてない。

 戦闘レベルのマキャファートや、魔法少女たちがまだ戦っているのはそういうことなのだろう。

 時刻は昼休みが終わろうと告げている。





 莉音たちが通う中学校がある町の名は千原町。

 その千原町には商店街がある。

 商店街の一角にレストランがあり、そのレストランの名は『風見鶏』

 風見鶏は和洋中と種類が揃えてる。

 料理はうまい。

 しかし、お昼時だがあまり人はいない。

 故に手が空く従業員ができてくる。

 その手が空いた従業員が裏口から休憩しに出てきた。

 長身で胸も豊かで深緑の入った黒髪のショートカットの少女。

 少女の名は千代子。

 千代子は壁に背をもたれながら店から持ってきた一本のラムネを飲んでいた。

「っん、ふー」

 千代子は中学生だったが、このレストランで働いている。

 そして、あまり学校に行けてない。

 その事を千代子は気にしてた。

 このままで、いいのであろうか?学校にも行かず働いてばっかりで。

 勉強が一体何の役に立つのかわからないけど、そんなこともわからない自分のほうが社会の何の役に立つのだろうか?

 そっちのほうが深刻だ。

「あたしが学校に行って何になるがやろうか」

 千代子は学校の生徒指導の先生、体育の先生に目をつけられている。悪い意味で。

 学校に行くときの制服は改造制服だ。

 すごく丈の短いスカートではない。まぁ、それも見てみたいんだが。

 逆にすごく丈の長いスカートだ。踝丈の。

 それと、ブラジャーではなくサラシを巻いている。しかしそれでも主張をする胸。たわわな胸。

 せっかくの恵まれた胸を大事に形を整えない。もったいない。

 なんだか、背中から四次元に繋がっているかのように木刀を出すかもしれない。ひょっとしたら鞄のなかにヨーヨーがあるかもしれない。

 ヤキをいれるときは「顔はやめなボディーにしな、ボディーに」とか言いそうである。

 ……とまあ、後半は妄想だが千代子は見た目、80年代にいたスケバンみたいだった。

 因みに、方言は土佐弁。

「……あたしは……これから…何に」

「魔法少女とか、どうかな?」

「っ!?」

 何処からともなくマキャファートが現れた。

 それに千代子は吃驚した。

 いきなり、ネズミが現れたのだ。それも人語をしゃべっている。

「僕は、マキャファート。少し君に用がある。君の名は?」

「ち、千代子」

「では、千代子。魔法少女になってくれないかな?」

「は、はぁ!?意味がわからん」

「今、僕の国は大変な思いをしている。ヤツラが侵略しに来て、多くの地域が被害にあっている。そんなならず者に制裁を加えなきゃならない。

 しかし、僕の国はそれほどの国力を持ってない。

 このままヤツラの好き放題になったら僕の国は滅ぶ。

 それを食い止めたい。

 だから、魔法少女でヤツラを……」

 千代子はマキャファートが言い終わる前に踵を返し店に戻ろうとしていた。

 だが、

「ちょっ、ちょっと待って」

 マキャファートが回り込んで千代子を止めた。

「あたし、冷戦とか政治とかよくわからんき、他所に行けちゃ」

「千代子、君はいいの?この生活で!」

「っ!?」

「君の生活は活き活きしてない!まるで、自堕落に生きているプータローみたいだ!

 君は中学生だぞ!もっと生活を充実させるべきだ!

 勉強、魔法少女、部活、魔法少女、仕事、魔法少女、役員、魔法少女、遊び、魔法少女、そして学校!

 そうやって中学生は毎日を充実させるものだろッ!

 幸いここは日本だ。先進国だ。識字率も高い、教育熱心な国だ。

 君は、学校にも行って魔法少女にもなるべきだ。

 魔法少女になれば絶対充実した、まるでスリリングなドラマのような日常を送れる!

 だからッ」

 バタンッ!

 千代子は無理やり店の裏口のドアを閉めた。

 千代子の顔から少し汗が滲み出てきた。

「……っ」

 千代子にとっては痛い所をつかれたのだ。

 いや、魔法少女なんてわけもわからないものなんかになるか!と思ってはいるものの学校には少し行ってみたいと思っていたからだ。

 そしてこの生活は別に悪いわけではない。

 だけど、もう少し学校に時間を割いてはどうだろうかとは考える。

 しかし千代子が学校に行くと場の空気が凍る。生徒、先生含め。

 特に生徒からは千代子はヤンキー、スケバンだと思われている。

 先生からもお前は絶対に悪さをするという疑いの目を前提に持っている。

 この時代はまだ管理教育の時代であり、先生は生徒に対して厳しく体罰もあった。

 千代子は生徒、先生から実質的な排他的集団行動をされていた。

 千代子には取り巻きはいない。孤高の存在である。

 イジメとは、はっきり言えない所が嫌らしい。

 学校も社会も共存なんてありえない。

 ヘイトスピーチのシュプレヒコールが起こるだけだ。

 千代子が少し苦い顔をしていると従業員が声を掛けに来た。

「大丈夫?何かあった?」

「いや、なんちゃあないき」

 千代子は手で構わなくてえいえいと振った。



「……ちぇ、断られたか。まぁ、諦めないけどね。

 諦めたらナントカだし。

 それに日本の証券マンは死に物狂いで仕事してるしこんなことでねぇ……」

 マキャファートは諦めなかった。

 だってわかるから。

 莉音のときは見えたから。

 1844京を超えるMPを持っていることが。

 そして、千代子もまた見えたから。

 千代子もあの魔法少女たち加わればと思っての行動だった。

 いつ、イルヴァが対策をしてきてやって来るかもわからない。

 そのためにはこちらも予想して対策を考えることだった。

 回復、近接、妨害、あと何かがだ。

 何が必要だろうか。

 そしてそれに合い且つ魔法少女の適性がある。

 そんな人物を探さなければいけなかった。

 マキャファートはそれに合う人を見つけたのだ何日かかかって。

 それが、千代子だった。

「また、来るよ。千代子」

 マキャファートの言葉は千代子には届かない。





 イルヴァは、前回の戦闘を反省した。

 何が、どうすればと考えた。

 その結果一つの案が浮かんだ。

 その案を実行するためイルヴァは上に頼んだ。

 申請が降りるまでの間イルヴァは身体を休めた。

 身体を休めることでHPは自動回復する。

 HPはダメージ量の可視化であって、体力ではない。しかし身体を休めれば回復する。

 なかには戦闘中にオートリカバリーができる者もいるだろうが、イルヴァそんなことはできない。

 イルヴァがHPを回復するには身体を休めることだった。

 HP0になれば、戦闘不能に陥り役に立たない。それだけは避けたかった。

 死は別の条件によるのだから。

「イルヴァ、申請が降りた」

 そういったのはアイラだった。

「ありがとうございます」

「一体なに使うんだ?」

「全体攻撃です」

 槍だけじゃ単体攻撃にしかすぎない。

 しかし、全体攻撃ならどうだろうか。

 妨害も近接も回復も纏めて潰せばどうだろうか。

 妨害に関しては、やられる前にやる。

 負け筋を先に潰す。

 イルヴァは自前のスピードでやるつもりだ。

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